[第44話 農] 田植えが始まった[第46話 沖縄] 「人力」でスタートした海中道路建設

2008年03月13日

[第45話 食] 沖縄そば 麺のひみつ

 沖縄そばの麺とは、いったい何者なのだろうか。小麦粉に塩と灰汁やかんすいを入れて練り上げた麺で、その多くは平麺。中華麺のようでもあるが、口当たりが微妙に違う。太めの沖縄そばの場合は、うどんやきしめんに似ていなくもないが、やはり食感が違う。パスタっぽい沖縄そばもあるが、パスタのような素直な歯ごたえではない。

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 原材料からすれば、中華麺に近い。アルカリである灰汁やかんすいが入って独特のコシが出るあたりはそっくり。だが、沖縄そばは中華麺とは練り方やのし方が違うので、同じコシでもソフトな感じになる。

 もう一つ、大きな違いがある。沖縄そばは、中華麺のように茹でたてを食べないこと。沖縄そば専門店のほとんどは、冷たくなった茹で麺を湯で温めてから使う。

 「麺というのは、茹でたてよりも、時間が経ってからの方が味が出るんですね」と話すのは、亀浜製麺所代表の亀浜貞夫さん。確かに味はそうなのかもしれないが、時間が経ったら麺はのびてしまうのでは、という声が聞こえてきそう。だが、心配御無用。

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 沖縄そばは、茹で上げためんに植物油をまぶしてから、風を当てて冷ます。水にさらすことはない。亀浜さんは、冷ます工程で余分な水分を飛ばすことが大切だと語る。これで麺が締まり、めんのコシが保たれる。
 
 こうして得られるコシは、茹でたてのコシとは微妙に違う。「歯が食い込もうとするのを必死で押し戻そうとする麺の弾力」が、茹でたてのコシ。沖縄そばにもそうしたコシはあるが、それに加えて、独特のポクポクした食感が伴う。このポクポク感は、不思議なことに茹でたてでは得られない。

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 原材料はほとんど中華麺と同じながら、食べて明らかに違いを感じるのは、このポクポク感の有無だ。これぞ沖縄そば、と言ってもいいくらいの個性がそこにある。生麺の沖縄そばをおみやげに買って帰った観光客が、自宅で茹でたての沖縄そばを食べる時に「沖縄で食べたのと、なんか違うなあ」と感じる違和感の正体は、恐らくこれだろう。

 だから、自宅で沖縄そばを作る時は、生麺ではなく、ゆで麺を買ってきて、湧かしたお湯に4、5秒つけて油落としと加温をし、どんぶりに入れてつゆをはれば、沖縄そばらしい食感の沖縄そばになる。沖縄そば専門店と同じやり方だ。現に沖縄のスーパーでは、沖縄そばの茹で麺は何種類もあるが、生麺はまず見かけない。

 亀浜製麺所の沖縄そばは、細めの平麺。繊細な口当たりで、ポクポク感としっかりしたコシがあり、のどごしもいい。亀浜さんは、大手の麺メーカーがやっていない手作りの工程を大事にしているという。沖縄県内の名だたる沖縄そば専門店が、亀浜麺を採用している。

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 亀浜麺はスーパーには置かれていないので、県民の多くは亀浜麺を沖縄そば店でしか味わうことができない。亀浜麺を使って自分で沖縄そばを作りたい人は、亀浜さんが先代からのつき合いを大事にしながら商品を卸している小売店が3カ所だけあるので、そこで買える。

・那覇市松山2丁目22−1−1F 若松公設市場内の与那嶺商店 098-868-9132
・那覇市若狭2丁目12−11−1F ストアー上原 098-868-3747
・宜野湾市普天間2丁目13−5 中央ミート普天間店 098-892-5634

 亀浜製麺所は豊見城市保栄茂1163-1、電話098-856-7103。

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