たこめし

2009年05月25日

[第118話 食] タコライスじゃない、たこめし

 「タコライスにタコは入ってないの?」 観光客から何度か聞かれた。タコライスはタコスの応用だからタコとは関係ないんです―。そんな会話を何度か交わしているうちに、「たこめし」ののぼりがはためいているのをたまたま万鐘の地元うるま市で見かけた。こちらはタコ入りらしい。おー、ほんとにタコ入りのごはんがあるじゃないか。早速、たこめしに挑戦した。

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 うるま市の与勝半島と平安座島を結ぶ海中道路の話は第46話で紹介したが、「たこめし」ののぼりが風にゆれていたのは、その海中道路の入り口。お店の名前は、たこ焼き食堂ハリセンボン。

 たこめしは、沖縄の沿岸で獲れる島ダコを使った炊き込みごはんだった。島だこを使うので、正確には「島だこめし」(500円)。ごはんの上にちゃんとタコがのっている。タコをゆでた汁でごはんを炊くので、ごはんは薄い色に染まっていて、ほんのりとタコの香りがする。うまい。もちろん温かいのがおいしいが、お弁当にして冷めても十分いけるんじゃないかと思える味わいだ。

 タコライスは、メキシコ料理のタコスのトルティーヤに包まれている中身をごはんの上に乗せた沖縄発の創作料理。スパイスのきいたピリカラひき肉と刻んだレタス、チーズなどがごはんの上にのっている。偶然だが、ハリセンボンのすぐ隣りには、元祖タコライスのお店があるので、期せずして「タコライスvsたこめし」の図になっている。

 ハリセンボンは、大阪出身の漆師(うるし)康治さんと、海中道路を渡った平安座島出身の美幸さん夫妻が切り盛りしている。たこ焼きがメインだが、「ごはんものが欲しい」というお客さんの声に応えて、タコにこだわる漆師さんが島ダコを使った島だこめしを始めた。

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 メインメニューのたこ焼きも魅力。「普通の上等」をうたう普通のたこ焼き(350円)は、ソースの甘さと柔らかい生地が渾然一体となって口の中に広がり、そこに歯ごたえのあるタコが加わって、絶妙のバランス。はふはふ言いながら、あっという間に平らげてしまう。

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 創作たこ焼きもいろいろあって楽しい。例えば「もずくねぎポン酢たこ焼き」(450円)。たこ焼きの中に地元産のもずくが入っている。

 沖縄の特産品であるもずくを活用した料理はいろいろ提案されているが、やはりもずくはとろりとした柔らかな食感が命。残念ながら、もずく創作料理の多くが、もずくのこの食感を生かしきれていない。例えば、もずくの天ぷらなどもおいしいけれど、「あー、もずくを食べているなあ」という実感は湧かない。

 このもずくたこ焼きはそれらとは全く違う。たこ焼きのとろーり柔らかな生地ともずくのとろーり食感とがぴったりと合い、もずく本来のおいしさがちゃんと生かされているのだ。ねぎポン酢の甘くないタレも、もずくを見事に引き立てる。

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 「もずくに下味がつけてあるんですが、初めの頃は、その水分がたこ焼き生地に入るためにうまく焼けなかったりしたこともありました」と漆師さん。どんな新製品にも開発の苦労があるが、もずくたこ焼きもそう。

 もずくはこの界隈でもたくさん生産されている。地産地消を口で言うのは簡単だが、地で穫れたものをとり入れても、それによってさらにおいしくならなければ意味がない。もずくたこ焼きは、まさにもずくが入ったことで誕生した新しいおいしさだ。とろーり同士のハーモニーは、あつあつでないと最高潮に達しないので、持ち帰るよりも、作りたてをお店で食べるのがお勧め。

 ハリセンボンは海中道路の入口にあるので、海中道路を通って平安座島や浜比嘉島、宮城島、伊計島に行く人々が立ち寄るが、その一方で、地元の子供たちにも大人気。部活帰りの中学生などが、タコせんべいにたこ焼きをはさんだサンド・デ・タコヤキ(100円)などにパクついている。地域の風景に溶け込んだマチヤーグワー(お店)だ。

 ハリセンボンは、うるま市与那城屋慶名405-3、090-9406-6415。月曜定休。HPはこちら。島だこめしは数量限定品なので、売り切れることもしばしば。確実に食べたければ電話で予約を。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック