2013年02月

2013年02月23日

正解は「ギリギリ加熱」

 ハンバーグをおうちで作る際に、多くの方が深く深く悩むのは、焼き方です。

 焦がしたり、中まで火が通らなかったり、どうもうまく焼けないんだけどー

 実によく分かります。ももと庵の厨房でも「ハンバーグを上手に焼く」ことは、かなり難しい仕事です。

 まず、中火のフライパンに油をひき、生のハンバーグを入れ、片面の表面がきつね色になるまで、1、2分焼きます。ハンバーグ生地がまだ柔らかいので、あまり触らないようにして、時々、フライパンを軽くゆすりながら焼きましょう。

 フライ返しで少し持ち上げて焼き面がきつね色になっていたら、そっと裏返し、同じように1分ほど焼きます。

Hamburg4


 この状態では、もちろん中はまだ全く生です。この後、方法は2つあります。

 方法その1。焼き色がついた生地をそっとスープ皿のような皿にとり、500wくらいの電子レンジにかけます。

 レンジをかける時間は生地の大きさ、厚さ、開始段階の肉の温度によって変わってきます。まずは2分弱を目安に、そこで1回止めて、お箸を刺してみます。中からピンク色の液がまだ出るようなら、まだ。20秒くらいさらに加熱しては箸を刺し、を繰り返して、箸を刺した時に出る汁の色が透明になるまで加熱します。

 方法その2。焼き色がついたら、フライパンの火をぐっと弱め、とろ火の状態にし、ふたをして6、7分焼きます。

 次に裏返して、同じように6、7分焼きます。水がかなり出ていたら、最後の3、4分はふたをとって、水気を飛ばすようにします。ただし、火を強める必要はありません。

 お箸を刺して、ピンク色の汁が出ないことが確認されたら、すぐ火を止めて下さい。


 電子レンジでもガス火でも、汁が透明になったらすぐ加熱を止めることが最大のポイント。つまり肉に火が通るギリギリのところで加熱を止めるのです。

 この段階で中心部分は100度になっていません。85度ほど。それで十分なんです。肉料理をジューシーに仕上げるには、それくらいの加熱にとどめるのが理想です。

 加熱している間、ある程度の汁は出てきますが、前回説明した「預金」があるので、あまり気にしないで下さい。ただし、出て来た汁は捨てないで。後で使います。

 最後に、ソースを作ります。その話は次回に。


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2013年02月17日

加水でジューシーさが倍増

 前回はアメリカンの肉だけハンバーグの話をしました。今回からはニッポンのハンバーグです。おいしい作り方を何回かに分けて綴ってみます。

 ニッポンのハンバーグでとりわけ重視されるのは、ジューシーであることと、柔らかいこと。この2つ条件を、やや過剰なくらいに満たさないと、みなさん、なかなか満足しません。

Hamburg3


 ジューシーにするにはどうすればいいかー

 そもそも、ハンバーグを焼く際に大変難しいことがあります。厚さが2cm前後あるため、中心まで火を通すのに時間がかかり、長い時間、焼いていると、その間に肉汁がどんどん出て、パサパサになってしまうのです。

 そこで生地を作る際に、あらかじめ少し加水しておきます。ひき肉の量の1/4から1/5くらいの水を、ひき肉と一緒に練り込んでおきます。こうしておくと、焼いた時に少しくらい肉汁が出ても、まだたっぷり中に水気が残っているので大丈夫、というわけですね。

 汁がある程度は出てしまうことを覚悟のうえで、先回りして肉の中に水を「預金」しておくような感じです。

 加水した生地は、柔らかい感じに仕上がりますが、面白いことに、肉の細胞は水をきれいに吸ってくれるので、生地が柔らかくなることはあっても、べちゃべちゃと水っぽくなるようなことはありません。

 ジューシーさの次は柔らかさ、です。

 前回、アメリカの「肉だけハンバーグ」について書きました。いくらひき肉とはいえ、肉は筋肉なので、肉100%でハンバーグにすると、意外に歯ごたえを感じます。

 それがまたいいのですが、片や、ニッポンのハンバーグは「箸で簡単に切れ、口の中で数回噛めば、たやすくほどける」くらい柔らかいこと、が求められます。口の中で筋肉を感じ、それを歯で噛み切らねばならないようでは、「柔らかさが足りない」という不満につながってしまいます。

 ハンバーグを柔らかくする方法は、スジ気のまるでない何かを肉の間にかませること。日本では、多くの場合、牛乳でふやかしたパンを練り込みます。

 あまりパンが多すぎてもいけません。パンが多すぎるハンバーグは、主役の座をパンが肉から奪い、ベタっとした団子のような食感になってしまいますので。

 生地ができたので、次回はいよいよ焼きに入ります。


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2013年02月11日

米国式ハンバーグは肉だけ

 今回から少しハンバーグのことを綴ってみます。考えてみれば、ハンバーグって不思議な料理ですよね。海の向こうからやってきて、日本風にアレンジされ、家庭料理としてすっかり定着。みんな大好きハンバーグ、になっています。ももと庵メニューでも、かなりの人気者です。

Hamburg2


 でも作るのは意外に大変。「ひき肉をまるめて焼くだけ」といえば確かにそうなんですが、おいしく作るには、いろいろノウハウがあります。

 作り方うんちく編の前に、今回は、ちょっとだけアメリカのハンバーグ話を一席。

 ハンバーガー大国、アメリカの家庭では、よく友だちを家に招待します。「今度の土曜日に家でバーベキューをしますので、ご家族と一緒にぜひどうぞ」と声がかかるのが定番。

 「バーベキュー」と聞いて、串刺しの肉の固まりなんぞを勝手にイメージしながら、いそいそと出かけます。

 庭では、だいたい主人が炭火をおこして、お客に飲み物をふるまいながら、ひととき、おしゃべりを楽しみます。

 火が十分おきた頃、冷蔵庫にしまってある「焼くもの」を奥さんが持って登場します。トレーなどに入れた「焼くもの」の上にアルミ箔をかぶせて、しずしずと、いやアメリカの奥さんですから、何かしゃべりながら、明るい感じで運んできます。

 招かれた側も、この頃にはかなりお腹がすいているので、いやがうえにも期待が高まります。

 アルミ箔のフタがはずされると、しかしながら、そこに姿を現すのは、肉の固まりではありません。串刺しの肉でもありません。まず十中八九、ハンバーグです。???!「バーベキュー」のイメージとは違うので、ちょっと面食らいます。

 さらにー

 出て来るハンバーグが、日本のそれとは大違いなので、二度びっくり。牛ひき肉100%の固まりなんです。そう、まさに、ひき肉をまるめて焼くだけ。日本のハンバーグだと、玉ネギやらパン粉やら、肉以外にいろいろ入れますから、「100%牛肉のハンバーグ」には、意外な新鮮さがあります。

 これを、おもむろに炭火で焼きます。「肉だけ」ですから、まさにステーキの感覚。アメリカで売られている牛肉は、よほど柔らかい部位でないと、そのまま焼いたのでは固くなってしまうので、ひき肉にしてから焼くというのは、確かに理にかなっています。

 厚みがあるので、焼くのは、結構な時間がかかります。焼いている間に肉汁がしたたり落ちてジュワっと煙が上がり、それはもう、おいしそう。

USHamburg


 焼き上がった牛100%のハンバーグ。アメリカでは、みなさん、焼き上がった肉だけハンバーグを丸いパンにはさんで、ハンバーガーにして食べます。ケチャップやマスタードをかけて。生の玉ねぎのスライスを挟む人もいます(写真は沖縄の米軍基地内レストランで出て来た肉100%の米国式ハンバーグ)。

 このハンバーガー、ファーストフードのそれとは比較になりません。ハンバーグは厚くて大きく、肉のうまみ十分。噛み応えも十分。あぁ、こういうハンバーグもあったのねー

 串刺し肉への思いはとっくに消え、もぐもぐしながら、口いっぱいに広がる炭火焼牛肉の味に身をゆだねている自分に気づくことになります。

 次回から、日本式ハンバーグの作り方編です。


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2013年02月05日

ポッと出の日経ランキング6位

 万鐘の製品を取り上げていただいた活字メディアの中で、これまでで最も反響が大きかったのは、日本経済新聞の「何でもランキング」でした。

 日本経済新聞は、毎週土曜日に、本紙とは別刷りで土曜版が発行されています。それがNIKKEIプラス1です。これが、さまざまなテーマでベスト10を掲載することがあります。

100925NikkeiPlus1A


 テーマは本当にいろいろで、「秋の紅葉をめでる場所」のような旅行系もあれば、「3万円台で買えるデジタルカメラ」みたいな買い物系も。

 このなんでもランキングの「お代わりしたくなるご飯のお供」というテーマで、万鐘の黒糖肉みそが6位になったんです。

 このランキングでは、初めにその道の専門家の推薦を受けて、100以上の候補商品が書類選考され、さらに、その中から2人以上が推すものを中心に25品が試食会に残ることになりました。

 試食会で審査する方々は、有名デパート食品部のバイヤーとか、食の専門誌の編集長とか、その道のプロばかり11人。

 他の候補商品の顔ぶれもすごかったのです。例えば、ということで、上位にランキングされたご飯のお供のさわりを紹介しますとー

 1位は新潟・加島屋の「さけ茶漬」。東京の有名デパートの多くに自社コーナーを持ち、さまざまな海産物加工品を販売しています。最高級の鮭をほぐしたさけ茶漬はその看板商品。食品業界で知らない人はいないでしょう。

 2位は京都の老舗旅館・美山荘の「花山椒ちりめん」。ちりめん山椒なんですが、山椒の実ではなく花を入れているのが特徴だそうです。残念ながら食べたことはないのですが、いかにもおいしそう。

 3位は大阪の老舗料亭・花錦戸の「まつのはこんぶ」。ただの塩昆布ではありません。スッポンのスープで煮込んだ昆布なんだそうです。昆布×スッポン。まさに「うま味×うま味」という感じです。

 こんな猛者たちがひしめく中で、万鐘の肉みそが、ポッと出で6位に。一番驚いたのは私たち自身でした。

 掲載されると、個人のお客様の注文が増えたのに加え、卸業者などからの問い合わせも入り始めました。加島屋のさけ茶漬のようにだれでも知っている商品ではなかったため、かえってバイヤーたちの興味を引いたのかもしれません。

 フジテレビの「とくダネ!」の時のような瞬間湯沸かし器的な大反響ではありませんでしたが、静かにじわじわと反響がありました。

 「甘さと辛さがほどよく同居し、ご飯が進む味」(畔田隆弘・伊勢丹食品営業部シェフズセレクションバイヤー)
 「ジューシーで豚の甘味をよく引き出している」(町田成一・「dancyu」編集長)

 過分なお言葉をいただきました。

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