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2009年02月06日

[第100話 沖縄] まちづくり情報満載の「しまたてぃ」

 万鐘本店の記念すべき第100回は、沖縄の島おこしの話題を。

 「しまたてぃ」という季刊誌がある。社団法人沖縄建設弘済会が発行する地味でまじめな建設情報誌なのだが、お役所風広報誌や業界誌とはひと味違う。沖縄のまちづくり、景観、環境などに関する情報満載で、島おこしに関心を持つ者にとっては目が離せない。

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 「しまたてぃ」は、沖縄本島北部・大宜味村喜如嘉に伝わる国土創造の神歌の言葉。「おもろさうし」に収録されているこの神歌に「くにたてぃ(国建てぃ)」「しまたてぃ(島建てぃ)」とある。

 沖縄は、海の鮮やかさに比べると、陸上部のたたずまいは今ひとつ。建造物の中には素晴らしいものもあるが、まちや地域全体が美しい空間になっているところは残念ながら少ない。戦後の沖縄は、コンクリート造りの、面白味も風情もない建物ばかりになったという指摘がある。新しい地域開発でも、那覇新都心に典型的に見られるように、コンセプトなき乱開発があちこちで進んでいるのが現状だ。

 こんなお寒い状況の中に「しまたてぃ」を置いてみると、その奮闘ぶりがよく分かる。例えば―

 2008年1月発行の44号は特集「いま沖縄の景観づくりを考える」。近世琉球王国の傑出した政治家で技術者だった蔡温(さいおん、1682-1761)の人物像と植林技術をふりかえる座談会を皮切りに、さまざまな立場の執筆者が「私の沖縄景観論」を展開する。

 特集の本体部分には「首里の風景と都市のみどり」「浦添市景観まちづくりの取り組み」「街路樹がもたらす街の風景」といったコクのある各論、事例が並ぶ。このほか「沖縄の風景づくりを考える県民シンポジウム」の討論記録も収録されている。

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 最近の各号の特集は「沖縄の環境保全と創造の現場を見る」(43号)、「沖縄の維持管理技術とアセットマネジメント」(45号)、「モノレールの新たな可能性を探る」(46号)、「沖縄の都市計画を俯瞰する」(47号)。

 個々の記事の中にも目を引くものが少なくない。例えば「ハシゴ道路の構築を目指して」(41号)、「温もりの海郷 渡名喜島」(同)、「沖縄県津波・高潮被害想定調査」(42号)、「活性化への鍵は新・粟国ブランドづくりから」(43号)、「いま注目集める沖縄式共同売店」(45号)、「報得川よ息を吹き返せ」(46号)などなど。

 しまたてぃが面白いのは「地域の風土に合った社会資本整備を進めていこう」という山里将展沖縄建設弘済会専務の基本方針と、編集担当の砂川敏彦さんの編集センスによるところが大きいようだ。

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 砂川さんは東京の雑誌記者や沖縄建設新聞の記者などを経て、2年半前からしまたてぃの編集を担当するようになったという生粋の編集人。全国各地の建設弘済会などの広報誌で、編集のプロが実際に編集しているものは少ない。その意味では、ぜいたくな布陣、といえそうだ。

 「地域を活性化させる道具としてしまたてぃを使ってもらえれば嬉しいですね」と砂川さんは話す。

 沖縄の島おこしやまちづくりについては、地元2紙にもさまざまな論議が載るが、技術にも財務にも頓着しない観念的な記事が目につく。しまたてぃは、国や自治体、企業、NPOの実務者の手になる記事が多く、現実感覚に根ざしている。もちろん、砂川さんら編集部が直接取材した記事も。こうした情報や主張でないと、実際の動きにつながらない。

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 しまたてぃは無料配布の情報誌で、書店で販売される雑誌ではない。図書館など公共機関に送られているが、沖縄県民がしまたてぃを最もよく見るのは、銀行のロビーかもしれない。でも、せっかくの貴重な情報が銀行のロビー以上に広く行き渡らないというのはいささかもったいない気がする。

 とはいえ、しまたてぃに掲載された記事の多くはしまたてぃのホームページからダウンロードして読める。沖縄のまちづくり、島おこしに関心を持つ方はとりあえずこちらをどうぞ。

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