ラオス

2013年11月01日

カンプーのそっくりさん

 前回は、江戸時代の女性の髪をほうふつとさせるラオス女性の髪のまとめ方について書きました。今回は沖縄女性のヘアスタイルです。

 伝統的とされる沖縄女性の髪型は、民謡歌手が今でもやっています。人気のネーネーズに登場してもらいましょう。

Kampu Nenes


 長い髪をまとめてくるくると巻いて、ほぼ頂上の部分にポンと乗せたヘアスタイル。こういう髪型にすることを沖縄では「カンプーを結う」と言います。最近はやりの琉装による結婚式でも、花嫁さんはカンプーを結って登場します。

 もっとも、これをやるには、かなり長い髪が必要です。実際、ほどいた時に腰のあたりまで長さがないと、うまくカンプーが結えない、と聞きました。

 現代の沖縄女性は、腰までの長い髪の持ち主はむしろ少ないので、カンプーを結う人の多くは、人工の髪を自髪の先につけてから結い上げるのだそうです。

 さて、次にこの写真。カンプーと似ていますが、沖縄ではありません。


Kanpu4


 これ、ラオス北部の中国国境に近いところに住む少数民族の女性です。長い髪をまとめてくるくると巻き、頂上付近にポン、というあたり、沖縄のカンプーそっくり。

 沖縄ではジーファーと呼ばれるかんざしを差して髪を止めるのですが、こちらも、銀の丸い飾りのついた何かで髪を止めているのが分かります。

 ラオス北部の少数民族と沖縄に直接の接点があるとは思えません。腰まであるような長い髪をまとめようとすると似たようなやり方になる、ということなのかもしれませんね。


bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2013年10月26日

江戸っぽいラオス女性の髪型

 今回は、食べものがらみでも、歌がらみでもない、ちょっと寄り道のアジアねたです。アジア女性のヘアスタイルの話を少々。まず、この写真からどうぞ。

Kanpu1


 ラオスの首都ビエンチャンの宝飾店で見かけた女性。髪のまとめ方に、独特の雰囲気があると思いませんか。

 ラオスの町を歩いていると、女性のヘアスタイルに不思議な既視感を覚えます。なぜか、江戸時代の時代劇に出てくる日本髪の女性を想像してしまうんです。

 今ひとつピンと来ない方でも、下の2枚の写真を見れば、ああ、と思ってもらえるのではないでしょうか。


Kanpu2


kanpu3


 後ろの下の方で束ねるにしても、ポニーテールのように少し上の部分でまとめるにしても、ただ縛ってまとめただけでは、たぶん、こういう感じにはなりません。

 江戸時代っぽい印象を与えるラオス女性の髪は、いずれも、生え際からまとめた部分までの髪が、ゆったりと下の方に垂れています。最後の写真を見れば、それが一目で分かります。

 一番最初の写真の女性の場合は、髪がそれほど長くないのですが、それでも生え際からまとめた部分までの間が少し垂れ下がっています。額から頭頂部にかけての上部や横の部分にも少しボリュームを持たせている感じがします。

 髪をまとめるのは、アジア各地共通の習慣みたいです。

 日本のテレビで見たのですが、戦前の人気芸者で「洗い髪の○○」という女性がいたそうです(○○というのは女性の名前なんですが、忘れてしまいました)。

 当時、髪をおろして、今で言えば「サラサラロングヘア」で人前に出ることは「はしたない」とされ、何らかの形にまとめる、結うのが常識だったとのこと。

 この人気の芸者が、たまたまグラビア写真撮影に遅れそうになり、洗い髪をまとめないまま撮影の場所に駆けつけたら、それがいいとされて、サラサラロングヘアのまま撮影。「洗い髪の○○」でかえって人気が出て、ブロマイド写真が飛ぶように売れた、というエピソードでした。

 ベトナムに行った時、現地の女性から、ベトナム女性でショートヘアの人はほとんどいない、と聞かされてびっくり。それまでは意識していなかったのですが、周囲の女性のヘアスタイルを改めて見てみると、確かに、みな判で押したように、長い髪をまとめているんです。

 ラオスもほぼ同じ。ショートヘアの女性はまずいません。

 髪のまとめ方は、ベトナムは普通にまとめているという感じですが、ラオスは前半でいろいろ書いたように、下の方が垂れていて、上部や横にもボリュームがあって、なんともクラシックな印象を与えます。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2013年10月05日

アジアの食を知る100枚の写真

 ももと庵の企画「おいしいアジアへようこそ」の最終回が昨夜、開かれ、台風が接近する荒れ模様の中をたくさんの方々にご参加いただきました。

131004oishiiasia1


 ベトナム風鋳込み揚げ豆腐、フィリピン風魚の酢じめ、ラオス風豚肉の香りあえ、などのスペシャルアジア膳を食べていただいた後、インドシナ半島の国々の食に関するスライドを100枚ほどお見せしました。

 タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなどは世界有数の米どころ。ごはん文化はもちろん、米の麺なども盛んに食べられています。ごはんの炊き方、食べ方、おかず、太さや食べ方が多彩な麺などをスライドでお見せしました。

 野菜をたくさん食べるのもアジアの食の大きな特徴です。沖縄では、肉や野菜をいためて食べることが多いんですが、アジアに行くと、焼いた肉と生の野菜をあえた料理もよく出てきます。

 実際に食べていただいたラオス風の豚肉香りあえで言いますと、豚肉を焼いて冷ましてから、生のタマネギやニラ、にんにく、生姜などをたっぷり入れ、魚醤やレモンで味をつけながら、よくあえます。野菜類は火を通さないので、生の鮮烈な味と香りが楽しめるわけですね。

 市場で売られている豊富な野菜もスライドでお見せしました。肉や魚、豆腐などが市場でどんなふうに売られているか、どんなふうに取り扱われているかも紹介しました。

131004oishiiasia2


 冷蔵設備のないところで生鮮食料品の鮮度を保つ技術の一例として、発酵させた生魚の写真を見ていただきました。

 周年30度の常夏の地域で、生の魚が腐敗せずに何日も保てるというのは、冷蔵施設が当たり前の日本ではちょっと信じられないかもしれません。参加されたみなさんも一様に驚かれていました。

 おかげさまで「おいしいアジアへようこそ」は好評のうちに終了しました。また別の季節にスペシャルアジアメニューを企画したいと考えていますので、ご期待下さい。

bansyold at 08:54|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2013年09月18日

おいしいアジアを楽しむ

 ももと庵の初イベント「おいしいアジアへようこそ」の第1回を、きょうのお昼時に開催しました。

 ふだんのももと庵メニューとは違うアジア料理を楽しみながら、その素材や背景をスライドで見ていただく企画です。地元の常連客を中心に、那覇方面から来られた方、さらには、飛び入りの観光客も。

Oishii_Asia


 お出ししたのは、ラオス風の豚肉香りあえ、ベトナム風鋳込み揚げ豆腐、フィリピン風の魚の酢じめなど。

 ベトナムやラオス、タイの市場で売られている野菜をひとつひとつ見ていくと、7、8割は沖縄で作られている野菜と重なることなどをスライドでお見せしました。

 逆に、沖縄では既に忘れ去られているがアジアでは広く食べられている野菜の例として、スベリヒユ、勝連かいわいでは方言でニンブトカーと呼ばれていた野菜のスライドを映したところ、参加者の女性から「そういえば、昔、食べました」との反応が。便秘にいいので、便秘気味の時には特に食べさせられた記憶がある、とのことでした。

 沖縄ではチャンプルー料理のように、肉や野菜をいためた料理が多いのですが、アジアでは、肉や魚は加熱し、野菜は生のままあえる料理も盛んです、と紹介しました。

 例えば、きょうお出ししたラオス風の豚肉香りあえには、玉ねぎ、にんにく、生姜はもちろん生で入れますし、ニラ、からし菜も生であえてあります。生ですと、やはり香りが鮮烈になります。

 幸い、きょうのアジア料理は参加者のみなさんの口に合ったようで、ほぼ完食していただきました。

 当初は定休日の毎週水曜日の昼時を利用して、と考えていたのですが、平日の昼間では行きようがないとのご意見があったので、日程を次のように少し変えました(チラシと違ってきますので、ご注意下さい)

 第2回 9/25(水)12:00-13:30
 第3回 10/4(金)18:30-20:00

 第2回、第3回は席がまだ空いていますので、ぜひどうぞ。おいしいアジア料理数品とアジア料理の背景を知る100枚のスライドをお楽しみ下さい。098-923-0725まで、ご予約を。


bansyold at 20:13|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年09月04日

香ばしい揚げニンニク

 ももと膳の冷しゃぶには、きつね色の小さな粒が、頂上付近にパラパラとまかれています。これ、揚げたニンニク。口に含むと、なんともいえない香ばしさが食欲をそそります。

1 mmt ninniku


 沖縄県民は、総じてニンニク大好き。中華食堂ではない泡盛居酒屋に「ニンニク餃子」がメニューとしてよく置かれたりしています。ひとくち頬張ると、ニンニクの味のみ、と言っていいくらいの強烈さ。鶏の丸焼きでも「ガーリックチキン」が人気です。でも、揚げニンニクが使われているのはあまり見かけません。

 ニンニクは、アジアはもちろん、欧米でもアフリカでも中南米でも人気です。21世紀の人類のプラットフォーム的アイテムは、結局、iPhoneとニンニクの2つに集約されるのかもしれません(笑)。

 東南アジアでは、揚げニンニクをよく料理に使います。各地のローカル市場に行くと、半加工ずみ素材みたいなものを売っている店があって、揚げたニンニクとか、揚げたタマネギをビニル袋に入れて並べています。写真はラオスの市場で見かけた揚げニンニク(左)と揚げタマネギ(右)。

2 AgeNinniku2


 この揚げニンニクや揚げタマネギ、作るのは意外に大変です。材料の皮をむいて切って揚げるだけなんですが、水分をちゃんと抜くにはかなりの時間がかかります。あわてると焦がしてしまうので、油の温度管理もうまくやらないと。

 しかも、というか、当然というか、出来上がりは、最初の原材料に比べると、ほんのちょっとにしかなりません。あんなに苦労したのに、たったこれっぽっち?! 水分がみんな飛んでしまうので、かさがどうしてもぐっと減るんです。

 そんなことなので、アジアの主婦たちも、自分で作ることもあるけど、面倒な時は市場で買うことになります。

 ベトナム、タイ、ラオスあたりは汁めんをよく食べますが、この揚げニンニクがトッピングされていることも多いです。写真はラオス。なんともいえない香ばしさに脱帽です。

3 Ageninniku3



bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年01月08日

家族に支えられ、ラオスで人材育成

沖縄を創る人 第29回
 アイ・シー・ネット(株)コンサルタント 平良那愛さん(下)


 タイの小中高校での計2年間の教員生活、オーストラリアの大学院でマイノリティーの研究、結婚と出産を経て、20代後半だった平良那愛さんは、ODAプロジェクトの現場を担う途上国開発コンサルタントとして働き始めた。

TairaT5


 途上国開発コンサルタントとは、どんなことをするのだろうか。

 「日本のODAの実施機関であるJICA(国際協力機構)などから委託されて、プロジェクトの現場を動かします」と平良さん。

 JICAはODAプロジェクトを計画し、予算を確保するが、JICAの職員自身が現場に貼り付くわけではない。実際に現場で走り回ってプロジェクトを推進する人々がいる。彼らは農業、教育、保健、インフラ整備などの各分野の官民の専門家で、その一翼を担うのが途上国開発コンサルタントというわけだ。

 アイ・シー・ネットに入社した平良さんの最初の赴任地はラオスだった。ラオスは、タイの東隣りに位置する内陸国。経済成長著しいアセアン諸国の中では最も貧しい国に属する。

 社会文化面はタイとの共通点が多い。言葉もタイ語がかなり通じる。

 平良さんが従事したODAプロジェクトは、ラオス行政官の公共事業に関する能力向上を目指すものだった。平良さんは、インフラ整備などの公共事業計画をどのように審査すればいいか、その方法などを、中央の関係省庁、地方の関係機関などで研修した。

 「南から北まで、すべての県を回りました」

 ラオスは全国で4000件の公共事業が実施されているが、事業の計画・審査からモニタリング評価までの運営監理システムが整備されていないこと、資源配分や事業の優先度付け、実施監理・評価が適切に行われていないことが課題だった。

 平良さんはコンサルタントチームのメンバーとともに、研修の計画を作り、教材を準備し、全国を回って行政官を相手に研修を続けた。地道な作業だが、ラオスがこれから発展していくには不可欠の取り組みといえる。

TairaT6


 平良さんのそんな仕事を支えてくれるのが、家族。日本で知り合った中国人の夫は、平良さんの赴任とともに、ラオスについてきてくれた。

 「毎日、身近で励ましてくれる家族がいるというのは本当にすばらしいこと。子供の成長と一緒のキャリア形成ってステキじゃないですか」

 地方出張などでビエンチャンの自宅を留守にすることも多い。留守中、長男は夫がみてくれるが、事業家の夫も忙しい。そんな平良さん一家を支えてくれる人たちがいる。

 「ラオス人の”家族”がいるんです」

 借りている家の家主は、自分の兄弟たちの各所帯とともに、一つの敷地に家を持っている。平良さん一家は、家主ファミリー総勢3所帯が一緒に住んでいる一部を借りた。この3所帯+平良さん一家は、互いの玄関を開け放ち、子供たちはどこの家にも出入りして遊んだり、ごはんを食べさせてもらったりする家族のような関係だ。

 少し前までの沖縄の農村部と同じように、平良さんの長男は、自分の家だけでなく、この3つの家族の間で大きくなった。このラオス人"家族”は、平良さんが不在の時に何でも頼める心強い存在といえる。

TairaT3


 平良さんはもっと子供が欲しい、と話す。

 「双子がいいですよね」

 アジアの気候や人の感じは沖縄に似ている、植物が一緒だし、空気感も似ている、と平良さん。

 「マレーシアの空港に降り立った時、ふるさとに帰った時のような波長を感じたことがあります」

 タイに惚れ込み、ラオスで人材育成に励む平良さんの根っこには、やはり沖縄で培われた感覚が息づいているようだ。

 [平良那愛さんとつながる] 平良さんが携わっているラオスのODAプロジェクトについてはJICAのHPが詳しい。こちらは、平良さんが所属するアイ・シー・ネット株式会社のHP

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2011年11月27日

乳酸発酵で常温保存される魚

沖縄とアジアの食 第11回 魚の発酵食品(下)

 前回、紹介したどろどろの魚の塩辛パーデークのほかにも、魚の伝統的発酵食品にはいろいろなバリエーションがある。まず、ラオス南部のローカル市場で撮ったこの写真、沖縄県民には既視感があるはず。

Kusauma4

Kusauma2

 沖縄のスクガラスを立てて入れたビン。あれに似ている。

 ラオスのこれはパーソムと呼ばれる。パーソムの方がスクガラスより魚がずっと大きい。もう一つ、パーソムがスクガラスと大きく違う点がある。

 スクガラスは非常に塩辛い。塩気だけで言えば、前回紹介した塩辛のパーデークに近い。これに対して、パーソムはかなりの塩気はあるものの、パーデークほどではない。その結果、そのまま焼いてごはんのおかずとして食べられる。

 このパーソム、パーデークほど塩を大量に入れるわけではないのに、液に漬けておけば常温でも1カ月以上もつという。なぜか。

 パーソムには、塩だけではなく、ごはんや炒った米が入っている。それをエサに乳酸菌が増え、乳酸発酵が進む。だから腐らない。そもそも、パーソムを訳せば「酸っぱい魚」。焼いて食べると、しょっぱくて、すっぱい。もちろん、非常にうまい。主食のもち米がいくらでも食べられる。

 次もパーソムなのだが、小魚タイプよりもさらに塩気が少なく、ごはんが多い。上は大きな川魚の切り身を漬け込んだ切り身タイプ。やはり焼いて食べる。パーチャオと呼ばれることもある。下は尾頭付きの一尾タイプ。

Kusauma16


Kusauma21B

 このように乳酸発酵させることによって、ラオスのような熱い国で、冷蔵冷凍設備がなくても生の魚を腐らせることなく保存できる。30度を超すような気温の下で大量の塩も使わずに常温保存できるというのは、なかなかの技術といえないだろうか。

 同じ原理の保存食品は日本にもある。ナレズシがまさにそれ。日本では琵琶湖のフナずしが有名だ。塩漬けにしたフナにごはんを詰めて乳酸発酵させる。

 ナレズシはアジア各地にある。現物を見たことはないが、タイのある地方では、子供が生まれるとカメ一杯の魚のナレズシを仕込み、その子が、成人するか結婚するかした時に取り出して食べる習慣があると聞いた。

Kusauma17

 乳酸発酵した魚には、こんなものもある。魚をミンチ状にして発酵させたもの。ラオス南部のローカル市場でよく見る。ソーセージのような感じ。おけ一杯に固めて作り、切り分けて売っている。これには米粉が練り込んであって、やはり乳酸発酵を促している。

 発酵魚は、常温保存できるという点だけが長所なのではない。タンパク質がアミノ酸に分解されて、うまさも倍増する。その結果、しょっぱさと、すっぱさと、うまみの三角形がピタリと決まる。写真は一尾タイプを焼いたもの。

Kusauma22


 日本で焼き魚を食べるように箸で切って食べようとしたら、同席したラオスの知人に止められた。多すぎる、という。

 「味が濃いので、モチ米を指で丸めて、それで魚をほぐすようにしながら、少しつければおいしく食べられます。一家4、5人の夕食で、1、2尾焼いたら十分なんです」

 確かに、ピンポン球より一回り小さいくらいに丸めたモチ米にパーソム小さじ1/4くらいでちょうどバランスする感じ。なんと言うか、うま味に深さがあって、同時に鋭さも感じさせる。発酵がもたらす深い味。調味料だけでは、恐らくこんな味にはならない。

 そういうわけで、パーソムは、ごはんやお酒が進む。だが、不思議なことに、多少食べ過ぎても、さほどもたれない。保存性とうまさが増す以外にも、体にいいことが何かあるのかもしれないな、などと思いながら、また一口、食べてしまう。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2011年11月20日

クサうまの親分、魚の塩辛

沖縄とアジアの食 第10回 魚の発酵食品(上)

 今回はアジアの「クサうま味」の話をつづってみたい。まずはこの写真から。

Kusauma10


 ラオスの名物料理、唐辛子の効いた青パパイヤのサラダ「タムマクフーン」。青パパイヤのサラダと言えば、タイ料理の「ソムタム」が有名だが、ラオスや東北タイで食べられているこのタムマクフーンがいわば本家。

 このタムマクフーンには、本家ならではの「こだわり」がある。バンコクや日本のタイ料理店で出てくるソムタムは、魚醤ナンプラーで味付けされているものが多いが、タムマクフーンは、魚の塩辛「パーデーク」を使う。東北タイなら「パーラ」。この魚の塩辛こそ、アジア「クサうま味」の親分のような存在だ。

 パーデークはクサくてうまい。だから、ナンプラー味のすっきりソムタムよりも、パーデークを使うタムマクフーンの方が、味わい複雑で、奥深い。ラオスではもち米を主食に食べるが、タムマクフーンだけで立派にそのおかずになる。

 青パパイヤは酵素パパインの働きで減量効果があると日本でも一時話題になった。不思議なことに、完熟の果物パパイヤになるとこの酵素はぐっと減ってしまうので、減量を期待する向きは青パパイヤを食べなければいけないらしい。

 青パパイヤは沖縄でもよく食べる。万鐘本店でかつて紹介したように、沖縄では火を通してイリチャーで食べる。インドでは煮込み料理によく入れるらしい。東南アジアではタムマクフーンのように生で登場することが多いように思う。

 ラオスの食堂やごはん系屋台では、やや縦長のすり鉢とすりこぎで突き混ぜながら、タムマクフーンをよく作っている。食事時になると、「トントン、トントン」と、青パパイヤを叩く音が聞こえてくる。青パパイヤは繊維が密で固いので、すりこぎで叩きながら、同時に調味料を染み込ませていく。その結果、固い青パパイヤが短時間でしなしなになる。

 次の写真の右下のあたりに、トマト、唐辛子などとともに、茶色のパーデークのとろみを帯びた液が大さじ1杯ほど入れられているのが見える。これに青パパイヤを加えて、トントンと突きながら混ぜていく。

Kusauma8

Kusauma9


 ラオスで普通に食べられているタムマクフーンは、かなり辛い。激辛へっちゃらの人以外は、唐辛子をわずかにしてもらうように頼んだ方がいいかもしれない。

 さてさて、味付けに使われている魚の塩辛パーデークが、今回の本題だった。ラオスではどの町にもローカル市場があり、プラスチックの桶に入ったどろどろのパーデークが量り売りされている。

Kusauma13

Kusauma12


 魚が発酵して身が溶けた状態。いかにも臭そうに見える。いや、実際、十分クサい。ただ、この臭いには、なんとも言えない懐かしさがある。眠っている記憶が呼び覚まされるような臭い。日本人におなじみの魚の干物やイカの塩辛と同種の香りの強烈バージョンだ。

 その臭いが鼻に抜けた瞬間、うまみが口の中にバーッと広がる。魚の干物や塩辛などが好きな人にはたまらない味のはず。

 ラオスは内陸国なので、川魚を使ってパーデークを作る。魚をよく洗ってぶつ切りにし、塩を混ぜながらかめに漬け込む。塩の量は、魚の1/3くらいというレシピが多い。塩に加えて、どのレシピにもヌカやモミ殻を入れるとある。

 日本ではモミ殻と言えば文字通り殻だけだが、ラオスでは精米の方法が日本と違うため、モミ殻にヌカや小さな砕米が混ざっている。農村ではこれを鶏や豚の餌にする。つまり炭水化物やヌカ栄養が混ざったモミ殻、というものがあるのだ。

 パーデークづくりの現場を見たわけではないが、使われる「モミ殻」もこれではないかと想像する。ヌカにはいろいろな菌がついているので、それがスターターになり、同時に砕米の炭水化物が発酵菌のエネルギー源として使われる、というわけだ。

 漬け込み期間は1年以上。6カ月くらいから食べられるが、長く漬けた方がうまくなるという。

 アジアのクサうま、と言えば、タイの「ガピ」もそうだし、ベトナムの「マムネム」もそう。この手の発酵クサうま食品は、料理に使われるだけでなく、つけダレとして小皿に入ってテーブルにもよく出てくる。複雑な香りと深い味わいをぜひお楽しみいただきたい。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック