コールセンター

2011年02月13日

クリック知らない人にどう説明するか

沖縄を創る人 第7回
 SGシステム沖縄コンタクトセンター主任 野原真弓さん(上)


 商品情報などについて電話で回答するコールセンター。国や県の支援策もあって、現在、沖縄には日本企業60社近くがコールセンターを置いている。佐川急便グループの送り状発行システムの問い合わせに応じる宜野湾市のコールセンターに、平成14年の立ち上げ時からのベテランスタッフ野原真弓さんを訪ねた。

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 コールセンターにはいくつかのタイプがある。NTTの104のような一般的な情報を提供するタイプ。商品の不具合などに対するクレームの受け付け。特定の機器やアプリケーションソフトの使い方を回答するテクニカルサポート、などなど。

 野原さんの職場、SGシステム株式会社BPO事業部沖縄コンタクトセンターは、3番目のタイプ。佐川急便の送り状発行専用アプリケーションソフトの操作方法が分からなかったり、思ったような結果が得られずに困っているユーザーを電話でサポートするのが役割だ。

 全国からひっきりなしにかかってくる電話を受けるオペレーターは67人いる。野原さんは、源河卓センター長の下で、主任の1人として新人スタッフがカバーできる機種を増やす研修を実施したり、難しい質問があった場合に代わって答えるなど、スタッフの指導や後方支援業務を受け持っている。

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 佐川急便に限らず、業務用の商品・サービスを提供する各社は独自のアプリケーションソフトを開発して、顧客である業者に使ってもらっている。独自アプリケーションソフトの多くは、それなりにテクニカル。例えば、CSVファイルを読み込んで宅配便の送り状を作成できる佐川急便専用アプリケーション「e飛伝II」の場合、インターネットショップの顧客名簿をCSVファイルの形でダウンロードしても、そのままe飛伝IIに流し込めるわけではなく、e飛伝IIの求める形に加工しなければならない。

 項目全体の削除や追加は当然だが、アプリケーションは、個々のデータの細かい問題にも「きちんと」反応する。つまり、システムの要求に合わないデータが入るとたちまちエラーが出る。

 例えば、送り先の住所表記で、平成の大合併によって市名が変更されていたり、相模原市や岡山市など、比較的最近、政令市に昇格して新たに区名の記載が必要になったケース。あるいは、横浜市保土ケ谷区は「ヶ」ではなく「ケ」が正式なので「ヶ」は受け付けない、というような細かい難しさもあったりする。

 インターネットショッピングでは、購入者自身が住所などの情報をパソコンや携帯電話で入力するが、住所表記の変更や細かい表記については当の購入者自身もよく分かっていない場合がしばしばあるからだ。

 送り状を作成しようとしている業者がe飛伝IIの扱いに不慣れな場合、データを流し込んでさまざまなエラーが表示されても、実際のところ何が起きているか分からず、野原さんのセンターに助けを求めて電話することになる。

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 佐川急便の送り状発行システムの登録ユーザー数は全国に10万社。1日の問い合わせ数は平均1200件。さすがにこれだけの数になると、そうしたアプリケーションやシステムに相当詳しい人から、パソコン操作自体をほとんど知らないような人まで、さまざまなタイプの顧客を相手にしなければならない。野原さんが言う。

 「例えば『クリック』という言葉をご存知ないお客さまもいらっしゃいます。相手の方がよく分かるようにお話しするにはどうしたらいいかを、いつも考える必要があります」

 「クリック」を知らない人に専用アプリケーションの使い方を説明するというのは、言ってみれば、幼稚園生に中学の教科書を教えるようなもの。簡単にいくはずもない。

 続きは次回2/20(日)に

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック