[第159話 農、食] 岐路に立つ沖縄のサトウキビ[第161話 農、南] 稲の品種改良に注ぐ情熱

2010年03月14日

[第160話 食、南] コリアンダーたっぷりのペルー料理

 生コリアンダーの葉をふんだんに使う南米ペルー家庭料理の店「ティティカカ」をご紹介。経営するのは、ペルー生まれの比嘉ルイスさん、マリーさん夫妻。ふるさとペルーの家庭の味を、両親の故郷沖縄で提供している。

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 沖縄移民は、ブラジルをはじめ、南米各地にたくさんいる。ブラジル移民帰国者が作るおやつの話は第47話で紹介した。ペルーも沖縄出身者とその子弟が多い。現在、ペルーに10万人いる日系人の7割は沖縄系。沖縄からペルーへの移住の歴史は古く、2006年には首都リマで「県人ペルー移住100周年記念式典」が盛大に開かれた。

 ルイスさん、マリーさんの店ティティカカは、国際色豊かな沖縄市の一角にある。土日ともなれば、ペルー出身で沖縄在住の仲間がつどい、ふるさとの味に舌つづみを打つ。飾り気のない素朴な店内には、ペルーの人気歌手のビデオが流れ、ペルー直輸入の食材が並ぶ。

 冒頭の写真が、アロス・コン・ポヨ、つまり鶏のせごはん。炭火焼きの鶏肉が、緑色のごはんの上に乗っている。この緑色が生コリアンダーの葉。さわやかな香りとかすかな苦みが特徴だ。このごはんは、生コリアンダーの葉と鶏肉、玉ネギ、ニンニクがたっぷり入った炊き込みごはん。結婚式などにもよく出るメニューという。

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 アロス・コン・ポヨのポヨ、つまり炭火焼の鶏が、実は、ティティカカの一番人気メニューらしい。25種類のスパイスを入れた漬け汁に前日から漬け込み、味をしみ込ませて、炭火でじっくりと焼く。パサつきがちなフライドチキンと違い、しっとりジューシー。炭火焼きの香りがたまらない。

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 こちらはセビッチェ・ペスカード、つまり魚のマリネ。白身の生魚にタマネギ、ニンニク、セロリといった芳香を放つ野菜類と生コリアンダーを混ぜ、レモン汁を注いで漬け込んだもの。香味野菜群が、独特の強いインパクトを醸し出す。

 コハダやママカリのような魚の酢漬けが好きで、かつ、ネギ、ニンニクに目がないという人には最高だろう。ただし、ティティカカでは、セビッチェは土日限定メニュー。

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 最後にエストファド・デ・カルネとフリフォーレス。エストファド・デ・カルネは牛肉のシチュー。ごらんのように緑色をしているのは、そう、生コリアンダーがたっぷり入るから。トマト仕立てのビーフシチューよりも全体にさわやかな感じになっているのは、やはり生コリアンダーのせいだろう。

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 牛肉の相方を務めるフリフォーレスはマメ。マメの煮込みは、ペルーに限らず、中南米で広く食べられる。形が崩れるくらいコトコト煮込んだ豆と、炊いた白いごはんの組み合わせが多い。

 国や地域によって使われる豆に違いがある。小豆のようなフリフォーレスも見かけるが、ペルーでは、この白いカナリオ豆が使われるという。よく煮ると、金時豆を煮た時のように粘りが出る。

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 目に鮮やかな紫色の飲み物は、チチャ・モラーダ。紫色のトウモロコシをゆでて色素を煮出し、レモンと砂糖などを加えたもの。赤ワインのような色合いだが、体によいポリフェノールはそのワインよりもずっと多く含まれているらしい。ちなみに、チチャは、同じトウモロコシを発酵させた地酒だが、チチャ・モラーダは発酵過程はない。アルコール分を全く含まないソフトドリンク。

 ルイスさんの両親は本部町、マリーさんの両親は那覇市の出身。二人はリマで育った。日本に来て、初めは川崎市で働いていたが、3人の子供たちがいずれも日本の大学を無事卒業。子育てが一段落したのを機に、昨年、両親のふるさと沖縄でティティカカを開いた。

 ティティカカは沖縄市中央1-23-16、090-1344-3688、火曜定休。

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