メタボリック症候群
2011年01月16日
高品質オリーブオイルで沖縄を健康に
沖縄を創る人 第3回
しゃりま店長 仲本朝洋さん(上)
東京でも手に入らない高品質のオリーブオイルをイタリアから直輸入し、小さな店で販売している宜野湾市の仲本朝洋さんを訪ねた。
国道58号線の伊佐交差点から普天間向けに上がったところにある「生地のしゃりま」と言えば、沖縄で知らない人はいない有名な生地・服地店。仲本さんは、創業者の父英征さんの右腕として、しゃりまの現場を切り盛りしている。その生地屋さんがなぜオリーブオイルを?
そのいきさつの前に、仲本さんが手がける「オリーブハウス」の品ぞろえをみてみよう。仲本さんによると、イタリアには各地に小さなオリーブオイル採油工場があって、オリーブの品種、収穫時期による果実の熟度、ブレンドの比率などによって、それぞれ個性的な製品を出している。日本に入っているイタリア産オリーブオイルはそのごく一部にすぎない。
特に、生産量が限られている高品質品となると、日本ではなかなか手に入らない。例えばこの2本。
いずれもウンブリア州ペルージャ県にあるノエミオ・バッチ社のエクストラバージン・オイル。写真左は国際オーガニック・エクストラバージン・オリーブオイルコンテストの高品質部門で第1位になった製品。右は同じコンテストのブレンド部門で1位を獲得した逸品だ。
ほかにもいろいろあるが、最も稀少なオリーブオイルはフレスコ・ディ・フラントイオだろう。フラントイオ・サンタ・テア社が1回に生産するのはわずか1000本ほど。それが世界各地に売られるのだが、そのうち200本を仲本さんが仕入れている。フレッシュ感と若い果実特有の「青っぽさ」が特徴。冒頭の写真で仲本さんが手にしている瓶がそれだ。
「品質の高いオリーブオイルは、油っぽさが全くないんです。見ただけでは分からないので、うちではお客様にテイスティングしていただいています」
口にしてみて、その意味がよく分かった。もし普通のサラダ油をスプーン1杯も口に入れたら、油っぽさが気になってしかたないのではないだろうか。しかし、仲本さんの扱っているオリーブオイルはどれもおいしい。油っぽさがないだけではない。オリーブの高い香りに加えて、苦みや渋み、辛みがしっかりある。
「私も初めて食べた時は本当に驚きました。なんじゃこれは、と」
仲本さんに高い品質のオリーブオイルを食べさせたのは、妹の純子さんだった。純子さんはイタリアに嫁いでいる。トスカーナ州都フィレンツェに住む純子さんが帰国した際におみやげとして持ってきたのが、トスカーナ州産の高品質オリーブオイルだった。それまで仲本さんが食べていたものとは全く別物といってよかった。
衝撃を受けた仲本さんは、オリーブオイルについて勉強しながら、高品質のオリーブオイルを純子さん夫妻に送ってもらって販売する新規事業を父に提案した。新しいことに挑戦したいという商売人の血がそうさせたのかもしれません、と仲本さんは振り返る。父も、同じ事業の可能性を考えていた、と賛成してくれた。
体によい高品質のオリーブオイルを沖縄で広める意味について、仲本さんはこう語った。
「沖縄はメタボリック症候群の人がたくさんいて、長寿県の地位がゆらいでいます。体にいい本物のオリーブオイルで県民が健康を取り戻せたら、ということを強く意識しています」
確かに、沖縄の長寿は、今や過去のものになりつつある。平均寿命はかつては男女ともに全国1位だったが、2000年に男性は全国平均以下の26位に転落。「26位ショック」と言われたのは記憶に新しい。平成20年版内閣府「食育白書」によると、沖縄は男女ともに全国一の肥満県だ。
続きは1/23(日)に。
しゃりま店長 仲本朝洋さん(上)
東京でも手に入らない高品質のオリーブオイルをイタリアから直輸入し、小さな店で販売している宜野湾市の仲本朝洋さんを訪ねた。
国道58号線の伊佐交差点から普天間向けに上がったところにある「生地のしゃりま」と言えば、沖縄で知らない人はいない有名な生地・服地店。仲本さんは、創業者の父英征さんの右腕として、しゃりまの現場を切り盛りしている。その生地屋さんがなぜオリーブオイルを?
そのいきさつの前に、仲本さんが手がける「オリーブハウス」の品ぞろえをみてみよう。仲本さんによると、イタリアには各地に小さなオリーブオイル採油工場があって、オリーブの品種、収穫時期による果実の熟度、ブレンドの比率などによって、それぞれ個性的な製品を出している。日本に入っているイタリア産オリーブオイルはそのごく一部にすぎない。
特に、生産量が限られている高品質品となると、日本ではなかなか手に入らない。例えばこの2本。
いずれもウンブリア州ペルージャ県にあるノエミオ・バッチ社のエクストラバージン・オイル。写真左は国際オーガニック・エクストラバージン・オリーブオイルコンテストの高品質部門で第1位になった製品。右は同じコンテストのブレンド部門で1位を獲得した逸品だ。
ほかにもいろいろあるが、最も稀少なオリーブオイルはフレスコ・ディ・フラントイオだろう。フラントイオ・サンタ・テア社が1回に生産するのはわずか1000本ほど。それが世界各地に売られるのだが、そのうち200本を仲本さんが仕入れている。フレッシュ感と若い果実特有の「青っぽさ」が特徴。冒頭の写真で仲本さんが手にしている瓶がそれだ。
「品質の高いオリーブオイルは、油っぽさが全くないんです。見ただけでは分からないので、うちではお客様にテイスティングしていただいています」
口にしてみて、その意味がよく分かった。もし普通のサラダ油をスプーン1杯も口に入れたら、油っぽさが気になってしかたないのではないだろうか。しかし、仲本さんの扱っているオリーブオイルはどれもおいしい。油っぽさがないだけではない。オリーブの高い香りに加えて、苦みや渋み、辛みがしっかりある。
「私も初めて食べた時は本当に驚きました。なんじゃこれは、と」
仲本さんに高い品質のオリーブオイルを食べさせたのは、妹の純子さんだった。純子さんはイタリアに嫁いでいる。トスカーナ州都フィレンツェに住む純子さんが帰国した際におみやげとして持ってきたのが、トスカーナ州産の高品質オリーブオイルだった。それまで仲本さんが食べていたものとは全く別物といってよかった。
衝撃を受けた仲本さんは、オリーブオイルについて勉強しながら、高品質のオリーブオイルを純子さん夫妻に送ってもらって販売する新規事業を父に提案した。新しいことに挑戦したいという商売人の血がそうさせたのかもしれません、と仲本さんは振り返る。父も、同じ事業の可能性を考えていた、と賛成してくれた。
体によい高品質のオリーブオイルを沖縄で広める意味について、仲本さんはこう語った。
「沖縄はメタボリック症候群の人がたくさんいて、長寿県の地位がゆらいでいます。体にいい本物のオリーブオイルで県民が健康を取り戻せたら、ということを強く意識しています」
確かに、沖縄の長寿は、今や過去のものになりつつある。平均寿命はかつては男女ともに全国1位だったが、2000年に男性は全国平均以下の26位に転落。「26位ショック」と言われたのは記憶に新しい。平成20年版内閣府「食育白書」によると、沖縄は男女ともに全国一の肥満県だ。
続きは1/23(日)に。