シイラ

2009年04月07日

[第110話 食] マンビカーの絶品魚フライ

 魚フライという、特に珍しくもない食べ物が今回のテーマ。その主役はマンビカー。マンビカーにパン粉のコロモをつけて揚げた魚フライは絶品だ。

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 魚フライといえば、何やら氏素性の分からない魚の切り身がパン粉に包まれて揚げられている姿が脳裏に浮かぶ。お昼の400円弁当の常連。ごはんの上に鎮座している魚フライはころもがふやけていたりするので、あまり上等のイメージではないかも。

 しかし魚フライが好きという人は少なくない。同じフライでもカキフライやトンカツとなると、ちょっと身構えるかもしれないが、魚フライならば、肩の力を抜いて、ふるさとに帰ったような安心感の中で何気なくパクパクと食べてしまう。

 魚フライにしておいしい魚は―。沖縄ではマンビカーを推す。標準語ではシイラ。調べてみると、関東などではシイラはほとんど食べられていないらしい。本土では日本海側の島根あたりが主な消費地のようだ。沖縄ではよく食べる。

 マンビカーは大きい。沖縄市漁協併設の鮮魚店パヤオでは、マグロ類といっしょにごろごろとプラ舟に入れて売られていた。体長1m近い圧倒的な存在感。プラ舟の前を通りかかった客が「おっ」と小さな感嘆の声を上げて足を止める。

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 見ての通り、マンビカーはちょっと異様な感じの顔だち。人で言えば、おでこから上の部分が大きくて、目がずいぶん下の方についている。マグロがコロコロとはちきれんばかりの体つきをしているのに比べると、マンビカーは全体に薄べったく、スリムだ。

 この日のパヤオでの価格は、丸のままの状態で1kg420円。価格が手頃なこともあってか、大きな一尾をおろしてもらおうとする客が2組続けて現われた。

 初めの主婦は「とてもおいしいですよ。魚フライにします。パン粉のコロモをつけて」。次の初老の男性は「天ぷらとか、フライとか。バター焼きもいいね」。2人とも、よく買っているらしい。次の写真はおろした状態のマンビカー。生を見た感じはハマチのような色をしているが、よく見れば脂肪分は少なく、透明感がある。やはり白身魚。薄べったい魚ではあるが、なにしろ大きいので、食べでは充分にありそうだ。

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 マンビカーの魚フライは、パサパサせずにしっとりしていて、同時にほどほどの歯ごたえがある。厚くしすぎると衣とバランスがとれないので、1cmから1.5cmくらいの厚さに切り、パン粉をつけて揚げる。適度な柔らかさと噛みごたえ。口触りと口の中に広がるうまみが、衣のサクサク感と渾然一体となって実においしい。

 マンビカーの魚フライを出す店でお勧めするのは北谷漁協女性部が経営する「お魚屋」。ここのマンビカーフライは、外はサクサク、中はしっとり。バランスがいいのだろう、どんどん箸がのびる。冒頭のアップ写真もここの作品。女性部は海人の奥さんや娘がメンバーで、魚フライのほかに、バター焼きやまーす煮(塩味の煮付け)なども出している。

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 お魚屋は北谷町字港4番、098-926-2466、水曜定休。パヤオは沖縄市泡瀬1-11-34 泡瀬漁港内、098-938-5811。


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