[第126話 沖縄] 滑るように海を駆けるハーリー[第128話 食] 真っ黒な黒糖黒ごまジャム

2009年07月26日

[第127話 食] おきなの絶品フーチバージューシー

 フーチバーといえばフーチバージューシー。「よもぎの炊き込みごはん」だ。絶品のフーチバージューシーを出す店が那覇にある。

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 店の名は「琉球料理おきな」。牧志公設市場の国際通り側入口の先、アーケードから出て外側を少し歩いた場所。浮島通り側からなら、牧志公設市場向けに左に入ったところ。ふぜいのある木造の建物に、赤いのれんが揺れている。

 毎週水曜日の昼下がり―。常連客が引き戸を開けて「ありますかー」と言いながら入ってくる。店を切り盛りする3人のひとり、翁長千恵子さんが「ありますよ、どうぞー」。もちろん主語はフーチバージューシーだ。

 おきなは毎日営業しているが、フーチバジューシーは水曜日にしか作らない。なにしろ手がかかる。フーチバーの柔らかい葉だけを手でちぎっていく作業。毎日はとてもやっていられない。おきなのフーチバージューシーはフーチバーがたっぷり入るから、なおさらだ。

 フーチバーは、さっとゆがいてから炊き込む。ゆですぎると香りが抜けるし、ゆで足りないと香りが強すぎて、薬臭いような仕上がりになってしまう。その方がおいしいという人もいるが、おきなのフーチバージューシーは抑えめの香りが特徴。

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 炊く際には豚だしとかつおだしで。ジューシーのごはんを噛み締めていると、上品なだしの風味が感じられる。化学調味料だしに慣れた舌には物足りなく感じるかもしれないが、このだしはものすごく透明で控えめ。フーチバーの味やごはんのうまみを下からしっかり支えているのがよく分かる。

 脂加減も絶妙。炊き込む際には豚三枚肉を少量入れて味をのせるから、少し脂気が混ざったごはんになる。この脂が多すぎるとしつこいし、ごはんの粘り気をじゃまする。少なすぎてもおいしくない。

 口に含むと、フーチバーのよい香りがすーっと鼻に抜け、やがて、だしに支えられたごはんのうまみが口いっぱいに広がる。主役のごはんは、米粒が立っていて、弾力とほどよい粘り気が。ごはんの噛みごたえのすばらしさを再認識させられるジューシーだ。

 「これ、おばあが作ったのか、ってよく聞かれます」と千恵子さんが笑う。おばあの手作りと同様に、手をかけてだしをとり、ていねいにていねいに作るからこの味になるのだろう。

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 フーチバージューシーは500円で、小鉢が3つついたフーチバージューシー定食が600円。かかっている手間ヒマを考えたら、涙が出るほど安い。

 かつては壺屋に店があったので、今も壺屋焼きの陶器をたくさん使っている。フーチバージューシーは水曜日にしか作らないが、多めに作るので、運がよければ木曜日にも食べられる。それ以外の沖縄料理メニューも充実。

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 おきなは那覇市松尾2-11-3、098-867-6078。日曜、祝日休。営業は11:00-15:00と18:00-22:00。 

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