2013年10月

2013年10月26日

江戸っぽいラオス女性の髪型

 今回は、食べものがらみでも、歌がらみでもない、ちょっと寄り道のアジアねたです。アジア女性のヘアスタイルの話を少々。まず、この写真からどうぞ。

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 ラオスの首都ビエンチャンの宝飾店で見かけた女性。髪のまとめ方に、独特の雰囲気があると思いませんか。

 ラオスの町を歩いていると、女性のヘアスタイルに不思議な既視感を覚えます。なぜか、江戸時代の時代劇に出てくる日本髪の女性を想像してしまうんです。

 今ひとつピンと来ない方でも、下の2枚の写真を見れば、ああ、と思ってもらえるのではないでしょうか。


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 後ろの下の方で束ねるにしても、ポニーテールのように少し上の部分でまとめるにしても、ただ縛ってまとめただけでは、たぶん、こういう感じにはなりません。

 江戸時代っぽい印象を与えるラオス女性の髪は、いずれも、生え際からまとめた部分までの髪が、ゆったりと下の方に垂れています。最後の写真を見れば、それが一目で分かります。

 一番最初の写真の女性の場合は、髪がそれほど長くないのですが、それでも生え際からまとめた部分までの間が少し垂れ下がっています。額から頭頂部にかけての上部や横の部分にも少しボリュームを持たせている感じがします。

 髪をまとめるのは、アジア各地共通の習慣みたいです。

 日本のテレビで見たのですが、戦前の人気芸者で「洗い髪の○○」という女性がいたそうです(○○というのは女性の名前なんですが、忘れてしまいました)。

 当時、髪をおろして、今で言えば「サラサラロングヘア」で人前に出ることは「はしたない」とされ、何らかの形にまとめる、結うのが常識だったとのこと。

 この人気の芸者が、たまたまグラビア写真撮影に遅れそうになり、洗い髪をまとめないまま撮影の場所に駆けつけたら、それがいいとされて、サラサラロングヘアのまま撮影。「洗い髪の○○」でかえって人気が出て、ブロマイド写真が飛ぶように売れた、というエピソードでした。

 ベトナムに行った時、現地の女性から、ベトナム女性でショートヘアの人はほとんどいない、と聞かされてびっくり。それまでは意識していなかったのですが、周囲の女性のヘアスタイルを改めて見てみると、確かに、みな判で押したように、長い髪をまとめているんです。

 ラオスもほぼ同じ。ショートヘアの女性はまずいません。

 髪のまとめ方は、ベトナムは普通にまとめているという感じですが、ラオスは前半でいろいろ書いたように、下の方が垂れていて、上部や横にもボリュームがあって、なんともクラシックな印象を与えます。

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2013年10月20日

聞き比べ、月亮代表我的心

 アジア歌手シリーズで少し前に取り上げた蔡琴(ツァイ・チン)の映像を探している時に、心に残るビデオがありました。台湾の国民的英雄として知られる故テレサ・テンの代表曲「月亮代表我的心」を蔡琴が歌っているライブでした。

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 口ずさめる親しみやすいメロディラインのこの歌、テレサ・テンがまいた種が芽吹いたのか、台湾のみならずアジア各地で愛唱されているようです。

 今回は、歌手ではなく、この曲「月亮代表我的心」(ユェリャン・ダイビャオ・ウォディシン、月が私の心を表している)を取り上げ、何人かの歌を聞き比べてみたいと思います。

 まず、本家テレサ・テンの月亮代表我的心から見ていただきましょう。声量があるわけではないのですが、この独特の繊細さとなんとも言えない「しっとり感」は、他のだれにも出せないのではないでしょうか。



 テレサ・テンは、1970年代、80年代、台湾の国民的歌手であると同時にアジア各国でも絶大な人気を誇った「アジアの歌姫」でした。日本語のヒット曲がありましたし、日本のテレビの歌番組にもよく出ていたので、おなじみですね。

 1995年にぜんそく発作のため42歳の若さで滞在先のタイで急逝。台湾政府の決定で、国葬に準ずる公葬が営まれ、国民的英雄の急死を悼む数万の人々が会場を埋め尽くし、その棺は国旗で包まれたそうです。

 月亮代表我的心は、たくさんの歌手がカバーしています。日本の歌手も、SMAPが北京公演で歌ったり、夏川りみがアルバム「歌さがしーアジアの風ー」に日本語バージョンを入れたり。

 歌詞の日本語訳は、前回もお世話になったBitEx中国語のサイトに全訳が載っていますのでごらん下さい。いつもありがとうございます。


 さて、聞き比べ。テレサ・テンのあきれるほど繊細で甘美な歌唱を少しデフォルメして引き継いでいる感じを受けるのが、同じ台湾のベテラン男性歌手、費玉清(フェイ・ユーチン)です。

 費玉清は、この曲に限らず、ビロードのような滑らかな声で、ていねいにていねいにメロディを紡いでいきます。30年以上の歌手歴の中で数多くのヒットを生んでいますが、それはまた別の機会に。

 費玉清の月亮代表我的心をどうぞ。どこまでも誠実な歌唱です。



 アレンジも、どこか懐かしい昭和のタッチですね。

 費玉清の歌い方は、何度か出てくる「我愛 wo ai」のところが印象的です。wですぼめた口が滑らかに大きく開いて音が明るさを増すのが、ちょうど音階が上がって盛り上がっていくのときれいに重なるからでしょうか。


 次に、アジア実力派歌手のシリーズ第1回で取り上げたマレーシアのシティ・ヌルハリーザ Siti Nurhaliza。彼女も、アルバム「チェリタ・チンタ」(ラブストーリー)の中で中国語の月亮代表我的心をカバーしています。

 シティは、台湾の歌手たちとは趣きが違って、東南アジアの正統「声量たっぷり」派。もちろん、歌い回しのうまさもピカイチですが、豊かな声量の彼女が歌うとどうなるか。静止画しか見つかりませんでしたが、お許し下さい。

 テレサ・テンを意識したのか、歌い出しからしばらくは、あまり声を出さずに歌い回しの巧みさで進んでいきますが、2分25秒くらいのラストの部分ではシティらしい豊かな声量を聞かせてくれます。



 シティの月亮代表我的心は、編曲も歌い方もシャープな印象。なかなか心地よいですね。


 最後に、韓国のチュ・ヒョンミのライブ映像をどうぞ。ギター1本の伴奏です。

 チュ・ヒョンミは、韓国演歌を歌うベテラン。

 テレサ・テンや費玉清とも、シティ・ヌルハリーザとも違う、語りかけるような歌唱。完全に独自の世界を作り上げています。表情もとても豊かですね。




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2013年10月14日

南向き地図の第2版、できました

 南が上のオリジナル南向き地図「アジアの世紀」の第2版、できました。好評のうちに初版が完売したため、お待たせしていましたが、内容を一部改訂した第2版が刷り上がりました。

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 改訂したのは、まず色。精密な地図というよりは、部屋に飾りながらアジアのイメージを膨らませていく観賞用地図ですので、初版よりも少し鮮やかな色にしました。

 ホームページの画面で見ると、初版もきれいな発色だったのですが、紙に印刷するとどうしてもややくすんだ感じになります。

 そこで2版では、全体に色を鮮やかにしました。ぱっと見た感じがだいぶカラフルな印象になったようです。

 もう一つ、改訂したのは、都市を増やしたこと。初版に比べて、50カ所近く増やしました。フィリピン、インドネシア、ベトナム、ラオスあたりがやや手薄だったので、そのあたりを中心に増補しました。

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 最後に、経線の上下の端に、東西南北を示す印を置きました。初版でも経線は引いていたのですが、あまり目立たなかったので、「方角が分からない」とのご意見をいただいていました。

 経線の色を濃くすると全体の邪魔になるので、経線の上下、つまり地図の端の方に方角を示す印を入れることで、方角をはっきりさせました。

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 部屋やトイレに飾って見慣れてくると、ウソのようにアジアがどんどん見えてくる南向きのアジア地図。

 ビジネスでアジアに足しげく通っている、旅行で時々アジアを訪れている、地図で世界をながめるのが大好き、アジアと日本の付き合い方を考えたいー。そんな方にお勧めですよ。

 「アジアの世紀」のお求めはこちらで。B2変形判。丈夫な紙筒入りで890円(送料別)です。

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2013年10月09日

お魚メニュー、初登場!

 2つ連続して来襲した台風が過ぎ去りました。だいぶ涼しくなって、食欲がふつふつと湧いてくる季節。ももと庵初のお魚メニューのお知らせです。

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 肉もいいけど魚も食べたいねー。リピーターのお客様からしばしば寄せられていたご要望にお応えしました。

 魚メニューの記念すべき第1号ですから、思い切って、沖縄を代表する最高級魚のミーバイ(ハタ)でいってしまうことにしました。値はちょっと張りますが、すばらしくおいしい魚です。

 白身でありながら脂がたっぷりのり、やわらかい身には適度な繊維質の歯ごたえがあり、とろとろした皮のゼラチンも最高!

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 刺身、鍋、魚汁、なんでもござれのミーバイですが、ももと庵はこれを唐揚げにしました。魚醤や生姜の特製タレにつけて粉をまぶし、サクサクに揚げました。

 ミーバイは、沖縄のみならず、アジア各地でも高級魚として大いに珍重されています。アジア式をうたうももと庵にうってつけの素材。

 ミーバイにはたくさんの種類があります。ももと庵は、近くの宮城島のサンゴの青い海で養殖されているアーラミーバイを起用。宮城島のアーラミーバイについては、このブログでしばらく前に取り上げましたので、こちらをごらん下さい

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 これまでの膳メニューと同様に、いくつかの個性的な副菜がわきを固めます。ミニデザートと、コーヒーまたは紅茶がついて1550円。

 お魚に目がないという方、大切な人ととっておきのランチを楽しもうという方、沖縄の海の味を堪能したい方。ぜひぜひお試しください。

 ただし、きょうは定休日。明日から、ミーバイがご来店をお待ちしていますよ。

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2013年10月05日

アジアの食を知る100枚の写真

 ももと庵の企画「おいしいアジアへようこそ」の最終回が昨夜、開かれ、台風が接近する荒れ模様の中をたくさんの方々にご参加いただきました。

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 ベトナム風鋳込み揚げ豆腐、フィリピン風魚の酢じめ、ラオス風豚肉の香りあえ、などのスペシャルアジア膳を食べていただいた後、インドシナ半島の国々の食に関するスライドを100枚ほどお見せしました。

 タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなどは世界有数の米どころ。ごはん文化はもちろん、米の麺なども盛んに食べられています。ごはんの炊き方、食べ方、おかず、太さや食べ方が多彩な麺などをスライドでお見せしました。

 野菜をたくさん食べるのもアジアの食の大きな特徴です。沖縄では、肉や野菜をいためて食べることが多いんですが、アジアに行くと、焼いた肉と生の野菜をあえた料理もよく出てきます。

 実際に食べていただいたラオス風の豚肉香りあえで言いますと、豚肉を焼いて冷ましてから、生のタマネギやニラ、にんにく、生姜などをたっぷり入れ、魚醤やレモンで味をつけながら、よくあえます。野菜類は火を通さないので、生の鮮烈な味と香りが楽しめるわけですね。

 市場で売られている豊富な野菜もスライドでお見せしました。肉や魚、豆腐などが市場でどんなふうに売られているか、どんなふうに取り扱われているかも紹介しました。

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 冷蔵設備のないところで生鮮食料品の鮮度を保つ技術の一例として、発酵させた生魚の写真を見ていただきました。

 周年30度の常夏の地域で、生の魚が腐敗せずに何日も保てるというのは、冷蔵施設が当たり前の日本ではちょっと信じられないかもしれません。参加されたみなさんも一様に驚かれていました。

 おかげさまで「おいしいアジアへようこそ」は好評のうちに終了しました。また別の季節にスペシャルアジアメニューを企画したいと考えていますので、ご期待下さい。

bansyold at 08:54|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック