みそ

2014年03月25日

ナントゥーのそっくりさん

 これ、なんでしょう?

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 沖縄の伝統菓子、ナントゥーじゃないんですよ。でも、そっくりでしょう。

 沖縄のナントゥーはこれです。

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 うり二つ、ですね。ナントゥーは黒糖、生姜、味噌、香辛料のヒハツなどが入ったモチ。サンニンの葉に乗せて蒸し上げられることが多いです。

 味噌が独特のコクと香りを出していることを、だいぶ前のブログ記事で紹介しました。クセになる味、です。

 さて、冒頭写真のもの。今度は切った断面のアップを見て下さい。

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 モチとは違いますが、モチ米を軽くついてまとめてあるので、ほとんどモチのような状態。味つけは黒糖と生姜なので、食べた感じもナントゥーそっくり。

 実はこれ、ベトナムのお菓子なんです。ソイチューア。甘いモチ米、という意味です。

 みそは入っていないので、みその味が効いているナントゥーよりもあっさりした感じです。

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 こんな感じで、甘いもの屋さんで売ってます。 

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2011年12月04日

消えた日本のクサうま

沖縄とアジアの食 第12回 発酵の複雑な香り


 前々回、ラオスの魚の塩辛調味料「パーデーク」を中心に、アジアのクサうま調味料を紹介した。写真はタイのローカル市場で量り売りされているえびみそ「ガピ」。これもアジアのクサうまの代表選手だ。そういえば、昭和の頃は、日本でもこんな風にみそを山盛りにし、量り売りしていた。

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 沖縄を含む日本には、今や「クサうま」と呼べるような発酵調味料、発酵食品はほとんどない。みそでも醤油でも泡盛でも、明らかにクサいと感じるものは、くさやなどごく一部を除いてめったに見かけない。

 日本でも1960年代くらいまでは、味噌を手造りしている家が農村部にたくさんあった。そんなみそでみそ汁を作ると、今のみそにはない複雑な香りが家じゅうに漂った。この香りは大いに食欲をそそる芳香だったと記憶している。

 複雑な香りは、雑菌と総称される菌が作る化学物質の香り。家庭でみそを作っていた頃は、こうじこそ買ってきた麹菌で作るにしても、仕込みの過程でさまざまな雑菌が混入し、そこに独自の香りが生まれた。

 みそでも醤油でも酒でも、メーカーは共同であるいは独自に、優良菌の開発を進めた。マーケットリサーチの結果、消費者の多くが複雑な強い香りを好まない、という結果が出たためか、純粋培養された優良菌は、香りの面では「控えめな」菌が中心になった。

 製造設備の菌管理技術も向上したため、純粋培養した菌以外の菌が入り込む余地があまりなくなった。こうして、日本の発酵食品から複雑な香りがなくなり、「クサうま」は姿を消した。

 1970年代までは、沖縄の泡盛も、まだ香りが相当強かった。味噌や日本酒と同様に、泡盛でも、その後、菌の開発と製造現場の菌管理技術が進み、その結果、複雑な香りは弱まっていった。いま製造されている泡盛は、離島の製品など、一部に比較的香りが強い銘柄があるものの、往時の強い香りを放つものはほとんどなくなった。

 写真はラオス北部の農村で作られた米の蒸留酒ラオラオ。酒造所ではなく、家内工業で小規模に作られているため、びんもラベルもない。手近にある空き容器に入れて売られる。写真のラオラオは、独自の方法で、何かの草を最後に入れて色とかすかな香りをつけているそうなので、わずかに緑色を帯びている。

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 ラオラオは、麹菌の種類が泡盛とは違うから味わいはおのずと異なるが、米麹の全麹で作られる蒸留酒という意味では、泡盛とよく似ている。同様の酒はベトナムの農村でも手造りされているのをあちこちで見た。

 香りはー。強い香りではないが、やはり、今、日本で作られている焼酎や泡盛に比べると、複雑な風味がある。

 話は変わって、漬け物。これも日本では香りを減らす方向で技術が進んだ。漬け物の場合は、酒やみそと違い、菌を添加して製造するわけではない。自然の乳酸菌で発酵させるのが普通なので、菌を純粋培養して香りを弱めるというわけにはいかない。

 では、どうするかというと、2つの方法があるらしい。一つは、発酵それ自体をさせない短時間仕上げの「浅漬けタイプ」を作ること。味は発酵ではなく、調味液が担う。いま一つは、いったん発酵させるものの、その発酵液を抜き取り、さらに、別に作った調味液を改めて吸収させるという「味ぬき味つけタイプ」にすること。

 いずれにしても、うまみと香りを作り出す発酵の機能をほとんど否定してしまう結果になっている。もちろん、昔ながらの手作り品は、そうではないが。

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 漬け物はアジアでも盛ん。写真はベトナムの食堂で出てきた漬け物。高菜のような葉野菜をさっとゆがいてから塩水に入れ、そのまま常温で数日漬けておくと、漬け物になる。色がやや黄色味を帯びてきたら食べられる。それほど強い香りがあるとも思えないが、日本では、この香りは通らないのかな、と思いながら、白いごはんと一緒にかっ込んだ。乳酸発酵で酸味が出ていて、うまい。

 みそでも泡盛でも漬け物でも、香りが弱くなれば、「マイルドな」風味になり、万人受けするようになる。ただ、それも度が過ぎると、そもそもの個性が消えてしまう。

 ウニの独特の味は、強い苦みを持ったアミノ酸「メチオニン」が含まれていることによって実現している。メチオニンがもし入ってなかったら、ウニは、イクラのような味になってしまうという。イクラの味はウニよりクセがないが、もしウニがイクラの味と同じだったら、面白くないだろう。

 クサうま発酵食品の複雑な香りを除去しすぎたら、ウニをイクラに近づけてしまうようなことになるのではないか。

 確かに、かつての複雑な香りが強い泡盛のままでは、今日のように、ニューヨークのバーで珍重される酒にはならなかったかもしれない。味噌も、昔の香りのままでは、例えばオーストラリアの料理本に当たり前のように登場する調味料にはならなかっただろう。しかしー。

 自社話で恐縮だが、万鐘の黒糖肉みそは、親しみやすい味の追求と同時に、味噌や泡盛といった発酵食品の中にある渋み、苦み、あるいは味噌や黒糖が少し焦げた時に初めて生まれる独特の香りなどを前面に出すようにしている。

 その黒糖肉みそが、フジTVの「とくダネ!」で取り上げられた際に、スタジオで試食した高木美保さんがこうコメントした。

 「甘いだけじゃなく. . . 大人の味に仕上がっていますねー」

 作り手の日頃の工夫を正面から評価していただいた気がして、ありがたかった。その「大人の味」こそ、発酵の深い味や、渋み、苦み、焦げた香りなのだ。

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2009年06月28日

[第123話 食] 甘みチャンピオン、ナーベラー

 沖縄の夏野菜。一昨年はモウイ、昨年はウンチェーバーを取り上げた。今年はナーベラーでいってみよう。ナーベラーの甘みときたら。もし「野菜の甘みオリンピック」があったら、メダル獲得間違いなし。

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 ナーベラーはヘチマ。若い果実を食す。朝どりの新鮮なものは、白っぽく見える。表皮にびっしり生えている細かい毛がその正体。この毛はだんだん消えていき、店に並ぶ頃にはほとんど見られなくなる。

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 モウイ同様、ナーベラーも大手スーパーの流通からは半歩くらいはみ出した存在だ。スーパーにも売ってはいるが、キュウリやトマトのようにレギュラー扱いはされていない。ある時とない時がある。JA沖縄が運営する糸満などのファーマーズマーケットや、南城市大里の軽便駅かりゆし市のような、農家持ち込み型の店にはほぼ必ず置かれている。

 ナーベラーは皮をむき、中のふんわりと柔らかい果肉を、これまた柔らかい種ごとサクサクと1cmくらいの輪切りにする。まるでハンペンのよう。油をひいた鍋で軽くいため、そのままフタをして弱火にかける。

 5、6分すると水分が出て、ナーベラーが翡翠色に。ふにゃふにゃと柔らかくなったら、味噌とかつおぶしを少し入れ、数分煮ればナーベラーンブシーの出来上がり。豆腐を入れると、立派なおかずになる。

 肉を入れてももちろんおいしいが、ナーベラー、味噌、豆腐といった淡白なうま味の世界に肉の強い味が加わると、いくぶん突出した感じにはなる。

 フタをして蒸す際には、水を一切加えない。ナーベラーからかなりの水分が出てくるからだ。「水は一滴も入れないよー」というセリフを、おばあたーから何度聞いたことか。ただ、あまり長時間蒸し煮にすると、水が出過ぎて、みそ汁になってしまうので、ご注意を。その汁を飲むのがまたおいしいさぁ、という声もあるけれど。

 水溶き片栗粉を入れてとろみを少しつけると、食べるのにも盛りつけるのにも始末がいいので、お店ではそうやって出すところもある。

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 水が出る頃には、ナーベラー特有の甘みが最大限に引き出される。味噌しか入れないのに、まるで砂糖でも加えたんじゃないかと思うほどのしっかりした甘み―。もちろん、甘さの質は砂糖のそれとはだいぶ違うが。

 この自然の甘みを体験し、その虜になった人は、初夏になるとナーベラーを思って少しそわそわしたりする。

 ナーベラーは苦手、という人もいないではない。その理由は、ナーベラー特有の臭み。土臭いという人もいるし、カビ臭いという人もいる。ンブシーをみそ味でまとめるというのは、みその強い味でこの臭いを押さえ込む効果があるかもしれない。

 同様の臭みは、ビーツ(赤カブ)やツルムラサキにもある。ナーベラーの場合は個体差がかなりあるようで、ほとんど臭わないものも、時々ある。穫れたてならあまり臭わない、とか、完全有機栽培だと臭わない、と言われるが、真相は分からない。この臭みが好きという人もいるが、おそらくこれがなければナーベラー大好き人口は倍増するだろう。 

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 水を一滴も加えず、ナーベラーの水分とみそで作るナーベラーンブシーは、絵に描いたような健康食。沖縄の夏に力強く育つナーベラーはいかにも抗酸化力がありそうだし、みそは、リノレン酸エチルエステルの働きで、体内に毎日生まれているガン細胞を消してくれる。ただし、これは、ちゃんと天然熟成させたみそでないとダメらしい。 

 最後に、ンブシーを作る時の最重要ポイントを。それは、ナーベラーをたっぷり使うこと。水が出て縮まるので、小さめのものなら1人1本分は最低必要。好きな人は、1人で2本分くらいペロリと平らげてしまう。

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2008年12月02日

[第89話 食] 美味発掘 アサヒガニ

 今回はちょっと変わったカニ、アサヒガニをご紹介。オーストラリア産などが通信販売で出回っているようだが、沖縄では地場でアサニガニが獲れる。

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 ちょっと変わった、というのはこの形。普通のカニのイメージは弁当箱を横に置いたような「横長」だが、アサニガニは「縦長」だ。腹の部分が甲羅の下に収まらず、下に出たままになっているのが「縦長」に拍車をかけている。英語ではフロッグクラブ、つまり「かえるガニ」。言われてみれば、蛙の形に見えなくもない。

 アサヒガニは暖かい地方のカニで、太平洋、インド洋に生息する。日本では西南日本一帯の海にいるという。種子島でも食べられているようだが、いずれにしても漁獲量の少ない珍しいカニであることは間違いない。

 砂に潜っていることが多く、外に出ていても身の危険を感じるとサッと全身で砂に潜る。砂から目だけを潜望鏡のように突き出してあたりをうかがい、安全と分かったら砂から出て移動するらしい。

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 沖縄でカニと言えば、ワタリガニ(ガザミ)をもっともよく見かける。アサヒガニは、沖縄各地の漁港に上がるが、水揚げ量は少ない。ウチナーンチュでも見たことがないという人が多いのではないか。

 沖縄の中では、那覇漁港に上がる量が多いようだ。那覇・牧志の公設市場の鮮魚店の中には置いている店がぽつぽつある。珍しいカニではあるが、アサヒガニを専門に狙う漁師がちゃんといて、彼らが獲ってくるのだという。

 さて、肝心の味は―。20分ほどゆでて甲羅をはずすと、腹の部分には白い身がたっぷり。甲羅の中にはみそが。みその表面には赤い色をした液状の油も見え、コクを期待させる。

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 白い身は繊維っぽくなく、上品なうまみにあふれていておいしい。手足の中の身は少ないが、腹の部分は食べごたえがある。香りもよい。みそは、量はさほど多くないが、こっくりとコクがあって、実にうまい。鮮度がいいからかもしれないが、臭みは一切なく、奥深いうまみだけが舌に残った。数多くのカニの中でも、味と香りのよさでは、かなり上位に入るカニなのではないか。

 カラが薄いので、ぶつ切りにして中華風のいためものにしたり、カニ鍋やみそ汁にして食べるのもよさそうだ。

 那覇・牧志公設市場では、とれとれの生きたアサヒガニを置いている店が数店ある。甲羅の直径が10−12cmのもので1000-1500円といったところか。やや高めだが、カニ好きなら一度は試してみる価値がある。あまり小さいものより、多少値ははっても、食べごたえのある大きめのものがお薦め。

 同じく那覇漁港の「泊いゆまち」の中にも扱っている鮮魚店がある。ここでは、冷凍したものを売っていることが多い。アサヒガニは傷みやすいカニなので、早い時点での凍結は鮮度を保持する優れたひとつの方法。価格は牧志公設市場よりはいくぶん安い。

 アサヒガニについては、下記の各鮮魚店で尋ねてみてほしい。ただし、入荷しない日もあるので、行く前に問い合わせした方がよい。

 那覇・牧志公設市場の西銘(にしめ)鮮魚店 098-862-2871
 那覇・農連市場近くの活魚鮮魚卸 大和(やまと) 098-835-4567
 那覇・泊いゆまち内のキンシロ鮮魚 098-861-2957

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