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2008年01月31日

[第38話 沖縄] 三線片手に歌える民謡広場

 検索エンジンで「三線教室」を調べると、全国各地の三線教室情報がズラリと出てくる。この勢いだと、習っている人たちの層も、入門者からセミプロ級まで、既にだいぶ厚くなっていることだろう。

 沖縄民謡も、ある程度うまくなってくれば、三線片手に人前で歌ってみたい、という気になるものだ。

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 沖縄には、コザを中心に民謡クラブがいくつかあるが、有名なプロの民謡歌手が経営する店がほとんど。言ってみれば有名歌手のライブハウスなので、セミプロはもちろん、初心者の出番など全くない。

 一方、カラオケでは、歌は歌えるが、自分で三線を演奏することができない。「歌三線(うたさんしん)」という言葉があるように、沖縄民謡は三線を弾きながら歌うのが基本。「歌だけ」では成り立たない。

 そんな中で、沖縄民謡の初心者でも気軽にステージに立たせてもらえる店が、うるま市にでき、民謡愛好家の間で人気を呼んでいる。

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 「民謡広場 嘉手久」。経営しているのは、自身もセミプロ民謡歌手の高江洲康栄さん。高江洲さんは、地元新聞社主催の民謡の新人賞、優秀賞、最高賞の各階段を順当に上り、現在は教師。師範の一つ手前のところにいる。そろそろCDを出したらどうか、という声が周囲から聞こえてくるが、自身は「まだまだ」と笑う。

 高江洲さんが民謡広場を始めたのは、そういう場がなくて自分自身が困ったから。「民謡クラブは、きちんと着物をつけた大先生がステージに立つから、われわれはとても出られない。でも、ステージで演奏する機会を積まないと、人前で演奏できるようにならないんですよ」と高江洲さん。

 民謡広場嘉手久では、午後8時の開店から1時間もすると、呼び水役として高江洲さん自身がまずミニステージに上がって、数曲演奏する。その後は、客が次々にステージに上がっては、三線片手に民謡をうなる。

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 嘉手久では、高江洲さんも着物をつけず、普段着のまま。「着物だと、どうしても堅苦しくなるでしょう」。客と同じ高さに立つことで、気軽にステージに出てもらいたい、という気配りだ。

 安さも魅力。有名歌手の民謡クラブは「ライブハウス+スナック」なので、しっかり飲めば1万5000円くらいかかることも珍しくない。嘉手久の場合は「お客さん自身が演奏を楽しむ場所だから」と高江洲さんは価格を大幅に抑えている。「かなり飲んでも5000円まではいきません」と妻の吉子さん。

 あそこならステージに立てる、という話を聞きつけて、沖縄民謡を習っている愛好家が遊びと練習を兼ねてやってくる。本土から来る人もたまにいるらしい。

 三線片手に一度人前で沖縄民謡を歌ってみたい、という人にお勧め。店内は沖縄方言が飛び交うが、気さくな高江洲さん夫妻は、だれでも気持ちよくもてなしてくれる。午後9時すぎに行って、泡盛をチビチビやりながら、高江洲さん夫妻や他の客と話していると、そのうち演奏が始まる。さあ、あなたもミニステージへ。もちろん、人の演奏を聞くだけでも楽しい。

 民謡広場嘉手久は、うるま市平良川111地階、電話098-973-1200。月曜定休。

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