カンダバー

2013年12月01日

小松菜ラッシュ

 勝連城歴史ロマンをちょっとお休みして、ももと庵の畑だよりをお届けします。沖縄も、このところ気温が下がり、朝晩はけっこう冷えていますが、すばらしく天気のよい日が続いています。

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 お店の横の土地を耕して、葉野菜類を中心に、あれこれ植えています。ちょうど小松菜がどんどん出てきて、まさにラッシュ。ちょっと種を密にまきすぎました。

 というか、今回はまったく適当にバラまきしたので、手がすべってたくさんの種が落ちたところがこんな感じに。他の葉野菜の種も似たような状態です。それでも、なんとか出てきてくれるから、ありがたいこと。小松菜の向こうには青ネギとカンダバーが見えています。

 小松菜の葉をよく見ると、赤いテントウムシがゆっくりと歩いていました。

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 緑の地に真っ赤な虫の背中が栄えます。キラキラしていて、なんか、黒いもようがついたヘルメットのよう。

 とれたての小松菜は、お味噌汁に入れてお出ししています。青々した色がとてもきれいです。

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2009年09月13日

[第134話 農、食] 地野菜を楽しむ農家民宿

 「農家民宿」は、読んで字のごとし、農家が経営する民宿。農家だから、畑で穫れたての新鮮野菜が食卓に並ぶ。沖縄本島北部の宜野座村で季節の地野菜を作っている仲間澄子さんの農家民宿「田元」をのぞいてみた。

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 田元は「タムトゥー」と読む。これは仲間家の屋号。沖縄の農村部では、今でも屋号で家を呼ぶことが多い。仲間家では、古い瓦家の隣りに鉄筋コンクリート造の自宅を建て、家人はそちらで生活することになったので、空いた古い瓦家を民宿として使うことにした。これが「田元」の始まり。

 その瓦家は、昔ながらの一番座、二番座のある間取り。一番座には床の間、二番座には仏壇がそれぞれある。

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 仲間さんはカンダバーやンスナバー、イーチョバーといった沖縄の地野菜を作っている。夏場ならモウイのあえもの、秋口にはシークワサーのジュース(下の写真)、冬にはダイコンの地漬けやイーチョバーの天ぷらが献立に加わる。パパイヤイリチャーやカンダバーのみそあえは年中できる。

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 カンダバーは万鐘本店第54話モウイは第1話野菜パパイヤは第92話でそれぞれ紹介した。イーチョバーはウイキョウ。さわやかな香りが特徴で、天ぷらにしたり、ボロボロジューシーにしたりする。

 「地野菜は、何にもしなくても、ほとんど放ったらかしでできるんですよ。農薬もいらないし」と仲間さん。

 話を聞けば簡単そうだが、仲間さんは、例えばカンダバーなら葉が柔らかく、えぐみの少ない品種を選んで植えている。カンダバーなど、沖縄ではそれこそどこでも生えている葉野菜だが、ちゃんとこだわりの品種を栽培しているところはやはり農家。

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 地野菜は、たとえばカンダバーでもハンダマでもイーチョバーでもゴーヤーでも、独特の香りや苦み、渋みがあって、それがおいしい。とはいえ、その香りや苦み、渋みが、度を過ぎたものでは、とても食べられない。適度ならば、「大人の味」として、おいしくいただける。

 だから農家は、品種について、長い間、研究を重ねてきた。この研究は、もちろん研究所みたいなところで行なわれるわけではなく、各農家が自分の畑で経験的に続けてきたもの。「いい種を残す」「いい種を人に分ける」という形で、その成果は細く長く受け継がれてきた。

 地球上で農業というものが始まって2万年。その99%以上にあたる1万9900年くらいの間、品種改良などの研究開発はすべて農家が担ってきた。例えば、バナナが今のような種なしの形になったのは、何千年も前にインドネシアで品種改良が行なわれたかららしい。そんな時代に研究所があったはずもない。

 話が急に大きくなってしまったが、仲間さんのカンダバーも、そんなふうにして農家の手で残されてきた「いい種」の一つなのだ。

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 田元の宿泊客は、畑で土いじりをしたり、それぞれの味わいを持つ地野菜に舌つづみを打つことができる。おやつのサーターアンダアギーを仲間さんと一緒に作ったりするチャンスもあるらしい。

 ホテルにあきた沖縄リピーターの間で田元は人気が高く、夏休みなどは予約で一杯になる。1回に1組しか泊れないから、予約は必須。1組5、6人までは泊れる。

 農家民宿はほかにもいくつかある。北部の農家民宿情報は、このHPが便利。田元も載っている。田元は宜野座村宜野座村字漢那112、 098-968-3992。

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2008年05月06日

[第54話 農、食] 庶民の味 カンダバーのみそ汁

 少し前の沖縄の庶民にとって最も身近な地野菜の料理と言えば、なんといってもカンダバーのみそ汁だろう。強風や酷暑といった厳しい環境でも育つカンダバーは、沖縄の食事のレギュラーメンバーとして、人々の健康を支えてきた。

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 カンダバーは、和語ではかずらの葉。サツマイモの葉、と言えば分かりやすいかもしれない。が、土の中に大きなイモが実る品種の葉は、えぐみが強かったり、固かったりして、あまりおいしくない。イモの中でも葉を食べるための品種というのがあって、カンダバーとしてはそれが栽培されている。この品種は地中のイモが大きくならない。

 品種は違っても、栽培方法はイモと同じ。苗は葉のついた茎1本で、これを畑に差し込めば、そこから根が出てきて株になる。繁殖力が強いので、少々の雑草は抑えてしまう。地面を這うので、台風時の強風にも強い。仮に葉がかなりやられても、また伸びてくる。こうした強靭さとおいしさで、カンダバーは毎日のように庶民の食卓に上ることになった。写真は豊見城市字高安にある座安博さんのカンダバー畑。

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 ただし、カンダバーは「地野菜の王者」というような勇ましいイメージではない。貧しい時代は、葉野菜と言えばカンダバーしかないこともあった、と年輩者は言う。でも、そのおじいやおばあたちは、毎日のようにカンダバーを食べて長寿を実現したのだから、カンダバーはやはりよほど体にいいのだろう。

 カンダバーに限った話ではないが、安仁屋洋子琉球大医学部教授の研究によると、紫外線の強い環境で生育した植物は、紫外線の弱い環境で育った植物よりも抗酸化力が強くなるという。抗酸化力の強い地野菜を毎日のように食べ続けてきたことが、沖縄の長寿を生み出した一因ではないか、とも考えられるわけだ。

 しかし、カンダバーは現在、残念ながら「忘れられた野菜」に近い。生鮮食品物流網の発達で本土産の温帯野菜が大量に流入している中で、カンダバーの流通量は微々たるもの。カンダバーは地元農協も取り扱わないので、生産農家は相対取り引きの農連市場に持ち込むか、顧客に直接販売することになる。

 その結果、沖縄県民でも、特に若い人の中にはカンダバーを知らない人が多い。今から数年前、県内のある大学でカンダバーを知っているかどうか尋ねたところ、知っていたのは2割に満たなかった、というエピソードも。

 紫外線を浴びないで育った本土の野菜ばかり食べるようになったから沖縄の長寿が揺らいだ、とまでは言えないかもしれない。が、人間が浴びる紫外線はむしろ増えているのだから、健康・長寿を願うならば、抗酸化力が強いカンダバーなど地野菜の復権はやはり必須なのではないだろうか。

 冒頭で書いたように、カンダバーの一番手近な食べ方はみそ汁の実にすること。カンダバーは葉だけを使う。だしをしっかりとってカンダバーを入れ、すぐに味噌を入れてひと煮立ちさせたら出来上がり。

 加熱されたカンダバーは柔らかくなって、少しとろみが出てくる。この点はモロヘイヤに似ている。おじやであるボロボロジューシーに入れてもおいしい。みそ仕立てのカンダバージューシーは健康食として見直されつつある。

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 イモの葉は、世界では最もポピュラーな野菜の一つ。タマネギやトマトと煮込んだり、油いためにするなどして、アジアやアフリカでもよく食べられている。「穀物・イモ+葉野菜+しばしば豆+ときどき動物タンパク」が世界中どこに行っても見られる食事の基本形だが、この「葉野菜」の中にイモの葉が一役買っていることが多い。

 サツマイモの類はイモゾウムシやアリモドキゾウムシといった害虫がつくため、日本政府は、植物防疫の観点から、生の葉やイモの沖縄から本土への持ち込みを禁じている。これらの害虫が根絶されるまでは、沖縄産カンダバーを味わうのは沖縄で、ということになりそうだ。

 ただ、観光で沖縄に来た人が、飲食店でカンダバーを食べるのは難しいかもしれない。カンダバーは、店でお金をとって出すような野菜の対極にある「ふだん着野菜」。そのせいか、カンダバーを食材として使っている食堂やレストランは少ない。

 しかし、生のカンダバーなら、スーパーに置かれていることも多いし、JAのファーマーズマーケットや各地の農産物直売所、農連市場などで出回っているので、そこで買える。自炊できる宿ならそこで自炊するか、沖縄の知人に頼んで調理してもらうのがいいだろう。

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