ムジ

2014年03月31日

田んぼのそっくりさん

 ベトナムに来ているものですから、あれこれ目につくそっくりさんを紹介したくなります。

 前回、沖縄のナントゥーにそっくりなベトナムのお菓子を紹介しましたが、今回は、これです。何でしょう。これが分かれば、沖縄アジア検定試験の上級資格の合格間違いなし、じゃないかな。

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 ごらんの通り、汁麺なんですが、そっくりさんは麺ではなくて、上にのっかっている緑色のものです。

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 続いて、沖縄で見る、それです。

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 実は「そっくりさん」ではなく、基本的に同じものです。

 答えはムジ。沖縄ではムジといいますが、本土ではズイキと呼ばれるようです。タイモの茎のことですね。水をはった田んぼで育ちます。ベトナムは、まさに水田の国。

 沖縄のムジ汁については、これもだいぶ昔の記事ですが、このブログで紹介しました

 独特のシャクシャク感がたまらない野菜です。ただ、沖縄では、この間まではスーパーでもたまに見かけましたが、最近はあまりお目にかかりません。だんだん食べられなくなってきているのかもしれません。

 一方、ベトナムでは、どこでもだれでもモリモリ食べているようです。最初の汁麺は、麺の具としてのせていますが、鍋材料なんかにもよく使います。


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2009年03月20日

[第107話 食、沖縄] ターンム料理いろいろ

 ターンムと言えば、盆や正月などのめでたい席に必ず出される島のイモ。さまざまなターンムの食べ方を、ターンムの産地、金武町にあるカフェレストラン「長楽」にナビゲートしてもらおう。

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 ターンムは、漢字で書けば田芋。その名の通り、田んぼで栽培するイモだ。ただし、水があればいいというものではなく、その水が流れていないとうまく育たないデリケートなイモ。子イモが増えるのを子孫繁栄になぞらえた縁起物として、めでたい行事で食される。県内の主産地は金武町と宜野湾市。

 ターンムは、すーっと伸びた茎にハート型の大きな葉がついている。つまり、ジャガイモ、サツマイモ、ヤム、タロの世界4大イモの中では、タロの仲間。本土ではサトイモやヤツガシラが同じ仲間だ。沖縄には、ターンムとよく似ているが、水気のない畑で作られるチンヌクというタロ系のイモも別にある。

 さて、そのターンムの食べ方だが、長楽には、「田いも膳」というターンムづくしの定食がある。代表的なターンム料理はほぼこの中に含まれているので、この田いも膳を、一皿一皿見ていくことにしよう。

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 まずドゥルワカシー。ターンムを煮崩し、豚肉や椎茸などと合わせてよく練ったものだ。ねっとりと粘りの強いターンムの食感とうまみのある具材の取り合わせが面白い。こういう豚味、だし味で、かつこの食感という食べ物は、ほかにはあまりないのではないか。

 ドゥルワカシーをまるめて油で揚げたのがドゥル天。まるめて揚げる、と言えば簡単に聞こえるかもしれないが、ドゥルワカシーそのままでは水分が多すぎて、うまく揚げられない。水分を調整し、ターンムの茎のムジを加えて初めてドゥル天の生地になる。

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 ディンガクはターンムを煮崩して砂糖を加えたもの。本土の正月料理で出てくるきんとんのような感じの箸休めだが、ディンガクの方がきんとんよりも粘りが強い。これは作るのが割に簡単なので、家庭でよく作られる。

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 から揚げも家庭でよく作られる。ターンムを素揚げし、砂糖醤油にくぐらせたもの。ただし、揚げる時にコツがある。「素揚げの際には200度以上で揚げます」とプロのこつを話すのは長楽の豊川善規シェフ。高温で揚げれば表面がせんべいのようになり、砂糖醤油にくぐらせた後でもカリっとした食感になる。

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 最後になったが、2枚目の田いも膳の全体写真でごはんの横にドンとすわっているのがムジ汁。ムジはターンムの茎。長楽のムジ汁は白みそ仕立て。ムジ汁については万鐘本店第58話で那覇・栄町市場内のムジ汁専門店を紹介したことがある。長楽の田いも膳には、そのムジをゆがいて酢味噌をかけたものと、ムジの肉巻きも小鉢でつく。いずれもムジのシャクシャクした感じが楽しい。

 田いも膳は以上だが、長楽にはもう一つ、ターンムを生かしたメニューがある。田いも饅頭がそれ。ディンガクをさらにつやよく練り上げたようなターンム餡が中華まんじゅう風のソフトな饅頭生地に包まれている。冷めてもおいしいが、電子レンジで少し温めると、餡の香りが強調されておいしい。

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 長楽は、金武町字金武245、098-968-7666、火曜定休。HPはこちら。 

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2008年05月30日

[第58話 食] 上原慶子さんのムジどっさり汁

 ターンム(田芋)は 沖縄の伝統行事には欠かせない食材で、旧盆や清明といった行事が近くなると、今でもスーパーの棚にちゃんと並ぶ。ターンムそのものは別の機会に取り上げるとして、今回はターンムの茎「ムジ」のお話。

 まずはこの写真をご覧あれ。これほどムジがどっさり入ったムジ汁も珍しい。ムジ好きにはこたえられない一品。ムジ料理を専門にしている「万富(まんぷ)」の看板料理だ。

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 沖縄ではかつて、ムジはもっと身近な食材だった。ターンムと豚肉、カマボコなどを練り合わせたドゥルワカシーには必ずムジが入るし、みそ仕立てのムジ汁も祝い事などで定番の一つだったという。だが、なぜか最近はあまり流通していない。

 「なぜか」と書いたのは、地下にできるターンムはスーパーでいくらでも手に入るのに、地上部の茎だけが食べられなくなったのは不思議だから。ターンムはゆでられた状態で売られているので、そこからディンガクを作るなり、油でカリッと揚げるなりするのは簡単。一方、ムジは皮をむいて、アクも抜いて、と下処理に手間がかかる。これがイモは生き残り、ムジだけが消えかかっている理由の一つかもしれない。 

 万富を経営する上原慶子さんも、メニューの主役であるムジの確保に苦労している。ターンムを栽培する場所は田んぼ。田んぼのある宜野湾市や金武町など、限られた場所でしか作られていないため、十分な量を安定して確保することがなかなか難しい。このため、ムジ汁よりも多くのムジを使う「ムジいため」はメニューからはずさざるをえなかったという。

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 そんなに入手しにくいのに、こんなにたくさんのムジをムジ汁に入れて大丈夫かな、と心配になってしまう。「みなさん、ムジが食べたくてウチに来るんですから、ムジ汁のムジだけはたっぷり入れているんです」と慶子さん。大らかでケチケチしない沖縄アンマーの面目躍如。材料供給をさらに安定させるため、水田でなく、畑でもターンムが栽培できるという話を聞いた慶子さんは、ふるさとの今帰仁で親戚に頼んで栽培実験を始めた、と語る。

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 ムジ汁のだしは豚骨と鶏ガラ、かつおぶしで。慶子さんの話では、ムジからはうま味はあまり出ないので、だしはしっかりとっておかないとムジ汁がおいしくならない。これに、皮をむき、アクぬきをしたムジと豆腐を加え、味噌を溶く。味噌についても、試行錯誤しながら、合わせ味噌の気に入った配合を決めていった。
 
 「体によいものを作りたいんです」という慶子さんは、ムジ以外にも細かな気配りをみせる。例えば、600円のムジ汁定食には、大ぶりの椀に入ったムジ汁にごはんと小さな野菜いためがついているが、この野菜いためを作る際には、サラダ油ではなく、高価なココナツ油を使っている。ココナツ油は酸化しにくく、胃にももたれない。「肌にすり込んでも、すーっと染み込んでいくんですよ」と慶子さん。

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 万富は、ローカル市場の香りあふれる那覇市安里の栄町市場の中にある。周囲の駐車場に車を停めて、どの入り口からでもいいから栄町市場の中に入り、「ムジ汁の店はどこですか」と聞けば、だれでも場所を教えてくれる。

 万富は那覇市安里379、電話887-4658。営業時間は11:00-19:00。日曜休み。

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