リゾート

2009年05月13日

[第116話 沖縄] 浜比嘉島「大人の」リゾート

 沖縄本島東海岸に浮かぶ浜比嘉島(はまひがじま)。平安座島から橋がかかるこの小さな島の東端に、とびきりの大人向けリゾートホテルがある。地元出身のスタッフとリピーター客、コンセプトによく合った内外装が作り出す静かな癒しの時空間をご紹介。

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 ホテル浜比嘉島リゾート。20年以上前からあるホテルだが、昨年4月にリニューアルした。外装には要所要所に琉球石灰岩をあしらって、高級感と親しみやすさという、正反対の効果を同時に実現。自然素材が持つこの不思議な力については、第16話の那覇空港の話でも取り上げた。次の写真の上は、琉球石灰岩が貼られた正面階段。

 小さなところにも自然の素材が上手に使われている。例えば客室の場所を伝える廊下の掲示は、ガラスに文字を乗せて、そのバックに木製の板を入れた。各室前の室番号は、10cm四方の琉球ガラスの板に文字が乗せてある。

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 内装は、アジアンリゾート風味の昭和モダン、とでも言おうか。白とこげ茶、ベージュを基調に、ところどころに赤っぽいハイライトをあしらったアジアンリゾート風の色調を使いながら、こげ茶で装飾性の少ない直線的な家具類を置くことで昭和モダン風の味わいを出している。

 だから、曲線の多いヨーロピアンとも、東南アジアのコテコテのアジアンリゾートとも一線を画す。一言で言えば、控えめ、抑えめの華やかさ、豪華さ。第7話で紹介した万国津梁館と共通するデザインコンセプトかもしれない。もちろん、浜比嘉島リゾートも、例えばシャワールームの感じに見られるように、リゾートらしい豪華さはちゃんと備えている。

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 「大人の―」とは、そんな控えめのリゾート感覚を心地よく受け止めるのが、ある程度の人生経験を持つ年齢層に多いはずだから。若者は、どちらかと言えば、もっと冒険的で刺激的で、作り込んだ面白さにひかれるだろう。

 支配人の中野優子さんによると、地域の自然や社会にとけ込むリゾート、というのが、このホテルのコンセプトの一つ。リゾート開発には、地域と関係ない施設をドカンと作るアプローチもあり、沖縄ではリゾートの主舞台である西海岸にそうした施設が多い。だが、このホテルは違う。

 例えば、浜比嘉島リゾートは、24、5人のスタッフの大半が地元出身。中野さん自身も、海中道路を渡ったうるま市与那城屋慶名の出身で、配膳スタッフから始めて、ずっとこのホテルで勤めてきた。リニューアル後に支配人に昇格したという文字通りの生え抜きだ。そんなスタッフが醸し出す等身大の雰囲気のよさが分かるには、多少の人生経験がいるかもしれない。

 西海岸のリゾートホテルは大型や高層の建物が普通で、観光バスでやってくる数多くの団体客が宿泊する。これに対して、浜比嘉島リゾートの顧客の中心は、個人のリピーター客。「お子さんが3歳の頃から毎年いらっしゃるご家族がありまして、その子がことし小学3年生になったんですよ。スタッフとも顔なじみです」。中野さんが目を輝かせて楽しそうに語る。

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 北谷や恩納村などの西海岸がサンセットから夜ふけまで若者が遊ぶところとするならば、東の浜比嘉島リゾートは早起きの大人たちがサンライズで朝の光とすがすがしい空気を楽しむ場所といえるかもしれない。事実、中野さんの話では、夜10時ともなれば客室の多くは静かになるという。部屋の多くが東向きのオーシャンビューになっているので、朝、宿泊客はカーテンを開けて、青い海の上に昇る朝日を楽しむ。

 うれしいのは、宿泊料も抑えめなこと。西海岸のリゾートより安い。しかも3連泊以上するとさらに2割引きになる(ハイシーズンを除く)。部屋の広さはスタンダードルームが24平米。

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 最後になったが、海の青さは、橋がかかったとはいえ、やはり島なので格別だ。写真は浜比嘉島側から見た平安座の漁港だが、浜比嘉島の周囲の海も同じくエメラルドグリーン。ガラスを溶かしたような、透明感あふれる海の色は、何度見ても飽きない。

 ホテル浜比嘉島リゾートは、うるま市勝連比嘉202、098-977-8088。HPはこちら

bansyold at 14:56|Permalinkこのエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2007年08月20日

[第7話 沖縄] 万国津梁館、上質感の秘密

 沖縄を代表する現代建築を挙げるならば、まずは名護市の万国津梁館を推す。2000年の沖縄サミット首脳会合の会場になったから、というわけではない。万鐘と同名のよしみだから、でももちろんない。ここに入ると、他では得られない上質感と独特の心地よさに包まれるからだ。

 万国津梁館を設計したのは、地元の(株)国建の福田俊次常務をプロジェクトマネージャーとするチーム。福田さんにその秘密を聞いた。

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 「安波の集落の家並みなどに代表されるように、小さな建物が集まっているのが沖縄的な風景だと思うんです。威圧感のある巨大な構造物では、人間が空間をコントロールできません。そこで万国津梁館も大きな建物にせずに、分棟方式にしました」

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 もう一つ、福田さんが沖縄的だと考える建築のあり方が「内と外との融合」だ。沖縄の伝統家屋は壁らしい壁がない。障子や雨戸を閉めることはもちろんあるが、それを開け放てば、外の空気がそのまま家の中とつながる。万国津梁館も、そうした空間設計にして、内外一体の開放感をもたせた。

 建物内部の上質感を支えているのは、無垢の部厚い木材をたっぷり使っていること。木の肌合いが、心地よさのベースになっていることは間違いない。「内装のモチーフはアジアです。沖縄は環アジアの一角にあるので、アジアンリゾートのイメージで作りました」。カフェテラスがその好例だろう(下の写真)。

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 無垢材はインドネシアで加工することで、厳しい予算の制約を乗り越えた。内外一体にすれば、内部にも外の風が入ってくるので、内装に使う木材は一定の強度が必要になる。この無垢材はニアトウという木で、油分が多く、風にさらされても朽ちにくい。眼下に海が見渡せるオーシャンホールの内部にも無垢材が使われている。無垢材の濃い茶色とアイボリーホワイトとの取り合わせが万国津梁館の内装の基調だ(下の写真)。

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 ただし、万国津梁館はコテコテのアジアンリゾートではない。モチーフはアジアンだが、そこに日本的、沖縄的な抑制が働いている。だからこそわれわれには快適なのかもしれない。サミット主会場に使われたサミットホールにも、どこかそんな味わいがある(下の写真)。

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 万国津梁館は、サミット後も国際会議や各種イベント、結婚式などに使われているが、そうした催しがない時は一般に公開されている。借景の海も絶景。ぜひ一度訪れたいスポットだ。名護市字喜瀬1792。電話0980-53-3155。

bansyold at 23:06|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック