[第147話 食] 濃厚ドリンクで楽しむグアバ[第149話 食] ままやでトガリエビスを

2009年12月20日

[第148話 食] 手打ち風の麺に透明で深い汁

 万鐘の沖縄そば遍歴もだいぶ数を重ねてきたが、県内にはまだまだ魅力的なそば屋がある。そばじょーぐーとしては、まったく手を休めるゆとりもない。今回は、食べ応え十分の昔風そばと透明感あふれる汁とが見事なコンビネーションをみせる那覇のきくやをご紹介。

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 きくやは那覇の小禄の住宅街にあって、外見は普通の家のよう。中に入ると、店主の照屋健一さんとスタッフが人なつこい笑顔で迎えてくれる。開店から5年。このところ、そばじょーぐー達の間でウワサになることが多い注目店の一つだ。

 きくやのそばの特徴は、まずはその麺。凹凸のある手打ち風の麺は、食べ応え十分。小さな製麺所に特別注文して作ってもらっている。つるつるののどごしを楽しむ細麺とは全く違うタイプ。これまで万鐘本店で紹介した沖縄そば店は、どちらかといえば、厚さが均一の細麺、平麺の店が多かったかもしれない。第3話の美里そば然り、第122話のなかどまい然り。

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 手打ち風という意味では、きくやの麺は、第108話で紹介した浦添のてだこそばの麺に似ている。が、きくやの麺はてだこそばの麺ほど固くないし、太さも太め。「昔風の沖縄そば」と形容した理由はそこにある。こうした厚めの麺は、口の中でゆっくりとモグモグしながら味わう。やんばるのそば店でよく出てくる麺に近い。

 汁。ここまで透明感があるのにここまで深いコクのある汁、というのは、なかなかない。手打ち風のボコボコ感のある麺の強さに負けないようにするには、こってりタイプの強い汁にする手もあるが、きくやの汁はあくまで透明だ。透明なのに深いコクがあるから、この麺と最高のコンビネーションをみせる。雑味がないのにとことん深い九州のアゴだしを思い出す。

 肉の煮方は、柔らかめで麺によくなじむが、ぎりぎりの歯ごたえはちゃんと残してある。しかも、三枚肉のスライスはよくある沖縄そばの三枚肉より大ぶりで厚めに切ってあるので、食べ応え十分。麺の食べ応えとよくマッチする。

 というわけで、どんぶりの中は見事な昔風沖縄そばの世界。正確に言えば、リッチな昔風、である。それだけでも十分に楽しめるが、きくやがおいしいのは、どんぶりの中だけではない。周りの「おまけ」もおいしい。

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 その筆頭格が小皿にのったジージキ(地漬け)。大根のジージキは、沖縄では塩を使わず、砂糖や黒糖と酢で漬けることが多いので、バランスが悪いと妙に酸っぱかったり、甘すぎたりする。きくやのジージキは、ひたすらさわやか。調味料の加減と漬け具合が絶妙なのだ。うっちん入りなのは、黄色の色をつけるためだけではなく、うっちんならではの渋みで全体をやんわり引き締める効果もありそう。

 失礼とは思ったが、そばのヒミツをうかがう前にジージキのヒミツを尋ねたら、照屋さんは言った。「いや、これは80のおばあが漬けているもので、どうやって作っているかは私も知らないんですよ」。うーむ、おばあの手作りか。これはもはや商品ではない。ただただ、ありがたい食べものと言うほかない。

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 食後に出てくる黒糖ぜんざいの小鉢もなかなか。こっくり甘いぜんざいは、そばで塩味になっている口の中をまるーくしてくれる。沖縄のぜんざいについては第73話でお伝えした。

 最後に、きくやのすべてをおいしくしているもう一つのことを。店のみなさんの人なつこい雰囲気がそれだ。照屋さんはじめ、スタッフがみなニコニコしていて自然体。気さくに話しかけてくれるので、とても気持ちよく食事ができる。

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 きくやは場所がちょっと分かりづらい。ツタヤ小禄店の裏手にあるのだが、うまく見つからなければ電話を。沖縄県那覇市田原1-6-2、098-857-0565。木曜定休。

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