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2008年07月05日

[第64話 農] 超早場米、できました

 当店第44話でお伝えした稲が実りの時季を迎えている。3月の田植えから4カ月弱。一期目の新米だ。盛夏の強い日差しの下で、たわわに実った稲穂がこうべを垂れていた。写真は金武町屋嘉。

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 沖縄県内で流通している新米の主力は、石垣、西表産のひとめぼれ。JA八重山営農センターの話では、ことしはほぼ去年並みの出来で、6月中旬から7月中旬にかけて1200トン前後の出荷を見込む。沖縄本島のスーパーでも、穫りたての新米が大々的に売り出されている。

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 八重山産の新米は、少量だが、本土にも「超早場米」として出荷されている。確かに、日本のどこよりも早い新米であることは間違いない。そして、あと1カ月もすると、南九州産の新米が出回るようになる。サクラ前線ならぬ新米前線は、こうしてゆっくりと北上していく。

 この超早場米、かつて本土では「初物」ということでかなりの高値がついたこともあったが、最近はコシヒカリの新米などとそれほど変わらないという。やはり米は主食。初がつおやボージョレーヌーボーのような嗜好性の高い食べ物とは違い、早いという理由だけでもてはやされることはないのかもしれない。

 一方、沖縄本島でわずかに作られている米は、ほとんどが自家消費用。金武町屋嘉の仲間達夫さんは、800坪の水田で米を作っている。品種はちゅらひかり。「ひとめぼれの方がおいしいらしいけど、自分は味が分からんから―」と屈託ない。ことしは台風が来なかったので、まあまあの出来だという。

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 水を落とした後、土が乾くのを待って、小型の収穫機で稲刈りをする。「雨が降って土が乾かなかったもんだから、なかなか機械を入れられんかった」。穫れた新米を孫に食べさせるのが楽しみだ。

 金武では、収穫した米を道路のガードレールにかけて自然乾燥させる農家が多い。仲間さんの場合もよく天日乾燥させ、脱穀、もみすりは小型の機械でやるとのこと。

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 米はもともと暖かい地域の作物。沖縄でもかつては田んぼがたくさんあったが、換金性の高かったサトウキビに押される形で、米の作付け面積が大きく減った。現在の生産量はかつての10分の1以下。

 さすがにこれだけ減ると、種や苗の生産を含めた一連の稲作技術が大きく後退し、他の地域依存になってしまう。例えば、暑い地域で誕生した米本来のポテンシャルを最大限に発揮できる品種の作出などは、今の生産規模では、残念ながら難しいだろう。

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