個性あふれるカレー香辛料たち「おどり炊き」で水と油が融合

2012年10月14日

温度をめぐる水と油の激闘

 ももと庵式、カレーの作り方教室の続きです。

 油で香辛料の香りを立てたら、次に入れるのは、ニンニクと生姜。ニンニクと生姜は、どちらかといえば中華っぽい印象で、あまりカレーのイメージではないかもしれません。が、カレーには意外にたっぷり使うんです。いや、中華のタレなんかより、ずっとたくさん入れます。

 生姜とにんにくのそれぞれ印象的な写真と言えばこの2枚。生姜の方は再掲ですが、横に伸びていった結果がこれ。名護の屋我地島です。詳しくは過去記事をどうぞ。にんにくの写真は、ベトナムの市場で見たもの。名前を聞き取れませんでしたが、有名なにんにくの産地があるようで、そこの産とのことでした。小ぶりで、いかにも香りが強そう。

Shoga1

Ninniku1L


 カレーに、ニンニクと生姜を同じ量使うと、ニンニクの方は味のベースになって香りはあまり前面には出てきません。自己主張しない「縁の下の力持ち」になります。カレーの香辛料や生姜の方がニンニクより香りが強い、というのは「ニンニク=臭い」という常識をひっくり返しているようで、面白いですね。

 一方、生姜の鮮烈な香りは消えることなく、最後まで効き続けます。生姜くん、立派に強いです。

 さてさて、きょうの本題は「温度をめぐる水と油の闘い」です。

 ニンニクは水分が少ないので問題ないのですが、生姜を入れるとかなりの水気が入って油の温度が下がりますから、火を少し強めます。100度にしかならない水に負けないように、油の温度を少し高くするわけです。そうしないと香ばしくなりません。

 本場インドのレシピだと油の量が多いので、生姜くらいまでは問題にならないのですが、ももと庵式は油控えめなので、火力の調整で乗り切ります。

 「水と油」と言えば、互いに相容れないもの同士を表わしますが、カレー鍋の中では、温度を高めに保とうとする油と、温度を100度以下に下げようとする水がジュワジュワと激闘を演じています。

 ニンニク、生姜に続いてタマネギが入ると、さすがに鍋の中の水の量がドーンと増えるので、火をかなり強めて、できるだけ温度を下げないようにします。もちろん、火を強めれば焦げやすくなりますから、神経を使います。

 タマネギに透明感が出てきたら、次は肉。まだ鍋の中は「いためもの」であるべきで、「煮物」になってしまってはいけません。つまり、水気があまりない状態で肉をしっかりいためます。

 この「水と油の闘い」、5人分くらいまでなら、家庭のガスコンロでも十分な火力を送り込んで、乗り切ることができますが、大鍋で50人分とか100人分を作るような場合、業務用の大きなガスコンロでも火力が足りません。コックをめいっぱいひねって最大火力にしても、材料の全体量から見たらチョロチョロの火みたいなもの。弱い火力でやったのでは、水がどんどん出てしまいます。

 そんな時は、タマネギから後は、材料を小分けし、カレー大鍋と同時進行で、別の鍋で香ばしく焼き付けてから、カレー鍋に入れていくことになります。

 ここまでの香辛料、にんにく、生姜、タマネギ、肉のどれをとっても、100度以下の、つまり「ゆでる」「煮る」式で加熱したのと、120度とか130度での「いためる」「揚げる」式で加熱したのとでは、得られる風味、香ばしさがまるで違います。


bansyold at 00:00│TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック ももと庵メニュー | 沖縄とアジアの食

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