イタリアン

2009年10月18日

[第139話 食] ソースを吸った生パスタのうまみ

 宜野湾市のイタリアンレストラン、Pao(パオ)とPana(パナ)が今回の主役。ソースのうまみを充分に吸い込んだ生パスタが素晴らしくおいしい。

Pana1


 代表取締役の川口一仁さんは埼玉県出身。鉄人シェフとして知られる石鍋裕さんの店クイーンアリスに勤務した後、イタリアで本場の味と技術を学んだ。帰国後は東京・六本木ヒルズのイタリアンレストランなどで働いた。

 独立のチャンスを求めていた際に、沖縄出身の友人から「一緒に店をやらないか」と声がかかり、沖縄に。間もなく、生パスタの専門店Paoを始めた。沖縄で生パスタを出す店の第一号だった。6年前のこと。姉妹店のPanaは昨年、オープンした。

 川口さんが作る生パスタは、幅2、3mmのタリオリーニ、幅4、5mmのタリエリーニ、幅6、7mmのタリアテッレ、幅25-30mmのパッパルデッレの4種類(冒頭の写真はそのうちの3種類)。

 パスタは、温度や湿度で出来具合が違ってくるという。こねた後、冷蔵庫で生地をじっくり寝かせて、グルテンの形成と生地の熟成をゆっくり進めるのがポイント。

 細い麺はあっさりしたソースが合う。麺が太くなるほど、こってりしたソースとの相性がよくなる。ソースがこってりしてくれば、それに負けないボリュームのパスタが必要になるからだ。

 あっさり系のソースといえば、魚介系の軽めのソースなど。トマトベース、クリームベースと徐々にこってりしてきて、最もこってりは、例えば仔羊の赤ワインソース。まるで京都名菓の八つ橋のようなパッパルデッレが登場するのは、こうした濃厚なソースの時。

 「パスタは、ソースをおいしく食べるためにあるんですね」と川口さん。パスタは家庭料理。うまみをたっぷり含んだソースをムダにすることなく、効率よく食べるのに、パスタは必須のアイテムと言えるのだ。

Pana2


Pana3


 生パスタは、ソースがからむだけではなく、ソースをしっかり吸い込む力がある。食べてみると、もっちりした麺にソースのうまみが染み込んでいるのが分かる。だからうまいのだ。

 上の写真のトマトベースのパスタはタリエリーニ。パスタとソースが完全に一体になっている。沖縄地野菜のナーベラーが独特の食感をもたらす。麺に吸われて一番おいしくなるように、ソースの塩気や酸味がピタリと決まっている。

Pana4


Pana5


 このクリームベースのソースには、タリエリーニよりひと回り太いタリアテッレを。こちらは小エビや小柱といった魚介のうまみが基調で、キャベツの甘味と食感がアクセントになっている。もちろん、ソースと麺の相性はバッチリ。

 ランチにはパスタのほか、前菜と自家製のパン、デザートがつく。どれもおいしいが、この日のデザートに出て来たぶどうのソルベは、その上品な甘さといい、心地よい酸っぱさといい、ふわーっと口溶けする食感といい、出色の出来。

Pana6


 Panaは、イタリア語でオステーリア、つまり居酒屋のイメージ。生パスタ料理だけでなく、一品料理にも力を入れている。写真はPanaの店内。

Pana7


 Paoは宜野湾市新城2-39-20、098-892-9003。Panaは宜野湾市野嵩1-2-15、098-892-8736。HPはこちら

人気ブログランキング
上のマークをクリックすると、万鐘本店のランキングがアップ。応援クリック、お願いします。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

2008年12月14日

[第91話 食、沖縄] とっても沖縄的な洋食店

 赤瓦の民家でワインと洋食を出す店が那覇にあると聞いて、出かけた。泉崎の県庁から少し北に行った住宅街の一角。雑然とした緑の中に赤瓦が見えた。

Nuji6


 店名は「食堂ぬーじボンボン」。ウチナーグチで、ぬーじは虹、ボンボンはてんとう虫のこと。店主の奥間朝樹さんは、やんばる東村の出身で、名古屋のレストランで修業した経歴を持つ。

 もともとは全くの民家だった。今は店向けに改装されているが、玄関や床の間はほぼそのままの風情だし、座敷の机の横の本棚には「ルパン三世」などが置かれていて、まるで自宅の居間でごはんを食べているような気分になる。

Nuji4

Nuji5


 つい最近まで、沖縄の食堂には、こんな感じの店が多かった。赤瓦のことではない。店内にどこか生活の臭いがするのだ。例えば第14話で紹介した那覇・東町の山海には少し前は子供用の学習机があったりした。ぬーじボンボンは人が住んでいるわけではないが、この本棚の周囲には生活の空気がかすかに漂う。

 ぬーじボンボンの建物の外には、雑草や雑木の豊かな緑が繁茂する。あまり造り込まれていないところが、沖縄の普通の民家っぽさに拍車をかけている。

 「この近所の出身のお客様で、子供の頃、この家が友達の家だったのでよく遊びにきたよ、と言われた方がいました」と奥間さんが話す。

 建物や空気だけではない。メニューも沖縄的。むろん、ここは沖縄料理の店ではなく、洋食店なのだが、イタリアンとかフレンチといった定義にはあまりこだわらない。ピザやパスタ類が充実していることがら考えれば、イタリアンのようではあるが、例えば「揚げなすとみょうがと水菜のサラダ自家製しょうがドレッシング」がイタリアンかどうかは微妙。要は、奥間さんのセンスと手に入る素材で自由に作っているのだ。

 飲み物もさまざま。中心に位置するワインは、種類はワインバーのようには多くないが、フレンチばかりでなく、アルゼンチンワインあたりにも目配りしていて面白い。ハードリカーは、泡盛からバーボンまで何でもあるし、カクテルもたくさんあって楽しい。

 この自由さ、そして肩の力が抜けた感じ―。何とも沖縄らしい。

Nuji1


 この日はランチタイムだったので、850円のランチをいただいた。前菜がプレートに盛り合わせで登場した。水菜などにかかっているのが前述の「自家製しょうがドレッシング」。しょうがの香りがきいていて素晴しくおいしい。ほかに野菜のフリットと鶏レバーのペースト。

Nuji2


 コーンポタージュスープの後のメインは、看板メニューの一つでもある「大人の男のための本格ハンバーグステーキ」。ソースは、ワインの香りとフォンドボーのうまみが際立ち、ごはんによく合う。ハンバーグにソースをしっかりつけて口に入れ、同時にごはんをほおばる。うまい。後はひたすら、ハンバーグとごはんを交互に口に運ぶ。「食堂」の醍醐味を満喫しながら、やがてお腹いっぱいに。

 ぬーじボンボンは那覇市楚辺276、098-832-8415。県庁方面から進んだら、泉崎りうぼうを左手に見て、向かいのファミリーマートを右に入ってすぐ左側。火曜休み。昼は11:30-14:30、夜は18:00-23:30。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote