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2008年08月16日

[第71話 沖縄] 沖縄の土に惚れ込むロリマーさんの器

 沖縄の土に惚れ込み、焼締め一筋で作品を作り続けている陶芸作家がいる。南城市佐敷のポール・ロリマーさん。1300度を超す高温で焼き締めた器は、なんとも言えない渋い輝きを放つ。

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 上の2つは、いずれも泡盛を入れる小ぶりのカラカラ。焼締めだから釉薬は使わないが、下のカラカラは、高温で溶ける土を上部にかけてあるので、釉薬が溶けたような味わいになっている。

 ロリマーさんの作品は、和音を感じさせる整った形の上に、野性味あふれる焼締めの渋いタッチが乗っている。

 ロリマーさんは、沖縄じゅうの粘土を自分で掘ってきては使っている。中でも、高温に強い北部の土をよく使う。マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガンがそれぞれどれくらい含まれているかで、焼き締めた時の風合いが大きく変わってくる。写真は小さなちょこ(猪口)。金属的で華麗な輝きを放ちつつも、土の温かみを感じさせる作品だ。

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 風合いだけではない。そうした土の成分によって、焼き上げた器の機能までも違ってくるらしい。ロリマーさんは、酒器や花瓶などのほかに、泡盛古酒を仕込む酒甕を数多く作っている。「成分が違う土で焼いた酒甕に、全く同じ泡盛を入れても、味がまるで違ってくるんです。半年ではっきり違いが分かるようになりますよ」

 ロリマーさんは土の成分を沖縄県工業試験場に委託して分析してきた。味わい深い数々の焼締めが作られる舞台裏には、長年の経験や卓越した職人技と同時に、緻密な科学的データの積み重ねがあったのだ。

 ロリマーさんはニュージーランド出身。備前で3年ほど修業した後、旅行で訪れた石垣島が気に入ってそこに16年、沖縄本島に移ってからは13年が過ぎた。石垣島時代に、八重山焼の古い器と出会うことがあり、その時の記憶をたどって作ったのが次の作品。酒器なのか花器なのか分からないというが、独特のひょうたん形が面白い。

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 今は沖縄本島南部、佐敷の古民家に住む。南蛮焼のルーツをたどって訪れた東南アジアでも大きな刺激を受けた。自身も泡盛が好き。仲間が集って一杯やる時は、ちょこが無造作に入れられた箱が登場し、各自が自分の好きなちょこを選んで飲むという。

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 ロリマーさんの工房は南城市佐敷字冨祖崎320、098-947-1630。作品を常時売っている店はないので、事前に電話を入れてから、工房を直接訪ねるとよい。佐敷のシュガーホールから車で数分のところ。

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