2013年10月20日

聞き比べ、月亮代表我的心

 アジア歌手シリーズで少し前に取り上げた蔡琴(ツァイ・チン)の映像を探している時に、心に残るビデオがありました。台湾の国民的英雄として知られる故テレサ・テンの代表曲「月亮代表我的心」を蔡琴が歌っているライブでした。

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 口ずさめる親しみやすいメロディラインのこの歌、テレサ・テンがまいた種が芽吹いたのか、台湾のみならずアジア各地で愛唱されているようです。

 今回は、歌手ではなく、この曲「月亮代表我的心」(ユェリャン・ダイビャオ・ウォディシン、月が私の心を表している)を取り上げ、何人かの歌を聞き比べてみたいと思います。

 まず、本家テレサ・テンの月亮代表我的心から見ていただきましょう。声量があるわけではないのですが、この独特の繊細さとなんとも言えない「しっとり感」は、他のだれにも出せないのではないでしょうか。



 テレサ・テンは、1970年代、80年代、台湾の国民的歌手であると同時にアジア各国でも絶大な人気を誇った「アジアの歌姫」でした。日本語のヒット曲がありましたし、日本のテレビの歌番組にもよく出ていたので、おなじみですね。

 1995年にぜんそく発作のため42歳の若さで滞在先のタイで急逝。台湾政府の決定で、国葬に準ずる公葬が営まれ、国民的英雄の急死を悼む数万の人々が会場を埋め尽くし、その棺は国旗で包まれたそうです。

 月亮代表我的心は、たくさんの歌手がカバーしています。日本の歌手も、SMAPが北京公演で歌ったり、夏川りみがアルバム「歌さがしーアジアの風ー」に日本語バージョンを入れたり。

 歌詞の日本語訳は、前回もお世話になったBitEx中国語のサイトに全訳が載っていますのでごらん下さい。いつもありがとうございます。


 さて、聞き比べ。テレサ・テンのあきれるほど繊細で甘美な歌唱を少しデフォルメして引き継いでいる感じを受けるのが、同じ台湾のベテラン男性歌手、費玉清(フェイ・ユーチン)です。

 費玉清は、この曲に限らず、ビロードのような滑らかな声で、ていねいにていねいにメロディを紡いでいきます。30年以上の歌手歴の中で数多くのヒットを生んでいますが、それはまた別の機会に。

 費玉清の月亮代表我的心をどうぞ。どこまでも誠実な歌唱です。



 アレンジも、どこか懐かしい昭和のタッチですね。

 費玉清の歌い方は、何度か出てくる「我愛 wo ai」のところが印象的です。wですぼめた口が滑らかに大きく開いて音が明るさを増すのが、ちょうど音階が上がって盛り上がっていくのときれいに重なるからでしょうか。


 次に、アジア実力派歌手のシリーズ第1回で取り上げたマレーシアのシティ・ヌルハリーザ Siti Nurhaliza。彼女も、アルバム「チェリタ・チンタ」(ラブストーリー)の中で中国語の月亮代表我的心をカバーしています。

 シティは、台湾の歌手たちとは趣きが違って、東南アジアの正統「声量たっぷり」派。もちろん、歌い回しのうまさもピカイチですが、豊かな声量の彼女が歌うとどうなるか。静止画しか見つかりませんでしたが、お許し下さい。

 テレサ・テンを意識したのか、歌い出しからしばらくは、あまり声を出さずに歌い回しの巧みさで進んでいきますが、2分25秒くらいのラストの部分ではシティらしい豊かな声量を聞かせてくれます。



 シティの月亮代表我的心は、編曲も歌い方もシャープな印象。なかなか心地よいですね。


 最後に、韓国のチュ・ヒョンミのライブ映像をどうぞ。ギター1本の伴奏です。

 チュ・ヒョンミは、韓国演歌を歌うベテラン。

 テレサ・テンや費玉清とも、シティ・ヌルハリーザとも違う、語りかけるような歌唱。完全に独自の世界を作り上げています。表情もとても豊かですね。




bansyold at 00:00│TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote アジアの文化 

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