タンナファクルー
2010年01月24日
[第153話 食、沖縄] 黒糖たっぷりタンナファクルー
今回はタンナファクルー。沖縄を代表するお菓子である。ちんすこうが高級な沖縄伝統菓子だとすれば、タンナファクルーはふだんのおやつ。素朴な味わいの中に純正さがドンと鎮座しているお菓子、とでも言おうか。タンナファクルーの元祖、那覇市の丸玉製菓を訪ねた。
タンナファクルーは、「タンナファ」+「クルー」。タンナファは玉那覇(たまなは)、クルーは黒。そのままつなげればタンナファクルー=玉那覇黒ということになる。
これは、丸玉製菓の創業者にしてタンナファクルーを考案した玉那覇二郎が色黒だったことからついたニックネーム。「色黒の玉那覇さん」がそのままお菓子の名になった。玉那覇二郎は、丸玉製菓の現在の大田靖社長の母方の曾祖父にあたる。大田社長は3代目。
タンナファクルーは現在、沖縄県内の複数のメーカーが作っているが、丸玉製菓のタンナファクルーは、しっとりした粘りのある食感と黒糖の深い味わいで、他を一歩リードする。
乾き気味のパンのような食感かなと思いながら、パクリと噛む。歯がムニュっと入りこみ、意外な粘りがあることに気づく。口の中では、噛むにつれ、実になめらかな、きめ細かい半液状になっていく。このきめ細かい感じが好き、という人が多い。そうこうしているうちに黒糖の芳醇な味が口いっぱいに広がり、香りが鼻にぬけていく。
他社のタンナファクルーと丸玉製菓のタンナファクルーは何が違うのだろう。手がかりを求めて原材料欄を見ると「純黒糖、小麦粉、鶏卵、ふくらし粉」とある。えっ?
原材料欄の表記は、たくさん入れる順序で書くのが決まりになっている。つまり、タンナファクルーには、小麦粉よりも純黒糖の方がたくさん入っているということ。もちろん食べて感じる甘さは、ちょうどよい甘さである。
他社のタンナファクルーの原材料欄を見たところ、「小麦粉、純黒糖・・・」の順序になっているものがほとんどだった。純黒糖をたっぷり使うこと。どうやらこれが玉那覇二郎直伝の味の秘密らしい。丸玉製菓では、伊平屋島産の純黒糖を使っている。
似た例がないか、探してみた。パンっぽい食品で水気が少ないものということで、甘食のレシピを検索したら、だいたい小麦粉2に砂糖1の割合だった。パウンドケーキはその名の通り、小麦粉、バター、卵、砂糖を1パウンド(ポンド)ずつ使って作るので、小麦粉と砂糖は同量だ。せいぜいここまで。
確かに、丸玉製菓のタンナファクルーは、袋を持った時に、不思議な重さを感じる。それほど水分があるとも思われないのに、なぜ? この重さは、水分のせいではなく、黒糖がたっぷり入っているからにほかならない。砂糖は重い。比重が水の1.6倍くらいある。
大田社長によると、タンナファクルーの食感に大きな影響を与えるのはこね方と湿度。冬場は湿気が入りやすく、入り過ぎると甘さが感じられなくなる。逆に、湿気が不足すればパサパサするから、これも具合が悪い。その日の気象条件をにらみながら、ちょうどよい加減を目指して、こねていく。
生地のこね作業は、ほとんど大田社長が一人でやっている。もちろん従業員も手伝うが、こね作業だけはなかなか人に任せられないという。他のメーカーの中には生地のこね作業を機械化している会社も多いようだが、丸玉製菓は先代の作り方を大田社長がそのまま引き継ぎ、こねはすべて手作業でこなす。
大田社長は、祖父から事業を引き継いだ。祖父は頑固な職人気質。配合やこね方を教えてくれるようなことは一切なかったから、見よう見まねを繰り返して、元祖タンナファクルーの作り方を身につけていった。「最初のうちは失敗の連続でした」と大田社長は振り返る。
丸玉製菓は「創業100年余り」。正確な創業年は分からない。あらゆる資料は沖縄戦で焼失した。
丸玉製菓のタンナファクルーは、県内では那覇市内の直営店をはじめ、サンエーなど一部のスーパーにも置かれている。県外ではわしたショップで買える。通販で扱うショップもいくつかあるので検索を。丸玉製菓の直営店は、那覇市牧志1-3-35、098-867-2567。国際通りの中央にあるむつみ橋から沖映通りを150mほど行った左手にある小さな店。
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タンナファクルーは、「タンナファ」+「クルー」。タンナファは玉那覇(たまなは)、クルーは黒。そのままつなげればタンナファクルー=玉那覇黒ということになる。
これは、丸玉製菓の創業者にしてタンナファクルーを考案した玉那覇二郎が色黒だったことからついたニックネーム。「色黒の玉那覇さん」がそのままお菓子の名になった。玉那覇二郎は、丸玉製菓の現在の大田靖社長の母方の曾祖父にあたる。大田社長は3代目。
タンナファクルーは現在、沖縄県内の複数のメーカーが作っているが、丸玉製菓のタンナファクルーは、しっとりした粘りのある食感と黒糖の深い味わいで、他を一歩リードする。
乾き気味のパンのような食感かなと思いながら、パクリと噛む。歯がムニュっと入りこみ、意外な粘りがあることに気づく。口の中では、噛むにつれ、実になめらかな、きめ細かい半液状になっていく。このきめ細かい感じが好き、という人が多い。そうこうしているうちに黒糖の芳醇な味が口いっぱいに広がり、香りが鼻にぬけていく。
他社のタンナファクルーと丸玉製菓のタンナファクルーは何が違うのだろう。手がかりを求めて原材料欄を見ると「純黒糖、小麦粉、鶏卵、ふくらし粉」とある。えっ?
原材料欄の表記は、たくさん入れる順序で書くのが決まりになっている。つまり、タンナファクルーには、小麦粉よりも純黒糖の方がたくさん入っているということ。もちろん食べて感じる甘さは、ちょうどよい甘さである。
他社のタンナファクルーの原材料欄を見たところ、「小麦粉、純黒糖・・・」の順序になっているものがほとんどだった。純黒糖をたっぷり使うこと。どうやらこれが玉那覇二郎直伝の味の秘密らしい。丸玉製菓では、伊平屋島産の純黒糖を使っている。
似た例がないか、探してみた。パンっぽい食品で水気が少ないものということで、甘食のレシピを検索したら、だいたい小麦粉2に砂糖1の割合だった。パウンドケーキはその名の通り、小麦粉、バター、卵、砂糖を1パウンド(ポンド)ずつ使って作るので、小麦粉と砂糖は同量だ。せいぜいここまで。
確かに、丸玉製菓のタンナファクルーは、袋を持った時に、不思議な重さを感じる。それほど水分があるとも思われないのに、なぜ? この重さは、水分のせいではなく、黒糖がたっぷり入っているからにほかならない。砂糖は重い。比重が水の1.6倍くらいある。
大田社長によると、タンナファクルーの食感に大きな影響を与えるのはこね方と湿度。冬場は湿気が入りやすく、入り過ぎると甘さが感じられなくなる。逆に、湿気が不足すればパサパサするから、これも具合が悪い。その日の気象条件をにらみながら、ちょうどよい加減を目指して、こねていく。
生地のこね作業は、ほとんど大田社長が一人でやっている。もちろん従業員も手伝うが、こね作業だけはなかなか人に任せられないという。他のメーカーの中には生地のこね作業を機械化している会社も多いようだが、丸玉製菓は先代の作り方を大田社長がそのまま引き継ぎ、こねはすべて手作業でこなす。
大田社長は、祖父から事業を引き継いだ。祖父は頑固な職人気質。配合やこね方を教えてくれるようなことは一切なかったから、見よう見まねを繰り返して、元祖タンナファクルーの作り方を身につけていった。「最初のうちは失敗の連続でした」と大田社長は振り返る。
丸玉製菓は「創業100年余り」。正確な創業年は分からない。あらゆる資料は沖縄戦で焼失した。
丸玉製菓のタンナファクルーは、県内では那覇市内の直営店をはじめ、サンエーなど一部のスーパーにも置かれている。県外ではわしたショップで買える。通販で扱うショップもいくつかあるので検索を。丸玉製菓の直営店は、那覇市牧志1-3-35、098-867-2567。国際通りの中央にあるむつみ橋から沖映通りを150mほど行った左手にある小さな店。
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