バター
2013年04月03日
混ざる、混ざらない
パウンドケーキの楽屋ばなし、その2回目です。テーマは「混ざる、混ざらない」

バターが空気を含んでクリーム状になったら、卵液を加えていきます。砂糖をバター側に入れるにせよ、卵側に入れるにせよ、卵液の混ぜ方にはコツがあります。
それは卵液を「少しずつ」加えて混ぜる、ということ。
卵液は主に水で、バターは油です。「水と油は混ざらない」。ドカンと入れて混ぜようとしても、とても混ざるものではありません。
少しずつだって、水と油は混ざらないんじゃない?
鋭い疑問です。まさに、その通り。正確には、混ぜる=融合させるのではなく、少しずつ入れることで卵液の粒をなるべく小さくしながら、バターに「そっと寄り添わせる」のです。
きめ細かく寄り添ってもらうには、バターが分離して液状化していないことが重要です。バターを扱う時は、一にも二にも温度管理、ですね。
バターと卵の寄り添いがうまくいったら、続いてふるった小麦粉を入れ、ほどよく混ぜ合わせれば、すべての材料はだいたい寄り添ってくれます。
最後に、オーブンに入れて高温にさらすと、卵のタンパクは固まり、卵から水をもらった小麦デンプンはアルファ化し、それらの中に砂糖とバターが溶け込んでいきます。
バターと小麦粉の焼ける香りが部屋中に・・・。たまりませんね。
やがて、すべての材料は一体化して、オーブンのとびらを開くと、しっとりしっかりのパウンドケーキが登場します。

バターが空気を含んでクリーム状になったら、卵液を加えていきます。砂糖をバター側に入れるにせよ、卵側に入れるにせよ、卵液の混ぜ方にはコツがあります。
それは卵液を「少しずつ」加えて混ぜる、ということ。
卵液は主に水で、バターは油です。「水と油は混ざらない」。ドカンと入れて混ぜようとしても、とても混ざるものではありません。
少しずつだって、水と油は混ざらないんじゃない?
鋭い疑問です。まさに、その通り。正確には、混ぜる=融合させるのではなく、少しずつ入れることで卵液の粒をなるべく小さくしながら、バターに「そっと寄り添わせる」のです。
きめ細かく寄り添ってもらうには、バターが分離して液状化していないことが重要です。バターを扱う時は、一にも二にも温度管理、ですね。
バターと卵の寄り添いがうまくいったら、続いてふるった小麦粉を入れ、ほどよく混ぜ合わせれば、すべての材料はだいたい寄り添ってくれます。
最後に、オーブンに入れて高温にさらすと、卵のタンパクは固まり、卵から水をもらった小麦デンプンはアルファ化し、それらの中に砂糖とバターが溶け込んでいきます。
バターと小麦粉の焼ける香りが部屋中に・・・。たまりませんね。
やがて、すべての材料は一体化して、オーブンのとびらを開くと、しっとりしっかりのパウンドケーキが登場します。
2013年03月28日
溶ける、溶けない
新登場パウンドケーキの楽屋ばなしを2回ほど。今回のテーマは「溶ける、溶けない」です。

パウンドケーキのレシピには、ほぼ必ず「バターを室温で柔らかくし、クリーム状になるまで練ってから砂糖を加え、なめらかになるまでよく混ぜる」と書いてあります。最初から砂糖を加えて、バターと一緒に練ってもよい、となっています。
やってみると、バターをクリーム状にするまではいいんですが、砂糖がなかなか溶けない。
考えてみれば、当たり前ですね。砂糖は水には溶けますが、油には溶けないからです。バタークリームだって、砂糖は水などに溶かしてから卵と混ぜてホイップし、最後にバターと合わせて作るんですから。
あぁ、そうか、というわけで、考えついたのは、次の2つの方法でした。
一つは、砂糖はバターにではなく、卵に溶かす方法。卵は水分が多く、砂糖もよく溶けます。この砂糖入りの卵液を、空気を含んだクリーム状バターに少しずつ加えて混ぜていきます。今、ももと庵でお出ししているパウンドケーキ生地はこの方式で作りました。
もう一つの方法は、まだ試してはいませんが、砂糖はクリーム状バターに混ぜるけど、軽く混ぜるにとどめ、ざらざら状態のままでおしまいにする、というもの。
砂糖はバターに投げ込まれ、いわば粒全体が油でコーティングされた状態になるため、その後で卵液を混ぜた段階でも溶け切らないかもしません。が、最後に焼けば高温で必ず溶けるでしょう。焼きながら砂糖が溶ければ、そこに小さな隙き間が生じ、それがまた食感の向上に結びつくかもしれないナ、と想像したりしています。
食感、と言えば、レシピによってはふくらし粉を入れるものもあります。ももと庵は入れません。ふくらし粉は膨らみがよすぎて、パウンドケーキらしい「しっかり」感が損なわれるからなんです。
卵を泡立てて空気を含ませ、ふっくら感を出す方法もありますが、ももと庵では、バターに空気を含ませるのみ、という古典的な方法でやっています。
しっかり感と言えば、沖縄のサーターアンダーギーを思い起こします。しっかり、というより、もっと率直に「固い」と言った方が実感に近いかもしれません。
行事のたびにおばあに勧められて食べるサーターアンダーギー。あれも、ベーキングパウダー入りのミックスで作ったのより、古典的な「固い」やつの方が、それらしくてうまいんじゃないか、と。
パウンドケーキの場合はバターがたっぷり入るので、その分、「しっかり、しっとり」になります。

パウンドケーキのレシピには、ほぼ必ず「バターを室温で柔らかくし、クリーム状になるまで練ってから砂糖を加え、なめらかになるまでよく混ぜる」と書いてあります。最初から砂糖を加えて、バターと一緒に練ってもよい、となっています。
やってみると、バターをクリーム状にするまではいいんですが、砂糖がなかなか溶けない。
考えてみれば、当たり前ですね。砂糖は水には溶けますが、油には溶けないからです。バタークリームだって、砂糖は水などに溶かしてから卵と混ぜてホイップし、最後にバターと合わせて作るんですから。
あぁ、そうか、というわけで、考えついたのは、次の2つの方法でした。
一つは、砂糖はバターにではなく、卵に溶かす方法。卵は水分が多く、砂糖もよく溶けます。この砂糖入りの卵液を、空気を含んだクリーム状バターに少しずつ加えて混ぜていきます。今、ももと庵でお出ししているパウンドケーキ生地はこの方式で作りました。
もう一つの方法は、まだ試してはいませんが、砂糖はクリーム状バターに混ぜるけど、軽く混ぜるにとどめ、ざらざら状態のままでおしまいにする、というもの。
砂糖はバターに投げ込まれ、いわば粒全体が油でコーティングされた状態になるため、その後で卵液を混ぜた段階でも溶け切らないかもしません。が、最後に焼けば高温で必ず溶けるでしょう。焼きながら砂糖が溶ければ、そこに小さな隙き間が生じ、それがまた食感の向上に結びつくかもしれないナ、と想像したりしています。
食感、と言えば、レシピによってはふくらし粉を入れるものもあります。ももと庵は入れません。ふくらし粉は膨らみがよすぎて、パウンドケーキらしい「しっかり」感が損なわれるからなんです。
卵を泡立てて空気を含ませ、ふっくら感を出す方法もありますが、ももと庵では、バターに空気を含ませるのみ、という古典的な方法でやっています。
しっかり感と言えば、沖縄のサーターアンダーギーを思い起こします。しっかり、というより、もっと率直に「固い」と言った方が実感に近いかもしれません。
行事のたびにおばあに勧められて食べるサーターアンダーギー。あれも、ベーキングパウダー入りのミックスで作ったのより、古典的な「固い」やつの方が、それらしくてうまいんじゃないか、と。
パウンドケーキの場合はバターがたっぷり入るので、その分、「しっかり、しっとり」になります。