ハンバーグ
2013年03月07日
相性抜群のつけ合わせたち
ハンバーグのつけ合わせと言えば、ゆでじゃがいもと人参のグラッセでしょうか。定番といっていいですね。確かにハンバーグと一緒に食べるとおいしいです。
今回は、ハンバーグと相性がいいつけ合わせの中で、やや珍しいものをいくつか紹介します。
まず焼きトマト。熟したトマトを横方向に厚さ1.5cmくらいの輪切りにし、油をひいた中強火のフライパンで両面をこんがり焼きます。表面をカリっとさせたければ、焼く寸前に軽く小麦粉をまぶしてから焼いてもOK。
味付けは塩、こしょうで。ちらりと醤油をかけ、ジュっと軽く焦がすのもお勧めです。刻みにんにくと一緒に焼くと、これがまたうまい。
焼きトマトは、つけ合わせ兼ソースになります。そのまま食べてもおいしいですし、崩してハンバーグと混ぜながら食べるのもまたよし。
焼きトマトを添える時のハンバーグソースは、トマトっぽいものでない方がいいでしょう。思いきって「ソースなし」という手もあります。その場合は、コクの出る刻みにんにくをぜひトマトと一緒に焼いて下さい。塩、こしょう、醤油でしっかり味をつけ、焼きもしっかり目にします。仕上げに刻みタマネギを。
セロリのような香草系が好きな方は、蒸しセロリをどうぞ。
セロリを7、8cmの長さに切り、鍋に並べて塩と好みのオイルを軽くふり、水を大さじ4、5杯加え、ふたをして中弱火で7、8分蒸します。しんなりしたセロリは、蒸すことでよい香りが増し、青臭さは消え、とてもおいしいくなります。ハンバーグとの相性も抜群。
蒸し、といえば、蒸しキャベツ、もなかなかいけますよ。
キャベツは幅5mm、長さ7、8cmに切って、鍋に入れ、塩と酢を少々ふり、好みのオイルも少しふりかけ、水を大さじ4、5杯入れてフタをして中弱火で7、8分蒸します。クタクタになるくらい蒸した方がハンバーグとの相性がいいようです。
これはどんどん食べ進んでしまうので、多めに作って下さい。盛りつける時に、ベチャっとならないように、水気を切って、こんもり盛るときれい。
キャベツは高温加熱すると甘味が増しますので、シンプルないためキャベツも、なかなかいいつけ合わせになります。こちらもよくいためてキャベツの生っぽさをなくした方がいいですね。普通のキャベツいためより細目に切ると、ハンバーグとの相性がよくなります。
蒸しキャベツと同じように、少し酢をふると、味が引き立ち、肉との相性がよくなります。ニンニク味が好きな方は刻みニンニクをいっしょにいためましょう。
「美しい色合い」をトコトン追求する方には、やはりブロッコリーでしょうか。塩をひとつまみ入れた湯でゆでたブロッコリーは本当にきれいです。
ブロッコリーはクセのない味なので、強めの味のソースとの相性がよく、「舌の休憩」の役割を果たしてくれます。ももと庵も、ソースが強めの味なので、ブロッコリーをよく使っていますよ。
さてさて、つけ合わせもできました。今度こそ、ニッポンのハンバーグの完成でーす。
今回は、ハンバーグと相性がいいつけ合わせの中で、やや珍しいものをいくつか紹介します。
まず焼きトマト。熟したトマトを横方向に厚さ1.5cmくらいの輪切りにし、油をひいた中強火のフライパンで両面をこんがり焼きます。表面をカリっとさせたければ、焼く寸前に軽く小麦粉をまぶしてから焼いてもOK。
味付けは塩、こしょうで。ちらりと醤油をかけ、ジュっと軽く焦がすのもお勧めです。刻みにんにくと一緒に焼くと、これがまたうまい。
焼きトマトは、つけ合わせ兼ソースになります。そのまま食べてもおいしいですし、崩してハンバーグと混ぜながら食べるのもまたよし。
焼きトマトを添える時のハンバーグソースは、トマトっぽいものでない方がいいでしょう。思いきって「ソースなし」という手もあります。その場合は、コクの出る刻みにんにくをぜひトマトと一緒に焼いて下さい。塩、こしょう、醤油でしっかり味をつけ、焼きもしっかり目にします。仕上げに刻みタマネギを。
セロリのような香草系が好きな方は、蒸しセロリをどうぞ。
セロリを7、8cmの長さに切り、鍋に並べて塩と好みのオイルを軽くふり、水を大さじ4、5杯加え、ふたをして中弱火で7、8分蒸します。しんなりしたセロリは、蒸すことでよい香りが増し、青臭さは消え、とてもおいしいくなります。ハンバーグとの相性も抜群。
蒸し、といえば、蒸しキャベツ、もなかなかいけますよ。
キャベツは幅5mm、長さ7、8cmに切って、鍋に入れ、塩と酢を少々ふり、好みのオイルも少しふりかけ、水を大さじ4、5杯入れてフタをして中弱火で7、8分蒸します。クタクタになるくらい蒸した方がハンバーグとの相性がいいようです。
これはどんどん食べ進んでしまうので、多めに作って下さい。盛りつける時に、ベチャっとならないように、水気を切って、こんもり盛るときれい。
キャベツは高温加熱すると甘味が増しますので、シンプルないためキャベツも、なかなかいいつけ合わせになります。こちらもよくいためてキャベツの生っぽさをなくした方がいいですね。普通のキャベツいためより細目に切ると、ハンバーグとの相性がよくなります。
蒸しキャベツと同じように、少し酢をふると、味が引き立ち、肉との相性がよくなります。ニンニク味が好きな方は刻みニンニクをいっしょにいためましょう。
「美しい色合い」をトコトン追求する方には、やはりブロッコリーでしょうか。塩をひとつまみ入れた湯でゆでたブロッコリーは本当にきれいです。
ブロッコリーはクセのない味なので、強めの味のソースとの相性がよく、「舌の休憩」の役割を果たしてくれます。ももと庵も、ソースが強めの味なので、ブロッコリーをよく使っていますよ。
さてさて、つけ合わせもできました。今度こそ、ニッポンのハンバーグの完成でーす。
2013年03月01日
ドミかトマトか、それが問題だ
ジューシーで柔らかいハンバーグが焼き上がりましたが、ソースをどうするか。これも深刻な、重大な問題です。なぜなら、ソースの味でハンバーグ全体の味が決まってしまうからです。
ハンバーグソースの定番の一つは、ドミグラスソースまたはそれをベースにしたもの。本格的なドミグラスソースは、牛ダシをベースに、牛肉や牛骨、野菜類を加えて、長時間煮込んで作るもので、家庭で簡単にできるようなものではありません。
ですから、家でドミグラスソースのハンバーグソースを作ろうとすれば、缶入りドミグラスソースを買ってくることになります。ドミグラスソースは、さすがにうまみが凝縮されていますので、ハンバーグ全体をおいしくしてくれます。
ただ、買ってくるドミグラスソースは、みな同じ味なので、それをハンバーグにかけると、どこで食べても同じ「あの味」になってしまう、といううらみがあります。「わが家の味」「自分の味」を見つけたい人にとっては面白くないかも。
ドミグラスと並ぶハンバーグソースの定番は、トマトケチャップまたはそれをベースにしたものでしょう。トマトケチャップには、ドミグラスソースのような凝縮されたうまみはありませんが、フレッシュ感があるので、肉と一緒に口に入れると相性がいいんです。
トマトケチャップの酸味も、ハンバーグ全体の味を立体的にします。トマトケチャップと普通のソースを混ぜるという人も多いですね。
逆に、トマトケチャップやソースの一つの難点は、その酸味や甘みを「強すぎる」と感じる人がいること。ケチャップよりドミグラスソースの方が好き、と言う人の中には、ケチャップの酸っぱさや甘さが苦手、という人もかなりいそうです。
トマトの酸味やフレッシュ感を生かしながら、甘味や酸味を少し減らしたい時は、トマトケチャップに、生のトマトやトマトピューレーなど、味のマイルドなトマト材料を混ぜればOKです。旨味にもの足りなさを感じたら、醤油を少し入れるのもお勧め。ごはんによく合うソースになりますよ。
その作り方。トマトケチャップ、トマトピューレー、生トマト、醤油、ソースなどを好みの配合で混ぜます。ハンバーグを加熱した際に出てきた肉汁を加えるのを忘れないようにしましょう。
その材料を、最初に焼き目をつけるのに使ったフライパンに入れます。さらに大さじ4、5杯の水を加えて加熱し、フライパン表面にこびりついているきつね色の部分を溶かしながら少し煮詰めれば完成です。
ももと庵のハンバーグソースはトマトべ―ス。これに醤油や泡盛、にんにくなどが入ります。泡盛は、旨味のほかにかすかな苦みもあり、入れたとたん、全体の味が複雑になります。泡盛は、もちろん飲めば最高の酒ですが、料理酒としても相当のディキヤー(すぐれもの)です。
以上でニッポンのハンバーグが完成しました。ちょっと大変でしたけど、結構、おいしくできたんじゃないですか?
あ。 つけ合わせのことを忘れてた。次回はつけ合わせの話をしましょう。
ハンバーグソースの定番の一つは、ドミグラスソースまたはそれをベースにしたもの。本格的なドミグラスソースは、牛ダシをベースに、牛肉や牛骨、野菜類を加えて、長時間煮込んで作るもので、家庭で簡単にできるようなものではありません。
ですから、家でドミグラスソースのハンバーグソースを作ろうとすれば、缶入りドミグラスソースを買ってくることになります。ドミグラスソースは、さすがにうまみが凝縮されていますので、ハンバーグ全体をおいしくしてくれます。
ただ、買ってくるドミグラスソースは、みな同じ味なので、それをハンバーグにかけると、どこで食べても同じ「あの味」になってしまう、といううらみがあります。「わが家の味」「自分の味」を見つけたい人にとっては面白くないかも。
ドミグラスと並ぶハンバーグソースの定番は、トマトケチャップまたはそれをベースにしたものでしょう。トマトケチャップには、ドミグラスソースのような凝縮されたうまみはありませんが、フレッシュ感があるので、肉と一緒に口に入れると相性がいいんです。
トマトケチャップの酸味も、ハンバーグ全体の味を立体的にします。トマトケチャップと普通のソースを混ぜるという人も多いですね。
逆に、トマトケチャップやソースの一つの難点は、その酸味や甘みを「強すぎる」と感じる人がいること。ケチャップよりドミグラスソースの方が好き、と言う人の中には、ケチャップの酸っぱさや甘さが苦手、という人もかなりいそうです。
トマトの酸味やフレッシュ感を生かしながら、甘味や酸味を少し減らしたい時は、トマトケチャップに、生のトマトやトマトピューレーなど、味のマイルドなトマト材料を混ぜればOKです。旨味にもの足りなさを感じたら、醤油を少し入れるのもお勧め。ごはんによく合うソースになりますよ。
その作り方。トマトケチャップ、トマトピューレー、生トマト、醤油、ソースなどを好みの配合で混ぜます。ハンバーグを加熱した際に出てきた肉汁を加えるのを忘れないようにしましょう。
その材料を、最初に焼き目をつけるのに使ったフライパンに入れます。さらに大さじ4、5杯の水を加えて加熱し、フライパン表面にこびりついているきつね色の部分を溶かしながら少し煮詰めれば完成です。
ももと庵のハンバーグソースはトマトべ―ス。これに醤油や泡盛、にんにくなどが入ります。泡盛は、旨味のほかにかすかな苦みもあり、入れたとたん、全体の味が複雑になります。泡盛は、もちろん飲めば最高の酒ですが、料理酒としても相当のディキヤー(すぐれもの)です。
以上でニッポンのハンバーグが完成しました。ちょっと大変でしたけど、結構、おいしくできたんじゃないですか?
あ。 つけ合わせのことを忘れてた。次回はつけ合わせの話をしましょう。
2013年02月23日
正解は「ギリギリ加熱」
ハンバーグをおうちで作る際に、多くの方が深く深く悩むのは、焼き方です。
焦がしたり、中まで火が通らなかったり、どうもうまく焼けないんだけどー
実によく分かります。ももと庵の厨房でも「ハンバーグを上手に焼く」ことは、かなり難しい仕事です。
まず、中火のフライパンに油をひき、生のハンバーグを入れ、片面の表面がきつね色になるまで、1、2分焼きます。ハンバーグ生地がまだ柔らかいので、あまり触らないようにして、時々、フライパンを軽くゆすりながら焼きましょう。
フライ返しで少し持ち上げて焼き面がきつね色になっていたら、そっと裏返し、同じように1分ほど焼きます。
この状態では、もちろん中はまだ全く生です。この後、方法は2つあります。
方法その1。焼き色がついた生地をそっとスープ皿のような皿にとり、500wくらいの電子レンジにかけます。
レンジをかける時間は生地の大きさ、厚さ、開始段階の肉の温度によって変わってきます。まずは2分弱を目安に、そこで1回止めて、お箸を刺してみます。中からピンク色の液がまだ出るようなら、まだ。20秒くらいさらに加熱しては箸を刺し、を繰り返して、箸を刺した時に出る汁の色が透明になるまで加熱します。
方法その2。焼き色がついたら、フライパンの火をぐっと弱め、とろ火の状態にし、ふたをして6、7分焼きます。
次に裏返して、同じように6、7分焼きます。水がかなり出ていたら、最後の3、4分はふたをとって、水気を飛ばすようにします。ただし、火を強める必要はありません。
お箸を刺して、ピンク色の汁が出ないことが確認されたら、すぐ火を止めて下さい。
電子レンジでもガス火でも、汁が透明になったらすぐ加熱を止めることが最大のポイント。つまり肉に火が通るギリギリのところで加熱を止めるのです。
この段階で中心部分は100度になっていません。85度ほど。それで十分なんです。肉料理をジューシーに仕上げるには、それくらいの加熱にとどめるのが理想です。
加熱している間、ある程度の汁は出てきますが、前回説明した「預金」があるので、あまり気にしないで下さい。ただし、出て来た汁は捨てないで。後で使います。
最後に、ソースを作ります。その話は次回に。
焦がしたり、中まで火が通らなかったり、どうもうまく焼けないんだけどー
実によく分かります。ももと庵の厨房でも「ハンバーグを上手に焼く」ことは、かなり難しい仕事です。
まず、中火のフライパンに油をひき、生のハンバーグを入れ、片面の表面がきつね色になるまで、1、2分焼きます。ハンバーグ生地がまだ柔らかいので、あまり触らないようにして、時々、フライパンを軽くゆすりながら焼きましょう。
フライ返しで少し持ち上げて焼き面がきつね色になっていたら、そっと裏返し、同じように1分ほど焼きます。
この状態では、もちろん中はまだ全く生です。この後、方法は2つあります。
方法その1。焼き色がついた生地をそっとスープ皿のような皿にとり、500wくらいの電子レンジにかけます。
レンジをかける時間は生地の大きさ、厚さ、開始段階の肉の温度によって変わってきます。まずは2分弱を目安に、そこで1回止めて、お箸を刺してみます。中からピンク色の液がまだ出るようなら、まだ。20秒くらいさらに加熱しては箸を刺し、を繰り返して、箸を刺した時に出る汁の色が透明になるまで加熱します。
方法その2。焼き色がついたら、フライパンの火をぐっと弱め、とろ火の状態にし、ふたをして6、7分焼きます。
次に裏返して、同じように6、7分焼きます。水がかなり出ていたら、最後の3、4分はふたをとって、水気を飛ばすようにします。ただし、火を強める必要はありません。
お箸を刺して、ピンク色の汁が出ないことが確認されたら、すぐ火を止めて下さい。
電子レンジでもガス火でも、汁が透明になったらすぐ加熱を止めることが最大のポイント。つまり肉に火が通るギリギリのところで加熱を止めるのです。
この段階で中心部分は100度になっていません。85度ほど。それで十分なんです。肉料理をジューシーに仕上げるには、それくらいの加熱にとどめるのが理想です。
加熱している間、ある程度の汁は出てきますが、前回説明した「預金」があるので、あまり気にしないで下さい。ただし、出て来た汁は捨てないで。後で使います。
最後に、ソースを作ります。その話は次回に。
2013年02月17日
加水でジューシーさが倍増
前回はアメリカンの肉だけハンバーグの話をしました。今回からはニッポンのハンバーグです。おいしい作り方を何回かに分けて綴ってみます。
ニッポンのハンバーグでとりわけ重視されるのは、ジューシーであることと、柔らかいこと。この2つ条件を、やや過剰なくらいに満たさないと、みなさん、なかなか満足しません。
ジューシーにするにはどうすればいいかー
そもそも、ハンバーグを焼く際に大変難しいことがあります。厚さが2cm前後あるため、中心まで火を通すのに時間がかかり、長い時間、焼いていると、その間に肉汁がどんどん出て、パサパサになってしまうのです。
そこで生地を作る際に、あらかじめ少し加水しておきます。ひき肉の量の1/4から1/5くらいの水を、ひき肉と一緒に練り込んでおきます。こうしておくと、焼いた時に少しくらい肉汁が出ても、まだたっぷり中に水気が残っているので大丈夫、というわけですね。
汁がある程度は出てしまうことを覚悟のうえで、先回りして肉の中に水を「預金」しておくような感じです。
加水した生地は、柔らかい感じに仕上がりますが、面白いことに、肉の細胞は水をきれいに吸ってくれるので、生地が柔らかくなることはあっても、べちゃべちゃと水っぽくなるようなことはありません。
ジューシーさの次は柔らかさ、です。
前回、アメリカの「肉だけハンバーグ」について書きました。いくらひき肉とはいえ、肉は筋肉なので、肉100%でハンバーグにすると、意外に歯ごたえを感じます。
それがまたいいのですが、片や、ニッポンのハンバーグは「箸で簡単に切れ、口の中で数回噛めば、たやすくほどける」くらい柔らかいこと、が求められます。口の中で筋肉を感じ、それを歯で噛み切らねばならないようでは、「柔らかさが足りない」という不満につながってしまいます。
ハンバーグを柔らかくする方法は、スジ気のまるでない何かを肉の間にかませること。日本では、多くの場合、牛乳でふやかしたパンを練り込みます。
あまりパンが多すぎてもいけません。パンが多すぎるハンバーグは、主役の座をパンが肉から奪い、ベタっとした団子のような食感になってしまいますので。
生地ができたので、次回はいよいよ焼きに入ります。
ニッポンのハンバーグでとりわけ重視されるのは、ジューシーであることと、柔らかいこと。この2つ条件を、やや過剰なくらいに満たさないと、みなさん、なかなか満足しません。
ジューシーにするにはどうすればいいかー
そもそも、ハンバーグを焼く際に大変難しいことがあります。厚さが2cm前後あるため、中心まで火を通すのに時間がかかり、長い時間、焼いていると、その間に肉汁がどんどん出て、パサパサになってしまうのです。
そこで生地を作る際に、あらかじめ少し加水しておきます。ひき肉の量の1/4から1/5くらいの水を、ひき肉と一緒に練り込んでおきます。こうしておくと、焼いた時に少しくらい肉汁が出ても、まだたっぷり中に水気が残っているので大丈夫、というわけですね。
汁がある程度は出てしまうことを覚悟のうえで、先回りして肉の中に水を「預金」しておくような感じです。
加水した生地は、柔らかい感じに仕上がりますが、面白いことに、肉の細胞は水をきれいに吸ってくれるので、生地が柔らかくなることはあっても、べちゃべちゃと水っぽくなるようなことはありません。
ジューシーさの次は柔らかさ、です。
前回、アメリカの「肉だけハンバーグ」について書きました。いくらひき肉とはいえ、肉は筋肉なので、肉100%でハンバーグにすると、意外に歯ごたえを感じます。
それがまたいいのですが、片や、ニッポンのハンバーグは「箸で簡単に切れ、口の中で数回噛めば、たやすくほどける」くらい柔らかいこと、が求められます。口の中で筋肉を感じ、それを歯で噛み切らねばならないようでは、「柔らかさが足りない」という不満につながってしまいます。
ハンバーグを柔らかくする方法は、スジ気のまるでない何かを肉の間にかませること。日本では、多くの場合、牛乳でふやかしたパンを練り込みます。
あまりパンが多すぎてもいけません。パンが多すぎるハンバーグは、主役の座をパンが肉から奪い、ベタっとした団子のような食感になってしまいますので。
生地ができたので、次回はいよいよ焼きに入ります。
2013年02月11日
米国式ハンバーグは肉だけ
今回から少しハンバーグのことを綴ってみます。考えてみれば、ハンバーグって不思議な料理ですよね。海の向こうからやってきて、日本風にアレンジされ、家庭料理としてすっかり定着。みんな大好きハンバーグ、になっています。ももと庵メニューでも、かなりの人気者です。
でも作るのは意外に大変。「ひき肉をまるめて焼くだけ」といえば確かにそうなんですが、おいしく作るには、いろいろノウハウがあります。
作り方うんちく編の前に、今回は、ちょっとだけアメリカのハンバーグ話を一席。
ハンバーガー大国、アメリカの家庭では、よく友だちを家に招待します。「今度の土曜日に家でバーベキューをしますので、ご家族と一緒にぜひどうぞ」と声がかかるのが定番。
「バーベキュー」と聞いて、串刺しの肉の固まりなんぞを勝手にイメージしながら、いそいそと出かけます。
庭では、だいたい主人が炭火をおこして、お客に飲み物をふるまいながら、ひととき、おしゃべりを楽しみます。
火が十分おきた頃、冷蔵庫にしまってある「焼くもの」を奥さんが持って登場します。トレーなどに入れた「焼くもの」の上にアルミ箔をかぶせて、しずしずと、いやアメリカの奥さんですから、何かしゃべりながら、明るい感じで運んできます。
招かれた側も、この頃にはかなりお腹がすいているので、いやがうえにも期待が高まります。
アルミ箔のフタがはずされると、しかしながら、そこに姿を現すのは、肉の固まりではありません。串刺しの肉でもありません。まず十中八九、ハンバーグです。???!「バーベキュー」のイメージとは違うので、ちょっと面食らいます。
さらにー
出て来るハンバーグが、日本のそれとは大違いなので、二度びっくり。牛ひき肉100%の固まりなんです。そう、まさに、ひき肉をまるめて焼くだけ。日本のハンバーグだと、玉ネギやらパン粉やら、肉以外にいろいろ入れますから、「100%牛肉のハンバーグ」には、意外な新鮮さがあります。
これを、おもむろに炭火で焼きます。「肉だけ」ですから、まさにステーキの感覚。アメリカで売られている牛肉は、よほど柔らかい部位でないと、そのまま焼いたのでは固くなってしまうので、ひき肉にしてから焼くというのは、確かに理にかなっています。
厚みがあるので、焼くのは、結構な時間がかかります。焼いている間に肉汁がしたたり落ちてジュワっと煙が上がり、それはもう、おいしそう。
焼き上がった牛100%のハンバーグ。アメリカでは、みなさん、焼き上がった肉だけハンバーグを丸いパンにはさんで、ハンバーガーにして食べます。ケチャップやマスタードをかけて。生の玉ねぎのスライスを挟む人もいます(写真は沖縄の米軍基地内レストランで出て来た肉100%の米国式ハンバーグ)。
このハンバーガー、ファーストフードのそれとは比較になりません。ハンバーグは厚くて大きく、肉のうまみ十分。噛み応えも十分。あぁ、こういうハンバーグもあったのねー
串刺し肉への思いはとっくに消え、もぐもぐしながら、口いっぱいに広がる炭火焼牛肉の味に身をゆだねている自分に気づくことになります。
次回から、日本式ハンバーグの作り方編です。
でも作るのは意外に大変。「ひき肉をまるめて焼くだけ」といえば確かにそうなんですが、おいしく作るには、いろいろノウハウがあります。
作り方うんちく編の前に、今回は、ちょっとだけアメリカのハンバーグ話を一席。
ハンバーガー大国、アメリカの家庭では、よく友だちを家に招待します。「今度の土曜日に家でバーベキューをしますので、ご家族と一緒にぜひどうぞ」と声がかかるのが定番。
「バーベキュー」と聞いて、串刺しの肉の固まりなんぞを勝手にイメージしながら、いそいそと出かけます。
庭では、だいたい主人が炭火をおこして、お客に飲み物をふるまいながら、ひととき、おしゃべりを楽しみます。
火が十分おきた頃、冷蔵庫にしまってある「焼くもの」を奥さんが持って登場します。トレーなどに入れた「焼くもの」の上にアルミ箔をかぶせて、しずしずと、いやアメリカの奥さんですから、何かしゃべりながら、明るい感じで運んできます。
招かれた側も、この頃にはかなりお腹がすいているので、いやがうえにも期待が高まります。
アルミ箔のフタがはずされると、しかしながら、そこに姿を現すのは、肉の固まりではありません。串刺しの肉でもありません。まず十中八九、ハンバーグです。???!「バーベキュー」のイメージとは違うので、ちょっと面食らいます。
さらにー
出て来るハンバーグが、日本のそれとは大違いなので、二度びっくり。牛ひき肉100%の固まりなんです。そう、まさに、ひき肉をまるめて焼くだけ。日本のハンバーグだと、玉ネギやらパン粉やら、肉以外にいろいろ入れますから、「100%牛肉のハンバーグ」には、意外な新鮮さがあります。
これを、おもむろに炭火で焼きます。「肉だけ」ですから、まさにステーキの感覚。アメリカで売られている牛肉は、よほど柔らかい部位でないと、そのまま焼いたのでは固くなってしまうので、ひき肉にしてから焼くというのは、確かに理にかなっています。
厚みがあるので、焼くのは、結構な時間がかかります。焼いている間に肉汁がしたたり落ちてジュワっと煙が上がり、それはもう、おいしそう。
焼き上がった牛100%のハンバーグ。アメリカでは、みなさん、焼き上がった肉だけハンバーグを丸いパンにはさんで、ハンバーガーにして食べます。ケチャップやマスタードをかけて。生の玉ねぎのスライスを挟む人もいます(写真は沖縄の米軍基地内レストランで出て来た肉100%の米国式ハンバーグ)。
このハンバーガー、ファーストフードのそれとは比較になりません。ハンバーグは厚くて大きく、肉のうまみ十分。噛み応えも十分。あぁ、こういうハンバーグもあったのねー
串刺し肉への思いはとっくに消え、もぐもぐしながら、口いっぱいに広がる炭火焼牛肉の味に身をゆだねている自分に気づくことになります。
次回から、日本式ハンバーグの作り方編です。