2013年06月

2013年06月29日

Vポップのデュエットが面白い

 アジア実力派ボーカリストのシリーズ、今回の話題はV-popのデュエット。ベトナムではデュエットに意外な人気があるみたいです。

Vt Minh Tyuet Bang Kieu

Vt Cam Ly Dan Truong


 冒頭の上の写真は、Vポップデュエットの名コンビと言われるミン・トュエットMinh Tuyetとバン・キエウBang Kieu。共演映像をYou Tubeでご覧下さい。曲はシン・ロイ・アインXin Loi Anh(ごめんなさい)。

 恋人のもとを「ごめんなさい」と言いながら離れていこうとする女と、ひたすら愛を語る男を、2人がなりきって演じています。ステージでの2人は、まるで映画の1シーンを演じているかのよう。この濃いめのステージ演出がベトナム流です。



 最後のあたりでミン・トュエットのほほに涙がひとすじ流れているのに気づかれましたか。

 ミン・トュエットはホーチミン市出身の36歳。6人きょうだいの末っ子で、姉2人も有名な歌手です。一方、バン・キエウはハノイ生まれの39歳。2人ともつやと張りのある高めの声で、声質が似ているせいか、見事なハーモニーを聞かせてくれます。

 2人はデュエットアルバムも出しています。You Tubeに出ているデュエット曲でこのシン・ロイ・アインの再生回数は約200万回、それ以外に100万回を超す曲があり、コンビの人気ぶりがうかがえます。

 もちろん2人ともソロの歌手で、ふだんはそれそれで活動していますし、別の相手とデュエットすることもあります。

Map Vt2

 (万鐘の南向き地図からベトナム関連部分)

 ミン・トュエットの姉、カム・リーCam Lyと、ダン・チュオンDan Truongもデュエットで人気です(冒頭の下の写真)。

 カム・リーは43歳。主に南部ベトナムの民謡調の歌を歌ってきました。ダン・チュオンはホーチミン市出身の36歳。普通のポップスから民謡調まで何でもこなします。

 次の曲はベトナム南部の伝統音楽っぽい味わいを強く残したポップス、チム・チャン・モッ・コイChim trang mo coi。世界有数の米どころ、メコンデルタの稲穂がゆれる風景をイメージさせるゆったりとしたメロディです。メコンデルタではお米が1年に3回もとれるんですよ。

 この旋律。欧米の音楽を当たり前に聞いている耳には、音の上がり下がり、特にダン・チュオンのパートが、予想を裏切る音階の進行になっていて、スリリングです。

 聞き慣れないと「音をはずしているんじゃないか」と一瞬、思ってドキドキしてしまいますが、そんなことは全くありません。何度か聞いて慣れてくると、独特の旋律が耳に残り、ちょっとクセになります。



 この曲も複数のビデオがYou Tubeにアップされていますが、主なものの再生回数を足してみると230万回を超えます。


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2013年06月23日

万鐘ももと庵、開店1周年

 きょう6月23日、万鐘ももと庵は開店1周年を迎えます。勝連城跡のふもとの、ほとんど人通りのない場所に産声を上げてから1年。みなさまのご愛顧に心から感謝申し上げます。

 おきなわの味、アジアの香りー。他のどこのレストランでも食べることができないオリジナリティあふれる料理やデザートを、これからも作ってまいります。新メニューもいろいろ企画していますので、どうぞお楽しみに。緑豊かな安らぎの空間づくりも、さらに充実させていきたいと思います。

 きょうは開店記念ということで、粗品を用意しています。ぜひご来店下さい。

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 開店時に制作したももと庵のパンフレットが既に品切れしていたのですが、新版がこのほど出来上がりました。表紙は、勝連城跡の一番上から太平洋の青い海を臨む写真。左下にももと庵の赤い屋根が見えています。

 開店時よりもメニューが増えていますので、見開きページの左側には、8種類の膳メニューの主菜の写真を配置しています。英語を話すお客様もときどき来られるので、メニュー写真には簡単な英語の説明も加えました。

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 見開きの右側では、勝連城跡の歴史や、周辺の歴史スポットを地図入りでご案内しました。お食事の後、近くを散策されて、勝連城をめぐる歴史ロマンを感じて下さいね。

 ももと庵の名前の由来になっている「百十踏揚(ももとふみあがり)」についても説明しています。琉球国王の娘として生まれ、国の華と慕われながら、政略結婚で勝連に嫁ぎ、勝連と首里の対峙の荒波に飲み込まれていく激動の人生、です。


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2013年06月20日

新登場、パッションぜんざい

 夏の味覚、新登場です。パッションぜんざい。パッションフルーツのトロピカルな香りと酸味に、せんざい豆のコクのある甘味が絡みます。

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 生パッションフルーツの果実から作った自家製パッションソースを、ぜんざいのかき氷の上からたっぷりかけました。さわやかなパッションの香りと酸味を楽しみながら、少しずつぜんざい豆と混ぜてお楽しみ下さい。

 ぜんざい豆は金時豆。長い方の径は2cm近くもあろうかという大ぶりの豆です。白糖と黒糖をブレンドしてこっくりと甘く、柔らかく炊き上げました。これをひんやりと氷でいただくのは、まさに沖縄の夏の味。

 酸味の強いパッションが、この甘いぜんざい豆とマッチするかー

 するんです、これが。パッションの方はぜんざい豆からコクという土台をもらい、ぜんざい豆はパッションから香りとさわやかさを受け取って、ひとつになる。そんな感じでしょうか。

 いちご大福っておいしいですよね。かつては創作和菓子として話題になりましたが、今ではすっかり定番になっています。あんこと果物は、一見ミスマッチながら、実はとてもおいしい組み合わせ。

 パッションとぜんざいの組み合わせも、このいちご大福と似ています。パッションぜんざいの方が、熱帯果樹特有の強い香りがある分だけ、いちご大福よりも強烈なコンビネーションといえるかも。

 この夏、ももと庵で新しい夏の味覚をぜひご体験下さい。昨年から好評をいただいているパッションプリンもご用意しています。


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2013年06月14日

今もこんこんと水が湧く浜川ガー

 勝連城跡の周辺にはいくつかの歴史スポットがあります。ももと庵に近いところでは、ももと庵の正面から下に降りる細い坂道を行った先に、「浜川ガー」があります。ガーというのは沖縄語で湧き水のこと。

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 勝連城の7代目城主だった浜川按司には、真鍋樽(マナンダルー)という名の娘がいました。絶世の美女、と言われたマナンダルーの髪は、身長の1.5倍もの長さだったといいます。マナンダルーはこの浜川ガーで、棹に髪をかけながら髪を洗ったのだそうです。

 7代目城主ですから、首里と対峙することになる10代目城主の阿麻和利の時代より少し前です。14世紀の終わりか15世紀の初め頃でしょうか。

 このガー、ひんやりした水が今もこんこんと湧いています。流れ出した水は周辺の畑の灌水などにも使われています。

 マナンダルーの話が15世紀初めとしても、既に600年以上が経過しています。もちろん、マナンダルーの逸話がその頃ということで、ガーそれ自体はもっと以前から湧いていたと考える方が自然でしょう。となると、このガーには700年、800年という長い歴史があることになります。いやそれ以上かも。

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 この間に、アジア貿易で繁栄していた勝連は首里の琉球王朝に滅ぼされ、その琉球王朝は明治の日本に滅ぼされ、日本になった沖縄は今度は沖縄戦でアメリカにやられました。

 そんな激動の歴史の中でも、この水はおそらく止むことなくずっと湧き続けていて、人々の毎日の暮らしを潤してきたわけですね。

 時が止まったような静かなガーで、ひんやりとした湧き水に手をひたしながら、そんなことをつらつら考えていると、何とも不思議な感覚に陥ります。

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2013年06月08日

豚重物語3―白ねぎと泡盛で甘くないタレ

 豚重物語の最終回です。

 炭火でしっかり焼いた肉の香りと味を主役に、ごはんものを作りたい、とは考えたものの、しゃぶしゃぶ肉でもダメ、固まりでもダメ。なかなかうまくいきません。

 その時、一番最初のステーキのイメージを思い出しました。そうか、ステーキでは厚すぎてごはんとは絡まないけど、焼く時はそれでいいんじゃない? つまり、大きな固まりをいぶすのではなく、ステーキサイズの肉を普通に焼いてから冷まして、極薄にスライスするー。

 固まりのようにスライスしやすくないですが、重ねてスライスすれば何とかなりそうです。

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 やってみたら、うまくいきました。焼かれた肉と脂がほどよくごはんに絡んで、紛うことなき炭火焼豚ごはんになっています。もはやベーコン丼ではありません。

 炭火焼きする際の火の入れ方をぎりぎりの線にとどめることで、炭火焼の香りをたっぷり含んだ柔らかく、ジューシーな豚重ができました。

 タレは? これは甘辛味ではもちろんダメなので、砂糖やみりんに頼らず、もっとストイックに組み立てることにしました。もちろん化学調味料は一切使いません。

 ベースは醤油。これに、肉の旨味をわきから引き立ててくれる自然な甘味を期待して、白ねぎをたっぷり入れました。

 次に泡盛。泡盛は、特に醤油と合わせると、独特の深い旨味が出ます。料理酒としての泡盛の実力はかなりのもの。もっと語られていいと思います。

 隠し味に黒砂糖をちょっとだけ、甘さを感じない程度に入れました。黒砂糖には、甘み以外に、渋みなど複雑な味があるので、それにも期待しました。

 結果は上々。豚肉のうまみとごはんの甘味をうまくつないでくれる「甘くないタレ」になりました。

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 先々週のこと。梅雨入りしてあいにくの天気の中、9人のグループが来られ、全員、豚重をご注文。実は豚重好きの常連さんが、本土からのお客様を引き連れて、のご来店でした。

 「沖縄に来たらこれを食べてもらわなくては、ということでお連れしたんですよ」。たいへん嬉しい一言でした。

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2013年06月02日

豚重物語2―豚しゃぶ肉もダメ、固まりもダメ

 炭火で焼かれた肉の最高の味と香りを活かしながら、肉とごはんを一体化させるにはどうしたらいいかー。豚肉のごはんものを組み立てるうえで、これが大きな課題でした。

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 当時、既にしゃぶしゃぶ用のスーチカーを製造していました。向こう側が透けて見えるくらいに極薄にスライスした微塩熟成の三枚肉です。この薄さなら、口の中でごはんと一体になってくれるんじゃないか。

 早速、豚しゃぶ肉を炭火で焼いてごはんに乗せてみました。期待通り、ごはんとの一体感はばっちりです。

 ただ、一つ、大きな問題がありました。それは、あまりに肉が薄すぎて、火の通りが均一にならないことです。

 極薄切りの肉を1枚ずつ焼くことはできませんから、何枚かまとめて焼くことになりますが、重なり具合によって厚さや大きさがまちまちになり、火の通りがなかなか均一になりません。ある部分は焼き足りないのに、他の部分は焼き過ぎて焦げたり、肉汁が出てパサパサになったり。

 考えてみれば、炭火の側も、ガス火のように火力が均一とは言えないわけです。「でこぼこ」が激しい。

 じゃあ、大きな固まりのままじっくり焼いてから、スライスしたらどうだろう、と考えてやってみました。

 薄切りにした後に炭火焼の香りがしっかり立つようにするには、よほど時間をかけてじっくりいぶし焼きのようにしなければなりません。なにしろ厚さが5、6センチもある三枚肉の大きな固まりです。煙を逃さないようにカバーしながら、弱火でじっくり焼きました。

 ベーコンのような、きつね色の固まりができ上がりました。早速、薄切りにして、ごはんの上へ。

 これはこれでおいしいのですが、「周囲がいぶされている」というまさにベーコンの感じで、「炭火で焼いた肉」というのはどうも違います。

 ベーコン丼、か。それもいいけど、なんかちょっと違うなあ。

 模索が続きます。

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