2009年11月22日

[第144話 沖縄] ANAハブ始動(上)夜中に積み替え翌日配達

 万鐘本店第48話49話でお伝えした全日空の沖縄貨物ハブがいよいよ動き出した。上海、香港、ソウル、台北、バンコク、羽田、成田、関西の8空港から毎日未明に貨物専用機が那覇に飛来。那覇で2、3時間で積み替えし、早朝には再び8都市に向かう。アジアの荷をすべて沖縄ハブに集結させることによって、どの都市からも「翌日配達」を可能にする日本初のスピード航空貨物輸送システムがスタートした。

ANAStart2

ANAStart8


 従来は、例えば羽田から上海へ、直接、便を飛ばしていた。しかし、その方式では、荷が少ない時でもガラガラの飛行機を飛ばさざるをえない。コストさえ回収できないこともあった。

 ハブ方式は、アジア各地のすべての航空貨物を沖縄ハブ1カ所に集める仕組み。例えば上海向けの貨物は、香港からもソウルからも羽田からも成田からも来るから、ガラガラリスクはかなり減る。

 新築された那覇空港貨物ターミナル。全日空が使う貨物上屋は、国際貨物を扱うスペースが2万平米、国内貨物を扱う部分が5000平米ある。国内最大級の航空貨物上屋といっていい。もちろん24時間稼働だ。

ANAStart3


 午前1時半を過ぎると、貨物専用機ボーイング767貨物フレイターがアジア各地から次々に到着し、貨物上屋前のエプロンに整列する。45年間耐用で設計された真新しい貨物上屋内は、荷物の積み替え作業でにわかに慌ただしさを増す。沖縄貨物ハブ発足にあたって、全日空は、国際貨物のハンドリング経験を持つスタッフ140人を全国各地から那覇に転勤させた。加えて、新たに200人を沖縄で地元採用した。

 荷物には、那覇に着いてそのまま外国に運ばれる貨物と、日本国内に輸入される貨物に大きく分かれる。そのまま外国に出て行く荷は、コンテナを開いて中身を積み替えするものと、開けずにコンテナごと飛行機を乗り換えるものとがある。前者は上屋内での作業。後者は上屋内に入れず、飛行機間を移動する。日本国内に輸入される荷は、上屋内で通関や検疫の手続きをする。

ANAStart1


 積み替え作業が終われば、午前3時半から5時半くらいまでの間に、飛行機は8つの都市に向けて次々に飛び立つ。夜が明ける頃には、貨物ターミナルは再び静けさを取り戻す。

ANAStart4


 届け先の各都市に向かう飛行機は、午前9時頃までにはアジア各地に到着し、それぞれの国内輸送網に乗って配達される。こうして、日本を含むアジア各地で集荷された荷物の多くが翌日に届けられる。

 この仕組みを実現するには、ハブになる都市が、他のどの都市からも4時間以内の位置にあることが条件。それより遠くなると、翌日配達が難しくなるからだ。華南経済圏や東南アジアが主舞台になるアジアの航空貨物輸送の場合、すべての関係都市から4時間圏に位置するのは、日本では沖縄しかない。

 アジアの最前線に位置する沖縄のこの地理的メリットをこれまで全面的に活用してきたのは米軍だけだった。しかし、急速な経済発展に伴うアジア経済の浮上によって、それが民間の経済活動でも現実に大きなメリットになってきた。

 8都市でスタートしたこの事業だが、全日空は、近い将来、ベトナムやシンガポール、インドなどにもネットワークを広げる計画。「14路線ほどにできればと考えています」と、この事業を担当している全日空貨物本部の宍戸隆部長は話す。配達できる先が増えれば、荷主にとってはさらに魅力が増す。一カ所ですべて必要な買い物ができてしまうワンストップショッピングに近づくからだ。

 第48話と重複するが、沖縄を中心に4時間圏を示したグーグルの地図を掲げておく。日本のほぼ全域と華南経済圏、ベトナムくらいまで入る。そこからさらに南は、4時間では厳しくなるが、羽田あたりからと比べればはるかに近い。

ANA3


 後編は11月29日(日)公開予定です。お楽しみに。


bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ!沖縄 

2009年11月15日

[第143話 沖縄] 住民のアイデアが景観条例の推進力

 エメラルドグリーンの海に青い空ー。沖縄の自然は訪れる人を魅了してやまない。では、人の住む町の景観はどうだろうか。町並みや家並みが美しいと思える地域は、残念ながら非常に少ない。そんな状況を変えていこうと、県内では景観条例を制定する動きが進んでいる。

Keikan1

Keikan2


 万鐘の地元うるま市も、そのひとつ。現在、景観条例を作る動きが急ピッチで進んでいる。合併前の具志川市、石川市、勝連町、与那城町の4地区ごとに住民ワークショップを何度も開いて、景観資源の洗い出しや条例の方向付けの作業を進めている。

 具志川地区と与那城地区で開かれたワークショップをのぞいた。参加者はいくつかのグループに分かれ、うるま市役所都市計画課の事務局が用意した市域地図を見ながら、景観資源を洗い出していく。

 「喜屋武城跡からの眺望は東シナ海まで見える絶景。だが、近くに送電線の鉄塔があって、眺めがだいなしになっている」「宮城島に沈む夕日はすばらしく美しい」「うるま市には並木道らしい並木道がない。地域に合った樹種を選んで、存在感のある並木道を創りたい」

 「オカガニが産卵する場所を守りたい」「海中道路には緑がまったくないので、もっと植栽すべき」「琉球舞踊の原点である浜千鳥発祥の地に歌碑があるが、そこに至る道にゴミが散乱している」
 
 守りたい景観、整えたい景観、取り除きたい景観、創りたい景観ー。さすがに定点観測を何年も続けている地元住民だけのことはあって、次々に出てくる情報は、極めて具体的だ。

Keikan4

Keikan5


 各グループは、テーブル中央に置かれた市域の地図に、情報を書き込んだ付せんを貼り付けていく。40分ほどのグループ討論の間に、どのテーブルの地図も付せんでいっぱいに。ワークショップの最後に、各グループが話し合いの結果を地図を示しながら発表した。

 それにしても、出された意見をすべて実行に移すとしたら、たいへんな事業量になりそうだ。事務局から「景観づくりはまちづくりそのもの」という説明があったが、まさにその通り。

 ワークショップでは、住民が景観に強い関心を持っていることがはっきりと示された。住民は日頃、黙っているが、それは発言の機会がないからというだけで、決して景観に無頓着なわけではないことがよく分かる。

 事務局は12月までに計3回の住民ワークショップを4地区それぞれで開くことにしている。これと並行して、有識者の会議が市全体の景観条例の方向付けを話し合う。このようにして得られた情報を総合して、景観計画の素案が今年度中にまとまる予定だ。

Keikan3


 うるま市の景観条例についての問合せは、うるま市都市計画部都市計画課098-965-5602。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ!沖縄 

2009年11月08日

[第142話 農、食] 島バナナはどこで買うか

 バナナはバショウ科。芭蕉布の原料になるバショウはバナナの親戚だ。でも「バナナ布」では、あの枯れた布の感じが全く出ない。俳人松尾芭蕉も「松尾バナナ」では、ちょっと。

 バナナの3文字には、どこか茫洋としたイメージがつきまとう。だが、沖縄在来の島バナナは、そんなイメージを見事にくつがえす。小さくて、酸っぱくて、鋭利な熱帯果樹の香りー。その島バナナがどこで買えるか、が今回のテーマだ。

Banana3


 島バナナを食べて、その香り高さと心地よい酸味に、打ちのめされる人が多い。これほどおいしいのだから、生産量と流通量がもっと増えてもよさそうなものだが、なかなか増えない。なぜだろうか。

 まず、島バナナは、収量が低い。フィリピンや台湾の普通のバナナに比べると、島バナナは小さく、収量は半分ほど。普通に考えれば2倍の価格になる。普通のバナナとは比べものにならない味と香りなのだから、2倍でもいいと思うが、市場にはまだそこまでの思い入れはないのかもしれない。

 もう一つは、食べごろが短いこと。緑色のうちに収穫して、1週間ほどで追熟が進み、黄色くなって黒いシュガースポットが出たら食べごろなのだが、きれいなのはせいぜい2、3日。それを過ぎたら、真っ黒になっておよそ売り物にならない。かなり黒くなっても十分食べられるが、商品としては厳しいだろう。流通業者としては取り扱いが難しい果物といえる。

 さらに言えば、沖縄は台風が多く、そもそもバナナ類を栽培するのは簡単ではない。バナナは「木」とは言うが、実際は、大型の草。強風が吹けば簡単に倒れてしまうし、葉も櫛のように切れ目が入ってダメージを受ける。風よけハウスに入れる方法をとっている生産者もいるが、それをやれば当然ながらコストがかかる。

Banana4


 というわけで、島バナナは、あまり生産されていない。その結果、沖縄県外はもちろん、県内ですら、通常の農産物流通のルートには乗っていない。例えば、県民がよく買い物をするサンエー、かねひで、ユニオン、りうぼうなどのスーパーにはほとんど置かれていない。

 だが、こんなにうまいものなら、なんとしても食べたい。島バナナ、いったどこに行けば買えるのだろうか。それも、なるべく安く。というのも、東京あたりでは1本500円みたいな、べらぼうな値段がつくらしいし、沖縄県内でも、観光客が出入りする那覇の公設市場周辺などではかなり高い。

 万鐘の地元うるま市で島バナナを生産している名嘉真勉さんを訪ねた。名嘉真さんの畑には、島バナナを中心にバナナが200本ほど植えられ、木の足元にはカンダバーがたくさん生えていて、雑草の発生を抑えながら、土にうるおいを与えていた。

Banana1


 名嘉真さんは、収穫した島バナナを、JAおきなわが運営している沖縄市のファーマーズマーケット「ちゃんぷるー市場」に自分で持ち込んでいる。言われてみれば、確かに、こうした農家直販市には島バナナが置かれていることが多い。価格は1kg700円ほど。

 同じくJAおきなわがやっている糸満のファーマーズマーケット「うまんちゅ市場」にも置かれていることが多い。南城市大里の「軽便駅かりゆし市」など、JA以外の農家直販市でもしばしば見かける。これら農家直販市が、まずはお勧めの島バナナ購入場所だ。

 もう一つ、島バナナが手頃な価格で手に入るのは那覇の農連市場。市場内には、島バナナを扱っている店がある。値段は農家直販市とほぼ同じ水準だ。

Banana6


 那覇・国際通りから入る市場周辺でも、いろいろな店が島バナナを店先にぶら下げている。ただ、ここは観光客向けなので、総じて高い。安く買いたいなら、牧志からぐーっと奥に進んで、開南の農連市場まで行ってしまった方がいい。

 島バナナの選び方のコツを少々。名嘉真さんの話では、あの鮮烈な酸味と香りは、木であまり熟させると弱くなる。実が太り始め、皮の角がとれて丸みをおびたかな、という頃に収穫するのが理想。もちろん色はまだ完全に緑色だ。

 そのまま木にならせておくと、実はパンパンに膨らんでくるが、ここまでいくと、酸味と香りが弱まってしまう。つまり、パンパンに膨らんだ感じの島バナナは避けた方がいい、ということ。下の写真は、膨らみすぎて、皮が割れてしまった島バナナ。

Banana5


 バナナは、さまざまな品種が世界中の熱帯地域で栽培されている。野生のバナナには小豆大の種がたくさんあったが、5000年以上前に熱帯アジアで品種改良されて種がなくなった、というエピソードが、中尾佐助の古典的名著『栽培植物と農耕の起源』(岩波新書)で紹介されている。沖縄の島バナナは小笠原種という品種で、その昔、小笠原諸島から入ってきたらしい。

 島バナナを置いていることが多い場所の情報は次の通り。

・JAちゃんぷるー市場 沖縄市登川2699 098-894-2215
・JAうまんちゅ市場 糸満市西崎町4-20 098-992-6510
・軽便駅かりゆし市 南城市大里字高平877-1 098-882-0078
・農連市場 那覇市樋川2-2-4 098-832-2747(市場事務所)

 最後になったが、沖縄県外在住の方に。島バナナは通販でも販売されている。「島バナナ」で検索すると、いくつか出てくるので、沖縄に来る予定がない方はこれでお試しを。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! | 

2009年11月01日

[第141話 食] 深い深ーいシャコガイの味わい

 濃厚な貝の味が好き、という人に、万鐘が絶対の自信をもってお勧めするのがシャコガイ。これからの涼しい季節が旬で、それはそれは深い味わいに、会話がしばし止まってしまう。シャコガイを目的に沖縄への旅を企画する人もいるほど。

Syakogai1


 シャコガイは、南太平洋やインド洋など、熱帯、亜熱帯のの珊瑚礁に生息している二枚貝。沖縄ではほぼ全域にいる。殻の合わせ目の部分が波の形をしている。

 最も大きいオオジャコは直径が2mを超すものもあり、世界最大の二枚貝。沖縄近海にはもういないが、昔はいたらしく、今でも貝殻が上がることがある。

 そのオオジャコには、人食い貝の異名が。実際に人が食べられたという情報はないようで、あくまで想像上の話。とはいえ、シャコガイに限らず、貝のはさむ力はとても強いから、大きさが2mもある貝に本当に人がはさまったらさぞかしひどいことになるだろうなあ、とつい想像してしまう。

 すっかり物騒な話になったが、食用にするものは、オオジャコよりもずっとずっと小さいサイズのもの。特に、てのひらに乗るサイズのヒメジャコが味がよいとされる。

Syakogai2


 ヒメジャコは、成長するにしたがって岩の中に徐々に潜り込んで大きくなっていく。最終的には、貝殻はすべて岩の中に埋まった形で、殻の合わせ目だけが岩の上部で少し開いた状態になる。

 潜り込むのは、岩の上に大木が育つのと似た仕組み。木が根から酸を出しながら岩を少しずつ溶かしては養分を吸収して育つように、ヒメジャコも自分で岩を溶かす物質を少しずつ分泌しては岩に潜っていく。

 岩に潜っているヒメジャコを獲るには、コツがある。合わせ目の両端の部分の岩をハンマーで砕き、そこにバールのようなものを突っ込んで、テコをきかせて貝を岩から取り出すのだ。シャコガイを専門に獲るウミンチュ(漁師)がいる。

Syakogai3


 乱獲による減少が心配されており、各漁協は禁漁期間を設けて生産管理を実施している。それでも追いつかないので、今は稚貝を育てて海に戻す養殖が、沖縄県水産海洋研究センターなどによって推進されている。

 シャコガイは比較的短時間のうちに味が落ちるので、収穫したてを素早く食べる方がいい。冒頭の写真と下の写真は万鐘本店第63話で紹介した和食のあらやで出てきたシャコガイ。わさびはもちろんいけるが、シークワサーなどのかんきつをかけて食べるのもお勧め。

Syakogai4


 貝柱はさっぱりしているが、身の味はひたすら深い。赤貝やミルガイなどより、ずーっと深い。東京からのお客さんに出したら、「んー、これは・・・・」と言ったまま、黙り込んでしまった。貝の好きな人にはこたえられない味だろう。泡盛によく合う。寿司ネタとしても最高。

 シャコガイを買いたい場合は、那覇・泊の「泊いゆまち」に行けば、だいたいどこかの店にある。貝の取り扱いに慣れていない人は、身のはずし方をお店で教えてもらおう。居酒屋や割烹などは、ある日とない日があるので、事前に電話で確認を。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! 

2009年10月25日

[第140話 沖縄] 街かど看板、傑作選

 街かどで見かけた看板や横断幕の傑作選をお届けする。思わす笑ってしまう作品から、ほっこりした温かい気分になれるものまで、5点をご紹介。


Kanban4


 まずはエイサーの参加者募集看板から。ことしの夏、万鐘の地元うるま市の字赤道で見つけた。エイサーは沖縄本島中部で盛んな伝統的な踊りで、旧盆の時に各字の青年会が路地や広場で踊りを披露したり、拝所などで奉納したりする。最近は勇壮なエイサーが全国的に人気を呼び、各地に同好会ができているようだ。

 うるま市字赤道は、農村部の多いうるま市のいわば玄関口に位置する。飲食店などが多い、町っぽい場所だ。純農村部の青年会活動は「顔つながり」だけで情報が流れるが、赤道のような町っぽい字では、このように看板で参加者を募ることになるらしい。

 「○○○しないと」という語り口は、とても沖縄的な口語表現。日常会話にもよく出てくる。相手に何かの行為をやわらかく促す時に、どちらかと言えば、女性がよく使う。「だのにぃ」も女性が言う。

 下手くそな字が、いかにも青年会ふーじー(っぽい、「風姿」)。


Kanban5


 ちょっと古いが、うるま市内で見かけた横断幕。横断幕が告知手段としてよく使われるという話は万鐘本店第67話で書いた。とりわけ同窓会の告知には横断幕が非常によく利用される。

 同窓会告知のメインコピーに「あの人もハゲました」を置くというのは、言葉のとんがり具合といい、同窓会とのいい感じの距離感といい、かなりのセンス。

 同じ同窓会の別の横断幕に、メインコピーが「来ないのはあなただけだったりして」というのもあった。「あの人もハゲました」とは別の意味で、これも秀作。この幹事さん、コピーライターでもメシが食えるんじゃないでしょうか。

 次は小中学生の「あいさつ」標語シリーズを。


Kanban2


 うるま市で見つけた看板。なんとも言えないおかしみがある。そもそも「あいさつをする」とは言うが、「あいさつをやる」とは言わない。これが笑いの源泉その一。

 それから「やられる前に」というのも笑いを誘う。「やられたら、やり返せ」みたいな暴力的なセリフを想起させるこの文の主語が「あいさつ」であるところが、最高に面白い。

 ぴょんぴょん弾むような少年マンガっぽい字の感じも含めて、野球帽をかぶった小学校低学年の男の子を一瞬イメージしたが、実は中三女子の作品。


Kanban1


 これは「やられる前に」の横にあった作品。さほど面白みはないが、きれいにまとまっている。うまい。座ぶとん3枚。


Kanban3


 最後は、慶良間諸島の阿嘉島で見つけた小学生の標語看板。阿嘉島といえば、ダイビングやホエールウォッチングの盛んな慶良間でも比較的地味な存在。

 そんな静かな島のぬくもりが感じられるしっとりした作品だ。海風にあたって傷み加減の看板も、おとなしい字体も、言葉の中身とあいまって、すべて絵になっている。島はいいなあ。座布団10枚。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ!沖縄 

2009年10月18日

[第139話 食] ソースを吸った生パスタのうまみ

 宜野湾市のイタリアンレストラン、Pao(パオ)とPana(パナ)が今回の主役。ソースのうまみを充分に吸い込んだ生パスタが素晴らしくおいしい。

Pana1


 代表取締役の川口一仁さんは埼玉県出身。鉄人シェフとして知られる石鍋裕さんの店クイーンアリスに勤務した後、イタリアで本場の味と技術を学んだ。帰国後は東京・六本木ヒルズのイタリアンレストランなどで働いた。

 独立のチャンスを求めていた際に、沖縄出身の友人から「一緒に店をやらないか」と声がかかり、沖縄に。間もなく、生パスタの専門店Paoを始めた。沖縄で生パスタを出す店の第一号だった。6年前のこと。姉妹店のPanaは昨年、オープンした。

 川口さんが作る生パスタは、幅2、3mmのタリオリーニ、幅4、5mmのタリエリーニ、幅6、7mmのタリアテッレ、幅25-30mmのパッパルデッレの4種類(冒頭の写真はそのうちの3種類)。

 パスタは、温度や湿度で出来具合が違ってくるという。こねた後、冷蔵庫で生地をじっくり寝かせて、グルテンの形成と生地の熟成をゆっくり進めるのがポイント。

 細い麺はあっさりしたソースが合う。麺が太くなるほど、こってりしたソースとの相性がよくなる。ソースがこってりしてくれば、それに負けないボリュームのパスタが必要になるからだ。

 あっさり系のソースといえば、魚介系の軽めのソースなど。トマトベース、クリームベースと徐々にこってりしてきて、最もこってりは、例えば仔羊の赤ワインソース。まるで京都名菓の八つ橋のようなパッパルデッレが登場するのは、こうした濃厚なソースの時。

 「パスタは、ソースをおいしく食べるためにあるんですね」と川口さん。パスタは家庭料理。うまみをたっぷり含んだソースをムダにすることなく、効率よく食べるのに、パスタは必須のアイテムと言えるのだ。

Pana2


Pana3


 生パスタは、ソースがからむだけではなく、ソースをしっかり吸い込む力がある。食べてみると、もっちりした麺にソースのうまみが染み込んでいるのが分かる。だからうまいのだ。

 上の写真のトマトベースのパスタはタリエリーニ。パスタとソースが完全に一体になっている。沖縄地野菜のナーベラーが独特の食感をもたらす。麺に吸われて一番おいしくなるように、ソースの塩気や酸味がピタリと決まっている。

Pana4


Pana5


 このクリームベースのソースには、タリエリーニよりひと回り太いタリアテッレを。こちらは小エビや小柱といった魚介のうまみが基調で、キャベツの甘味と食感がアクセントになっている。もちろん、ソースと麺の相性はバッチリ。

 ランチにはパスタのほか、前菜と自家製のパン、デザートがつく。どれもおいしいが、この日のデザートに出て来たぶどうのソルベは、その上品な甘さといい、心地よい酸っぱさといい、ふわーっと口溶けする食感といい、出色の出来。

Pana6


 Panaは、イタリア語でオステーリア、つまり居酒屋のイメージ。生パスタ料理だけでなく、一品料理にも力を入れている。写真はPanaの店内。

Pana7


 Paoは宜野湾市新城2-39-20、098-892-9003。Panaは宜野湾市野嵩1-2-15、098-892-8736。HPはこちら

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! 

2009年10月11日

[第138話 食、農] 砂糖を入れないパイン缶

 パイン缶といえば、おいしいが、それほどありがたいものでもないーといったところか。そんなイメージを打ち破るパイン缶が人気を呼んでいる。砂糖を全く使わないパイン缶「ロイヤルスウィート」がそれ。

Pine1


Pine3


 砂糖を使わないパイン缶を作っているのは、名護パイン園グループの株式会社名護パイナップルワイナリー。

 同社常務取締役の上江洲朝則さんによると、ロイヤルスウィートは、7月下旬から8月下旬にかけて出荷される糖度の高いパインだけで作る。パインは9月下旬から11月上旬にも出荷されるが、この時期のパインは糖度が低いので、砂糖なしでは作れない。

 盛夏の時期のパインならすべていいかというと、そうはいかない。パインは底の部分から上に向けて糖度が上がっていく。つまり葉に近い上の部分は甘味が弱い。だから砂糖なしのパイン缶を作る時には、上の部分は入れられない。本当に甘くておいしい部分だけを使ったぜいたくなパイン缶なのだ。砂糖なしで作るのに必要な糖度は最低14度。

 価格は1缶598円。スーパーの砂糖入りパイン缶と比べると、かなりの価格ではある。

Pine2


 そのロイヤルスウィートを食べてみた。非常にすっきりしている。砂糖のしつこさが全くなく、砂糖入りのパイン缶とは確かに違う。よく冷やして食べると、おいしさはひとしお。

 砂糖入りパイン缶のシロップは強いので、そのまま飲むのは抵抗があるが、ロイヤルスウィートの汁ならいくらでも飲める。

 名護パイナップルワイナリーが砂糖なしのパイン缶を作り始めて7年目になる。「おかげさまで、ことしはよく売れています」と上江洲さん。例年は、盛夏に作ったパイン缶を半年ほどかけて売っていくのだが、ことしは3カ月ほどで完売の見込みという。

Pine5


 ロイヤルスウィートを作った背景には、深刻なパインの減産傾向があった。沖縄のパイン生産は年々減っている。理由は簡単。もうからないから、やめる農家が多いのだ。やめないまでも、後継者はいないという農家が多い。

 名護パイン園グループの基幹施設ナゴパイナップルパークはパイン農家があってこそのテーマパーク。「農家がちゃんとうるおう買い入れ価格を実現できる付加価値商品をなんとか作れないかと思ったんです」と上江洲さん。
 
 人気ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」のやまけんこと山本謙治さんは「日本の農産物は安すぎる」と主張しているが、パインもその例に漏れない。実際、パインに限らず、農業は、天候や病虫害のリスクがむやみと大きいのに、利益はあきれるほど小さいから、総じてもうからない。下手をすればすぐ赤字。これでは、やる人が減っていくのは当然の結末だろう。
 
 前回取り上げたやんばるの農家直販市も、今回のロイヤルスウィートも、農家を実質的に支える取り組み。農家が衰退してしまったら成り立たない仕事をしている人々が、ある意味では農家以上に危機感をもって、新しい仕組みづくりを模索しているといえそうだ。

Pine4


 ロイヤルスウィートはパイナップルパークで買えるほか、通販でも取り寄せられる。詳しくはパイナップルパークのHPで。パイナップルワイナリーは名護市為又1196-7、0980-53-0017。

bansyold at 00:00|Permalinkこの記事をクリップ! | 

2009年10月04日

[第137話 農] ホテルが買い付ける山田金曜朝市

 一般の農協出荷でも、ファーマーズマーケットでもない、新しいタイプの農産物直販市が本島北部で産声を上げた。売り手は農家。買い手はホテルと飲食店。新しい農産物流通のモデルになりそうな、B-to-Bの直販市を訪れた。

Tyokuhan1


 名護市の中心部から少し入った山あいにある山田公民館。毎週金曜日の朝、農家が自慢の農産物を次々と運び込む。ほどなくして、買い付けるホテルや飲食店の人々がバンなどに乗ってやってくる。山田金曜朝市の始まりだ。

 毎回、近くの農家20軒ほどが出品する。ホテル側はそうそうたる顔ぶれ。沖縄のホテルで売上ナンバーワンのかりゆしホテルズ、高級ホテルの代表格ブセナテラスビーチリゾート、長期滞在用の居室が充実しているカヌチャベイホテル&ヴィラズなど、北部の大手ホテルや飲食店がずらり。

 北部のホテルや飲食店のシェフたちが集まる「やんばる料理研究会」がこの朝市を実現したホテル側の母体。地元食材にこだわり、地元食材の活用方法を研究してきた。農家側は、万鐘本店第18話で紹介した土づくりを実践し、総理大臣賞を受賞したゴーヤー農家金城美代子さんを中心とする腕っこきの生産者たち。

 この日は小松菜、トウガン、白いゴーヤー、ショウガ、オクラ、ナスなどが、所狭しと並べられていた。

Tyokuhan3


Tyokuhan4


 この朝市、農家にとって魅力なのは、自ら値をつけたうえで、まとまった量が売れること。

 従来の農協出荷の場合、量は出せるが、サイズや形などの規格が非常に厳しいうえに、黙ってセリ値を受け入れるしかない。この朝市では、相場を基準にしつつも、原則として農家は自分で値をつけられる。セリではなく、個別の相対取引。この違いは大きい。農家が農産物の作り手としてだけでなく、売り手として一人前になれるのだ。

 ファーマーズマーケットはB品も出せるし、値も自分でつけられる。だが、ファーマーズマーケーットは一般消費者が相手だから、ビニル袋1つが単位。まとまった量を売るのはなかなか難しい。山田金曜朝市では、ホテルが相手だから、箱単位で量がはける。

 この朝市に自ら足を運ぶ沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパの常務取締役総支配人玉城智司さんは「うちは1日1000人のお客様が泊ります。そのうち9割が朝食を、6割が夕食を召し上がります」と説明する。このように買い手の胃袋が大きいからこそ、農家は実のある商売ができる。

 朝市での買い付けでまだ量が足りないホテルは、出品農家と個別に話をつけてさらに農家の畑で追加で買い付けすることも珍しくない。

Tyokuhan7


 ホテル側にもメリットは大いにある。やはり自らこの市を訪れるブセナテラスの総料理長新垣敏光さんは「ここで仕入れた野菜は日もちが違いますね」と言いながら、買い付けた野菜をせっせとバンに載せていた。ここで販売される農産物の品質のよさはもちろんだが、間に流通業者が入れば、1日、2日はよけいにかかるということだろう。

 価格面でも間の業者の取り分がなくなるから有利。厳しい経済状況の中で、ホテルも、食材調達を業者任せにしてのほほんとしてはいられない。責任者自らこの朝市に足を運び、品定めをして、いいものを少しでも安く仕入れようとしている。

 「農家も、ここでは、お客さんの要望を直接聞くことができます」と金城美代子さん。農協出荷の場合は、お客さんの声が農家に直接届くことはめったにない。

 朝市の事務処理は簡素そのもの。農家は納品書兼請求書を自分で切り、ホテルはその金額を翌週現金で支払う。ホテルは支払い金額が明確になるから、よけいな現金を持ち歩く必要がない。専従の事務スタッフは必要ないし、場所は公民館で無料だから、売り手と買い手の「間」の部分には全くコストがかからない。

Tyokuhan5


 「そのうち、ホテルのお客様をここに連れて来ようと思っているんですよ」と楽しそうに話すのはかりゆしの玉城智司さん。ここで農家から直接買い入れたとびきり新鮮な地元食材で今夜のあなたのディナーをお作りします、というわけだ。確かに、どんなうたい文句よりもこの朝市を見せる方が説得力があるだろう。

 場所は山あいの公民館の前庭。立派な建物や派手な看板があるわけではないが、売り手と買い手が互いの必要から向き合い、コミュニケーションしながら作り上げる「市」の原点がここにはある。いわゆる観光施設にあきたベテラン観光客には恰好の見学先になるかもしれない。

 山田金曜朝市は、毎週金曜日朝8時半に始まり、約1時間で終了する。場所は、名護市字田井等909、山田公民館。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! 

2009年09月27日

[第136話 食] 進化してきた塩せんべい

 塩せんべいは沖縄の代表的なおやつ。サクッとした歯ごたえと生地の素朴なおいしさ、ほどよい塩気が魅力だ。おなかがすいている時は3枚でも4枚でも、あっという間に食べてしまう。

Senbei5


 原材料は、小麦粉に少しデンプンを加えた粉、植物油と塩だけ。いたってシンプルだ。

 水分と油を含ませた粉を専用の型に入れ、フタをして加熱する。少しして熱が一定の温度に達すると「プシュー」と生地が膨らむ。ポップコーンと似ている。ポップコーンの1粒の種の中で起きることが、塩せんべいの場合は密閉された型の中で起きていると考えればよさそうだ。

 何年も変わらない沖縄の庶民の味、ということになっている塩せんべいだが、実はさまざまな変化、進化を遂げてきた。

 那覇市繁多川にある丸吉塩せんべい屋の2代目社長新田民子さんによると、かつては、塩味ではなく、食紅に砂糖をまぜたものが表面に塗られていた。「私が子供の頃は、赤くて甘い表面をまずなめて、それからせんべいの部分をかじっていました。噛み切るのにとても力が必要で。いま思えば、しけていたんですね」と笑う。

 塩味が登場したのは昭和30年頃らしい。「甘いと子供のおやつにしかならないので、大人でも子供でも食べられるものにしたいと考えた人がいて、塩味を作り始めたんです」。これが今の塩せんべいの起こり、というわけだ。

Senbei2


 今も、各メーカーは研究開発に余念がない。「塩せんべいの消費量は少しずつ落ちています」と新田さん。多種多様なお菓子がどんどん出てくる中で、消費者を何とかつなぎとめようとメーカーも必死だ。

 例えば、塩味になってからも、生地は微妙に変わってきた。かつての塩せんべいは、やや繊維っぽい仕上がりで、しけていなくても、噛み切るのに多少力が必要なものが主流だった。いま丸吉塩せんべい屋が作る塩せんべいの生地は、サクサク感が強く、噛み切るのに力はいらない。これをさらに進め、口の中ですぐに溶けるようなソフトな食感のせんべい生地を作っているメーカーもある。

Senbei3


 梅味がコーティングされているものなど、味つけもいろいろ。チョコクリームが別添えになっているものもある。

 丸吉塩せんべい屋の製品「せんの恩返し」の場合は、厚さを変えてある。味は普通の塩味だが、標準バージョンの厚さの3分の1から4分の1ほどの薄焼き。これによって食感がだいぶ変わる。パリパリ感が強調されて、おいしい。

Senbei1


 その「せんの恩返し」のパッケージにある絵と言葉が、以前から気になっていた。いわく「決してのぞいてはいけません」。 ん?? 

Senbei4


 新田さんが解説してくれた。「鶴の恩返しのおつうみたいにね、焼きを担当する人は機械の前に座って、せっせとせんべいを焼いているんです。薄焼きはとてもデリケート。注意しないとすぐに割れてしまうので、ものすごく神経を使います」。他人にのぞかれると神経の集中が邪魔されて、上手に焼けないのだという。

 昔は、焼き上がるのを待ち切れない子供たちが工房をのぞき見したらしい。そんな時、のぞいてはダメよ、と制止したのがこのセリフ。「せんの恩返し」のラベルは、そんなかつての工房の風景を描いたもの、というわけだ。

 丸吉塩せんべい屋を有名にしたもう一つの新製品が「天使のはね」。これは塩せんべいを焼く際に型からはみ出すふわふわの部分を商品化したもの。かつてはすべて処分し、養豚業者が回収して豚の餌にしていた。

 新田さんがお腹がすいていた時にたまたま食べてみたら、とてもおいしかった。それまでは、とって捨てるもの、という見方しかしていなかったが、食べてみたらおいしいので、さっそく商品化した。せんべいのようにパリパリしておらず、フニャーっと柔らかい。油気もほとんどなく、塩味もうっすら。赤ちゃんでも食べられそうな優しい味だ。逆に、刺激の強い食べ物に慣れた舌にはモノ足りないかも。

Senbei6


 塩せんべいは、これからも進化を遂げ、あっと驚く新企画が登場するかもしれない。でも、基本の塩味せんべいは、いつまでも残るような気がする。なぜって、これほどあきのこない味も珍しいから。

 塩せんべいは、古くなるとどうしても油が酸化してくるので、求める際は新しいものを選ぼう。沖縄県内はどのスーパーでも売っている。県外ではわしたショップなどで。丸吉塩せんべい屋は工房横に直売所がある。那覇市繁多川4-11-9、098-854-9017。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ! 

2009年09月20日

[第135話 食] うまみ凝縮 クルマエビの「やわら」

 沖縄はクルマエビの生産日本一。県内各地に養殖場がある。本島北部、宜野座村にある宜野座養殖場は併設のレストラン「球屋」でクルマエビ料理が食べられる。脱皮したばかりのエビを焼いた「やわら」と、ミソのコクが楽しめる有頭エビ天ののった天丼をご紹介。

Tamaya4

 宜野座養殖場は宜野座インターを降りて少し北上した宜野座大橋のたもとにある。目の前の川にはマングローブが。

 球屋は、天ぷらや刺身、塩焼きなどでクルマエビを食べさせる。まず「やわら」からいこう。

 「やわら」は、脱皮したばかりのクルマエビで、殻がソフト。これをシンプルに焼き、塩を振って食べる。アメリカ人の好きな脱皮直後のカニ「ソフトシェルクラブ」とよく似ている。

 注文したら、テーブルコンロが用意された。ほどなくして、串にさされた「やわら」と塩が登場。「少し焦がすくらいが香ばしくておいしいですよ。頭のところはしっかり加熱して下さい」とスタッフが説明してくれた。

Tamaya2


Tamaya6

 加熱すると、あざやかな朱色に変わっていく。表、裏とも3、4分ずつ。頭の部分に火がよく当たるようにする。仕上げにパラパラと塩を。

 頭からかぶりつく。頭の部分にはミソが入っていて、えもいわれぬコクが。身は身で、塩だけの味付けなのに、うまみ十分。もちろん柔らかい殻ごといただく。

 クルマエビは、本当にうまみが凝縮した食べ物であることを再認識させられる。体長15-18cmほどだから、イセエビやロブスターのようなボリュームはないが、うまみの深さではそれらに全く負けない。

 天丼は、主役のクルマエビ天のほかに、ハンダマ、オクラ、カボチャ、ゴボウ、ナスなどの野菜天ぷら陣が脇を固める。揚げ方が実に巧み。薄ゴロモだが、サクサク、カリカリに仕上がっており、油の中で脱水され、凝縮された素材のうまみが際立つ。

Tamaya7

 クルマエビ養殖場直営のレストランはほかにもあるが、残念ながら天ぷらの揚げ方が今ひとつの店も。球屋はその点、ピタリと決まっている。ただ、ていねいに揚げるので、昼時の混み合う時間帯などは、20〜30分待たされることもある。

 天丼のクルマエビ天も有頭で、これは「やわら」ではないが、しっかり揚げてあるから、頭も尻尾もすべておいしい。

 「やわら」同様、頭にはミソが入っている。ミソはコロモと一体になって、さらにコクが増す。天丼は、エビの身とコロモとタレのうまさでかき込むのが醍醐味だが、球屋の天丼は有頭エビのミソのうまみも加わり、複雑でぜいたくなおいしさが楽しめる。

 クルマエビ天を頭からかぶりつく時には、そのミソが飛び出すことがあるので注意しよう。間違ってもミソをこぼしてはいけない。それはあまりにもったいない。あわてずに、そおーっと噛み切れば大丈夫だ。

 天丼は活きエビを使ったものと急速冷凍されたエビを使ったものが選べる。価格は前者がいくらか高い。だが、急速冷凍ものでも十分おいしい。

Tamaya8

 タレは少量かかっているが、残りは別添え。もっとかけたい人はお好みでどうぞ、という方式だ。タレが多すぎるとミソの味わいが殺されてしまうので、控えめにかけるのがお勧め。

 球屋は、宜野座村宜野座1008、098-968-4435。火曜定休。HPはこちら

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)この記事をクリップ!