マンゴー並木
2009年07月05日
[第124話 農、南] 気持ちよい緑陰つくる大木マンゴー
沖縄産マンゴーといえば、夏ギフトの定番。濃厚な味と鮮烈な香りは、他の追随を許さない。ところで沖縄では、マンゴーはハウスの中で作られているので、普通の樹木の形をしたマンゴーを見かけることはあまりない。と思っていたら、万鐘の地元うるま市で、マンゴーの大木を発見した。
うるま市豊原の喜納兼俊さんがこのマンゴーの主。喜納さんは自宅の庭に緑陰を作ろうと、25年ほど前にマンゴーを植えた。マンゴーはすくすくと枝を広げ、庭に見事な緑陰をもたらした。もちろん、実もつく。
果樹としてのマンゴーは、花が雨で落ちると実がならないので、沖縄では、雨よけハウスに入れるのが普通。ハウスの中で自然のままに伸ばしたらハウスの屋根を突き破ってしまうから、そうならないように剪定する。
剪定して、高くしないように、横へ横へと枝を広げていく。その結果、マンゴーの木は、ずんぐりむっくり、というよりも、ほとんどT字の上のバーを長くしたように、横に平べったく枝を広げることになる。これには、高い木にしてしまうと収穫が大変、という事情もある。
だから、沖縄県民の中には、マンゴーとは、横に広がる形の木だと思っている人もいる。現に沖縄にはそんな形のマンゴーしかないのだから無理もない。
だが、マンゴーは本来、剪定しないで放っておけば、上にすくすくと伸びて大木になる。喜納さんの庭のマンゴーの木がまさにそれ。
雨をよけないと花が落ちるという理由で農家はマンゴーをハウスに入れているのだが、大木になった喜納さんのマンゴーは、雨よけしなくともたくさん実をつける。ウチナーグチで言う「ちゃーなり」(鈴なり)の状態だ。その理由は、品種が違うから。
喜納さんの庭のマンゴーは、ペリカンマンゴー。一方、沖縄で果実として生産されているのはアーウィン種がメインだ。喜納さんの話では、アーウィンの方が味や香りは優れていて、商品価値が高い。一方、ペリカンマンゴーは多少の雨に打たれてもちゃんと実がつく。
果実マンゴーとしてはアーウィンに軍配が上がるが、緑陰づくりなど、樹木としてマンゴーをとらえる時には、ペリカンマンゴーなど、アーウィン以外の品種も捨てたものではない。
世界中にはたくさんの種類のマンゴーがあり、それぞれの特性を生かして多彩に活用されている。フルーツとして食べるのはもちろんだが、例えばインドのマンゴーアチャーのように、青くて歯ごたえのあるマンゴーを塩漬けにした漬物などもあったりする。
写真は、アフリカのアンゴラ内陸部で見かけたマンゴー並木。ポルトガル植民地時代に植えられたものらしいが、見事な緑陰を作り出している。季節になればちゃんと実をつけ、地域の人々の貴重な食糧源になるが、何よりも、炎天下を歩く人々に緑陰の涼しさと美しい景観を周年提供するのが第一の役割だ。
沖縄でも、果実マンゴーだけでなく、もっと多彩なマンゴーの可能性に目を向けたら面白いことになる。例えば、の話だが、都市公園に500mくらいのマンゴー並木道をドーンと作り、地域の人々や観光客に緑陰を提供する。
沖縄は陽光が強いから、質のよい緑陰づくりが生命線。いい木かげさえあれば、気持ちのよい島風に体が癒される。沖縄では気温が33度を超すことはまずないから、夏に36、37度になる本土各地から、人々が避暑に訪れるかもしれない。マンゴー並木はその象徴的場所になる。
実りの季節になったら収穫イベントで大盤振る舞い。下の方は子どもたちに虫取り網のようなもので好きに穫らせて、上の方は高所作業車で収穫する。人が集まる新名所になれば、作業車の借り賃や落果の清掃経費くらいの予算は地元自治体がカバーすればいいー。
緑陰マンゴーの先駆者である喜納さんと、気持ちのよい木かげで緑陰談義をしながら、そんなことを考えた。
うるま市豊原の喜納兼俊さんがこのマンゴーの主。喜納さんは自宅の庭に緑陰を作ろうと、25年ほど前にマンゴーを植えた。マンゴーはすくすくと枝を広げ、庭に見事な緑陰をもたらした。もちろん、実もつく。
果樹としてのマンゴーは、花が雨で落ちると実がならないので、沖縄では、雨よけハウスに入れるのが普通。ハウスの中で自然のままに伸ばしたらハウスの屋根を突き破ってしまうから、そうならないように剪定する。
剪定して、高くしないように、横へ横へと枝を広げていく。その結果、マンゴーの木は、ずんぐりむっくり、というよりも、ほとんどT字の上のバーを長くしたように、横に平べったく枝を広げることになる。これには、高い木にしてしまうと収穫が大変、という事情もある。
だから、沖縄県民の中には、マンゴーとは、横に広がる形の木だと思っている人もいる。現に沖縄にはそんな形のマンゴーしかないのだから無理もない。
だが、マンゴーは本来、剪定しないで放っておけば、上にすくすくと伸びて大木になる。喜納さんの庭のマンゴーの木がまさにそれ。
雨をよけないと花が落ちるという理由で農家はマンゴーをハウスに入れているのだが、大木になった喜納さんのマンゴーは、雨よけしなくともたくさん実をつける。ウチナーグチで言う「ちゃーなり」(鈴なり)の状態だ。その理由は、品種が違うから。
喜納さんの庭のマンゴーは、ペリカンマンゴー。一方、沖縄で果実として生産されているのはアーウィン種がメインだ。喜納さんの話では、アーウィンの方が味や香りは優れていて、商品価値が高い。一方、ペリカンマンゴーは多少の雨に打たれてもちゃんと実がつく。
果実マンゴーとしてはアーウィンに軍配が上がるが、緑陰づくりなど、樹木としてマンゴーをとらえる時には、ペリカンマンゴーなど、アーウィン以外の品種も捨てたものではない。
世界中にはたくさんの種類のマンゴーがあり、それぞれの特性を生かして多彩に活用されている。フルーツとして食べるのはもちろんだが、例えばインドのマンゴーアチャーのように、青くて歯ごたえのあるマンゴーを塩漬けにした漬物などもあったりする。
写真は、アフリカのアンゴラ内陸部で見かけたマンゴー並木。ポルトガル植民地時代に植えられたものらしいが、見事な緑陰を作り出している。季節になればちゃんと実をつけ、地域の人々の貴重な食糧源になるが、何よりも、炎天下を歩く人々に緑陰の涼しさと美しい景観を周年提供するのが第一の役割だ。
沖縄でも、果実マンゴーだけでなく、もっと多彩なマンゴーの可能性に目を向けたら面白いことになる。例えば、の話だが、都市公園に500mくらいのマンゴー並木道をドーンと作り、地域の人々や観光客に緑陰を提供する。
沖縄は陽光が強いから、質のよい緑陰づくりが生命線。いい木かげさえあれば、気持ちのよい島風に体が癒される。沖縄では気温が33度を超すことはまずないから、夏に36、37度になる本土各地から、人々が避暑に訪れるかもしれない。マンゴー並木はその象徴的場所になる。
実りの季節になったら収穫イベントで大盤振る舞い。下の方は子どもたちに虫取り網のようなもので好きに穫らせて、上の方は高所作業車で収穫する。人が集まる新名所になれば、作業車の借り賃や落果の清掃経費くらいの予算は地元自治体がカバーすればいいー。
緑陰マンゴーの先駆者である喜納さんと、気持ちのよい木かげで緑陰談義をしながら、そんなことを考えた。