フローリング

2007年09月27日

[第16話 沖縄] 涼しくて温かい那覇空港

 那覇空港の年間乗客数は約1300万人で、羽田、大阪、新千歳、福岡に次ぐ全国5位。中部や関西を上回る人が出入りするそのスケールからすれば、既に「地方空港」のイメージではない。平成11年に供用開始された空港ビルも立派な建物だ。

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 造りは大きいし、確かに立派なのだが、例えば比較的新しくオープンした羽田の第二ターミナルや新神戸空港よりも、なぜか疲れない。居心地がいいのだ。何が違うのだろう―。

 この那覇空港を設計したのは株式会社安井建築設計事務所(大阪市)の塚本高義さんを中心とするチーム。塚本さんは7年間、沖縄に住み込んで那覇空港を造り上げた。「毎日、沖縄の人たちと酒を飲み交わしながら、沖縄の心、風土風習についてご教授いただき、少しは『沖縄通』になった気分です」。今も月1回は沖縄を訪れて、フォローアップを続けている。

 那覇空港を改めて歩き回ってみたら、居心地のよさの理由が少し分かってきた。

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 メインビルの真ん中は吹き抜けになっていて、正面の窓からは、飛行機の発着とその向こうにサンゴの青い海が見える。最高のロケーションといっていいが、その吹き抜けの中央部分「ウエルカムホール」が全部、木のフローリングなのだ。これが何とも言えない温かみと面白みを醸し出している。

 このウエルカムホールは全体的に曲線で囲まれていて、直線の多い空港ビルを柔らかい印象にしている。窓側から見ると、3階、4階の部分がヨーロッパの劇場の観客席のようにも見える。

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 各ゲートから出口までの間にある動く歩道の壁面には、琉球石灰岩がふんだんに使われている。ここだけではない。空港を歩き回ってみると、空港内外のあちこちに琉球石灰岩が使われていることが分かった。たとえ一部であっても、ポイントポイントにこうした自然素材が使われていると、建物全体の印象が大きく変わる。下の写真では、搭乗口部分の下方に琉球石灰岩が見える。

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 フローリングの木、琉球石灰岩―。人間の体はそうした自然素材に素直に反応する。木も石灰岩も、色といい、質感といい、「涼しくて温かい」「高級だけど親しみやすい」という、正反対の2つの方向を同時に演出できてしまうのが最大のミソだ。これこそが自然素材のすごさではないだろうか。コンクリートやビニルタイルではこうはいかない。

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 もう一つ、空港というステージを歩いている人間の違いもあるかもしれない。那覇空港を歩く人の多くはリラックスモード。たとえ仕事で沖縄に来る人も、飛行機の扉が開いてモワーっとした亜熱帯の空気を浴びた瞬間、細胞の緊張がほどける。そうした人々自身が、空港全体の「ゆるり」とした柔らかさを生み出すのに一役買っているように思えてならない。

 

 


bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote