マレーシア

2016年12月08日

マレーの新星、シーラ

 久しぶりのアジアボーカリストは、マレーシアの新星を紹介します。シーラ・アムザ。

Shila Amzah5


 少し荒削りなところもまだありますが、その歌唱力は、マレーシアの女王シティ・ヌルハリザを追いかける資格十分です。

 いま売れているこの曲「スラマニャ・チンタ(愛が永遠だったなら)」を。アリフ・サタールとのデュエットです。


 マレー風味のやや暗めの歌い出しから、間もなく、欧米ポップス調の親しみやすい旋律が繰り出される世界に。最後は1、5、6拍でバスドラをドンドドンと強調するアコースティックなリズムで盛り上がります。英語の訳詞はこちらで。

 どら焼きで始まったはずの曲が、いつの間にか上質のチョコレートケーキに変わっちゃってるけど、全く違和感がない、、、。そんな感じの曲を作ったのはほかならぬシーラ自身。シンガーだけでなく、ソングライターとしての才能も花開いています。

 シンガー・ソングライターとしてすごい、という意味では、1歳年下の香港のG・E・Mことグロリア・タンを思い出させますね。

Shila Amzah2


 シーラ・アムザはマレーシアの首都クアラルンプール生まれの26歳。

 父が歌手だったので、子供の頃から音楽スタジオに出入りしていたようです。9歳で1枚目、15歳にして2枚目のアルバムをそれぞれリリース。この頃はまだ商業的成功には遠かったようですが、2011年のシングル「パタ・サリブ」のヒットで、マレーシアで知られる存在になりました。

 2012年には、上海のスター誕生番組「アジアンウェーブ」に出て優勝、中国での人気に火がつきました。2014年ごろからは香港、広東などでも人気が出て、中国本土の各局の音楽番組などに出演するようになりました。

Shila Amzah3


 2013年に全曲、自身の作詞作曲による5枚目のアルバム「シーラ・アムザ」をマレーシアで発売。2016年4月には、最新アルバム「My Journey」を香港からリリースしました。初めに紹介した「愛が永遠だったなら」はこのアルバムに収められています。

 最後はしっとりと、アルバム「シーラ・アムザ」から「マシー・アク・チンタ(まだ愛している)」をどうぞ。

 盛り上がる2番も、声量をやや抑えながら、絶妙の歌い回しを聞かせてくれます。ワールドミージックアワードの最優秀ビデオ受賞の映像もなかなか。英語の訳詞はこちらで。





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2013年10月20日

聞き比べ、月亮代表我的心

 アジア歌手シリーズで少し前に取り上げた蔡琴(ツァイ・チン)の映像を探している時に、心に残るビデオがありました。台湾の国民的英雄として知られる故テレサ・テンの代表曲「月亮代表我的心」を蔡琴が歌っているライブでした。

teresa teng5


 口ずさめる親しみやすいメロディラインのこの歌、テレサ・テンがまいた種が芽吹いたのか、台湾のみならずアジア各地で愛唱されているようです。

 今回は、歌手ではなく、この曲「月亮代表我的心」(ユェリャン・ダイビャオ・ウォディシン、月が私の心を表している)を取り上げ、何人かの歌を聞き比べてみたいと思います。

 まず、本家テレサ・テンの月亮代表我的心から見ていただきましょう。声量があるわけではないのですが、この独特の繊細さとなんとも言えない「しっとり感」は、他のだれにも出せないのではないでしょうか。



 テレサ・テンは、1970年代、80年代、台湾の国民的歌手であると同時にアジア各国でも絶大な人気を誇った「アジアの歌姫」でした。日本語のヒット曲がありましたし、日本のテレビの歌番組にもよく出ていたので、おなじみですね。

 1995年にぜんそく発作のため42歳の若さで滞在先のタイで急逝。台湾政府の決定で、国葬に準ずる公葬が営まれ、国民的英雄の急死を悼む数万の人々が会場を埋め尽くし、その棺は国旗で包まれたそうです。

 月亮代表我的心は、たくさんの歌手がカバーしています。日本の歌手も、SMAPが北京公演で歌ったり、夏川りみがアルバム「歌さがしーアジアの風ー」に日本語バージョンを入れたり。

 歌詞の日本語訳は、前回もお世話になったBitEx中国語のサイトに全訳が載っていますのでごらん下さい。いつもありがとうございます。


 さて、聞き比べ。テレサ・テンのあきれるほど繊細で甘美な歌唱を少しデフォルメして引き継いでいる感じを受けるのが、同じ台湾のベテラン男性歌手、費玉清(フェイ・ユーチン)です。

 費玉清は、この曲に限らず、ビロードのような滑らかな声で、ていねいにていねいにメロディを紡いでいきます。30年以上の歌手歴の中で数多くのヒットを生んでいますが、それはまた別の機会に。

 費玉清の月亮代表我的心をどうぞ。どこまでも誠実な歌唱です。



 アレンジも、どこか懐かしい昭和のタッチですね。

 費玉清の歌い方は、何度か出てくる「我愛 wo ai」のところが印象的です。wですぼめた口が滑らかに大きく開いて音が明るさを増すのが、ちょうど音階が上がって盛り上がっていくのときれいに重なるからでしょうか。


 次に、アジア実力派歌手のシリーズ第1回で取り上げたマレーシアのシティ・ヌルハリーザ Siti Nurhaliza。彼女も、アルバム「チェリタ・チンタ」(ラブストーリー)の中で中国語の月亮代表我的心をカバーしています。

 シティは、台湾の歌手たちとは趣きが違って、東南アジアの正統「声量たっぷり」派。もちろん、歌い回しのうまさもピカイチですが、豊かな声量の彼女が歌うとどうなるか。静止画しか見つかりませんでしたが、お許し下さい。

 テレサ・テンを意識したのか、歌い出しからしばらくは、あまり声を出さずに歌い回しの巧みさで進んでいきますが、2分25秒くらいのラストの部分ではシティらしい豊かな声量を聞かせてくれます。



 シティの月亮代表我的心は、編曲も歌い方もシャープな印象。なかなか心地よいですね。


 最後に、韓国のチュ・ヒョンミのライブ映像をどうぞ。ギター1本の伴奏です。

 チュ・ヒョンミは、韓国演歌を歌うベテラン。

 テレサ・テンや費玉清とも、シティ・ヌルハリーザとも違う、語りかけるような歌唱。完全に独自の世界を作り上げています。表情もとても豊かですね。




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2013年03月13日

シティのシャープな歌い回し

 ももと庵や食の話題の箸休めに、アジアつながりで、アジアの実力派歌手を時々取り上げてみたいと思います。日本ではあまり知られていませんが、なかなかのボーカリストたちが各地で歌声を響かせているんです。

 アジア実力派ボーカリスト、記念すべき初回は、マレーシアのシティ・ヌルハリーザ Siti Nurhaliza。

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 マレーシアはもちろん、隣国インドネシアでも知らない人はいないというスター歌手。英語版のウィキペディアをのぞくと、ものすごい情報量がドドドーンと出てきて、驚かされます。

 まず比較的最近のものと思われるレコーディングの映像から。緊張感のあまりないふだん着感覚のスタジオの雰囲気とは裏腹に、細部まで神経の行き届いた歌唱です。曲は、1997年のセカンドアルバムに収められたヒット曲、アク・チンタ・パダム(Aku Cinta Padamu = I love you)。

 これほどシンプルなメロディなのにこれほど聴かせてしまう「歌ヂカラ」というのは、ちょっとすごいんじゃないでしょうか。



 声量たっぷりで張りのある高音域の声と、音階を降りたり上ったりする時のシャープな歌い回し。背後霊のように控えているディレクター氏?も、太鼓判のVサインを出していますね。

 シティ・ヌルハリーザは、1979年、マレーシアはパハン州の生まれ。祖父や母が歌手で、彼女も家族と一緒に小さい頃から結婚式などで歌っていました。16歳でテレビのスター誕生番組で優勝、国際的なレコード会社4社から契約の誘いを受けました。

 デビュー以来、ヒットを飛ばし続け、数え切れないほどの賞を受賞しています。まさに歌姫として生きるために生まれてきたような歩みです。

 シティ・ヌルハリーザは、マレーの伝統的な曲と現代風のポップスの両方を歌ってきました。マレーの伝統的な曲調の歌の中から、アップテンポの曲チンタ・イニ(Cinta Ini)のコンサート映像をどうぞ。



 ポップス系を歌う彼女の映像もYouTubeにはいろいろありますが、マレーシアの若手アーチストとして頭角を現している男性歌手ハフィースとのデュエット映像を見てみましょうか。曲はムアラ・ハティ(Muara Hati)。熱唱です。



 シティのあふれ出る歌声が、ハフィースの高めの声とよく絡んで、すばらしいハーモニーを生み出していますね。

 シティの曲はiTunesで売っています。



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2013年01月07日

土鍋炊きアジアごはんの香り

 アジア米ばなしの2回目は「白ごはん」です。

 アジア産インディカ米のごはんは、日本米のごはんより粘りが少ないのが特徴ですが、おいしく炊かれたごはんは、噛んだ時にねっとりしたごはん粒の中に歯がヌーッと入っていく感じがしっかりあります。特に高級米は、さらっとはしていますが、柔らかい独特のねっとり感があり、決して「ぼそぼそ」ではありません。

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 もう20年近く前になりますが、日本で米が不作になり、タイから米を緊急輸入したことがありました。1993年のこと。その時は「ぼそぼそしていておいしくない」という感想を抱いた人が多かったようです。インディカ米のおいしい炊き方、食べ方を知らない日本人が圧倒的だったため、そういう残念な結果になりました。

 インディカ米は、多めの水で柔らかめに炊くと、おいしくなります。

 お湯でゆで、余った湯を捨てる炊き方もあります。ただ、それをやると、せっかくの香りも弱まってしまい、もったいない気がします。米の1.3ー1.4倍の多めの水を入れ、日本の炊き方と同じようにフタをして水分を全部米に吸わせる方がいいようです。

 それからアジアのごはんは温かいうちが命。冷めると食感が落ちますから、ぜひとも「炊きたて」を食べて下さい。

 アジアの米の魅力の一つは、その香りにあります。特に香りの強い米は、香り米として高い値段で売られています。インドのバスマティ米、タイのホームマリ米。いずれも香り高い高級米として世界中に輸出されています。

 ごはんを炊く時の香りがありますよね。あの香りが好きな人なら、アジアの香り米は大好きになるはずです。大いに食欲をそそられる香りです。

 ベトナムでは、土鍋で炊いたごはんを売りにしている食堂を時々見かけました。ニオイアダンの葉を入れて炊き、さらに香りを強めている店もあります。

 冒頭の写真がそれ。土鍋の炊きたてごはんは香りがよく、底の部分に少しおこげもついていて、その香ばしさがまたたまりません。

 沖縄では、アダンはどこにでも生えていますが、ニオイアダンを入れてごはんを炊くというのは聞いたことがありません。

 このニオイアダン、香り米の成分と同じものが豊富に含まれているんだそうです。インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナムなどのアジア各国では、ごはんを炊く時だけでなく、ニオイアダンの葉の汁を入れて緑色の米粉のお菓子やスポンジケーキを作ったりもします。

 ニオイアダンは香り米の香りと同じですから、それをお菓子にも使うということは、米の香りが心底好きということ。アジアのごはん文化は奥が深いです。


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