[第98回 食] 米軍レストランでぷちアメリカ体験[第100話 沖縄] まちづくり情報満載の「しまたてぃ」

2009年01月31日

[第99話 食] 午前2時に仕込み始めるてびち

 那覇港ターミナルビル向かいの嶺吉食堂。煮つけ定食が名物のこの有名店をなぜあえて取り上げるのか。それは、明日また食べたくなるてびち(豚足)の素晴らしさを伝えたいから、に尽きる。

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 この盛りを見て「量で勝負の店」と勘違いする向きもあるかもしれない。確かに量はたっぷりだが、手間ひまかけてていねいに作られた煮つけの染み入るような味をぜひ堪能していただきたい。

 店の雰囲気は、町の食堂そのもの。飾らない店内は、どこか昭和っぽい味わいがある。煮つけ定食の素朴なたたずまいも、まったく気取りがない。

 登場した煮つけ定食のボリュームとてびちの固まりを初めて目の当たりにした時は、「これは胃薬が必要になるかも」と半ば本気で思った。

 煮つけと言っても、本土で作られる甘辛味の煮つけより薄味で、塩分も少ない。しかしダシはしっかり効いていて、そのうまみが大根や豆腐によく染み込んでいる。沖縄は塩分の摂取量が少ないといわれるが、この煮つけを食べればその理由が分かるはず。「素材のうまみとだしで食べる味」が沖縄料理の真髄であることが実感される。

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 主役のてびち。余分な脂が見事なまでにきれいに抜けている。とろーりフルフルの皮はもちろんだが、赤身の肉がまたうまい。かなり煮込んであるのに、しっとりジューシー。てびちで赤身の部分をこれだけおいしく作るのは簡単ではない。

 てびちをどーんとのせたてびちそばも人気メニュー。そばと同じくらいのボリュームのてびちがのっていて圧倒される。好きな人は、骨を吸って、中心部の髄のところを楽しむ。

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 那覇中心部の港の真ん前という場所柄かもしれないが、客は、作業服姿の人とネクタイ姿の人が半々といった感じで、若い女性もちらほら見える。

 食べている最中はもちろん大いに満足したが、食べ終わって30分ほどしてから、このてびち煮つけの本当のすごさが分かった。

 「あー、食ったー」という満腹感はしっかり持続するのに、決してもたれない。あれほど味くーたーのてびちをたっぷり食べたのに、あきれるほど胃がさわやかで、すっきりしている。「きょう腹いっぱい食べて、なおかつ明日また食べたくなるてびち」というのは、沖縄広しといえども、そうはない。もちろん胃薬など全く不要。

 2007年9月12日付の万鐘本店12話で、食べた後に動けなくなるてんこ盛りのノセノセ400円弁当の話を書いたが、あれの正反対だ。

 てびちはじっくりと時間をかけてていねいに脂を落とし、そのうまみを野菜や豆腐に染み込ませている。聞けば、嶺吉食堂の主人は、昼食用に出す煮つけを、なんと午前2時に仕込み始めるのだという。

 これだけ手間ひまかけて、しかも圧倒的な大盛りで、煮つけ定食もてびちそばも750円。昨年亡くなったニュースキャスターの筑紫哲也さんも通ったらしい。

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 嶺吉食堂は那覇市西1-24-2、098-868-5404。フェリーの発着が多い安謝の那覇新港ではなく、西町の那覇港ターミナルの正面。午前10時から営業し、売り切れじまい。日曜休。

 体調不良で最近までしばらく休業していたが、このほど再開し、ファンをほっとさせた。体をいたわって、少しでも長く続けてほしい店だ。

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