三枚肉
2012年12月26日
ラフテー作りに大忙し
47CULB「究極のおせち」入りすることになった万鐘のラフテー。暮れの万鐘ももと庵は、その製造に追われています。
ラフテーを作るには、皮付きの豚三枚肉をドーンと使います。ラフテーは、脂分の抜けた脂身のとろとろ感と、コラーゲンの固まりである皮のふるふる感が命。
下処理した三枚肉を、固まりのまま煮汁とともに加熱します。1枚の三枚肉を加熱する時間は2時間余り。なんとも時間のかかるスローフードです。
よくあるラフテーは切ってから煮込みますが、万鐘ももと庵のラフテーは煮てから切ります。というのはー
ひとつは、固まりのまま加熱した方が肉のうまみが逃げにくいこと。小さく切って長時間煮れば、うまみを含んだ肉汁がどうしても外に出てしまいます。
もう一つは、煮てから切った方がきれいな形に仕上がることです。ハレのお正月を飾る究極のおせちですから、やはりきれいな姿の方がうれしいですよね。
煮込んだ後に、煮汁ごと常温で冷まし、さらに冷蔵庫に入れて冷やします。三枚肉から出てきた脂分が煮汁の表面に白く固まりますので、そのほとんどを取り除きます。
冷やして、よく身が締まった状態で切り分けると、切り口がきれいに仕上がります。究極のおせち用には、重箱にうまく収まるようにカマボコ型に切ります。ももと庵で1/11から召し上がっていただくものは、四角い形に。
これを温めた煮汁にひたして味を含ませながら、さらに脂を抜きます。既にとろとろ、ふるふるの状態なので、よほどていねいに取り扱わないと崩れてしまいます。慎重に、慎重に。
これで万鐘のラフテーが完成しました。
ことしのブログは今回が最後の更新になります。みなさん、どうぞ、よいお年をお迎え下さい。
ラフテーを作るには、皮付きの豚三枚肉をドーンと使います。ラフテーは、脂分の抜けた脂身のとろとろ感と、コラーゲンの固まりである皮のふるふる感が命。
下処理した三枚肉を、固まりのまま煮汁とともに加熱します。1枚の三枚肉を加熱する時間は2時間余り。なんとも時間のかかるスローフードです。
よくあるラフテーは切ってから煮込みますが、万鐘ももと庵のラフテーは煮てから切ります。というのはー
ひとつは、固まりのまま加熱した方が肉のうまみが逃げにくいこと。小さく切って長時間煮れば、うまみを含んだ肉汁がどうしても外に出てしまいます。
もう一つは、煮てから切った方がきれいな形に仕上がることです。ハレのお正月を飾る究極のおせちですから、やはりきれいな姿の方がうれしいですよね。
煮込んだ後に、煮汁ごと常温で冷まし、さらに冷蔵庫に入れて冷やします。三枚肉から出てきた脂分が煮汁の表面に白く固まりますので、そのほとんどを取り除きます。
冷やして、よく身が締まった状態で切り分けると、切り口がきれいに仕上がります。究極のおせち用には、重箱にうまく収まるようにカマボコ型に切ります。ももと庵で1/11から召し上がっていただくものは、四角い形に。
これを温めた煮汁にひたして味を含ませながら、さらに脂を抜きます。既にとろとろ、ふるふるの状態なので、よほどていねいに取り扱わないと崩れてしまいます。慎重に、慎重に。
これで万鐘のラフテーが完成しました。
ことしのブログは今回が最後の更新になります。みなさん、どうぞ、よいお年をお迎え下さい。
2009年06月21日
[第122話 食] 教科書に載せたい沖縄そば
万鐘本店では、これまでに沖縄そば店をいくつか取り上げてきたが、どちらかと言えば個性派の店が多かった(第3話、第30話、第82話、第108話)。今回は、これらとは対照的に、オーソドックスの極み、とも言うべき恩納村の「なかどまい」をご紹介。インパクトは強いが、何杯食べても飽きがこない。
なかどまいは、同じ場所で経営者が何回か変わってきたが、現在の店は當山忍さんが1年半前に始めたばかり。當山さんはもともと大のそば好き。あちこちの店を食べ歩きながら「自分で最もおいしいと思うそば、昔、食べておいしかったそばを作ろうと模索しました」と話す。
まず汁は、豚骨とかつおだしをブレンドした汁。よくあるかつお主体の汁ではなく、豚骨がベースだ。深いコクがあるが、すっきりしていて、臭みや雑味はない。
汁の味つけは塩が主体でシンプルそのものだが、なにしろダシのコクが深いから、そばにからんで充分にうまみを発揮する。豚骨ベースのなせるわざ。言うまでもにないが、なかどまいの場合、豚骨は、弱火で、たぎらせることなく長時間じっくりと煮る。
麺は、細麺と中太麺の中間くらいの太さ。少し縮れているので汁がよくからむ。小麦特有の、空気を少し含んだような優しい弾力のある麺。もちもち感を高める場合はでんぷんの配合を増やすが、ここの麺は小麦主体。
これは、ちょうどギョウザの皮が2種類あるのと似ている。1つはスーパーに置かれている薄手のもちもち感が強いタイプの皮。もう一つは、中華料理店で出てくる自家製ギョウザ皮。こちらは厚くて、わずかに空気を含んだような、ややパン生地っぽい食感がある。
沖縄そばで言えば、昔風の沖縄そばには後者のタイプの麺が多い。なかどまいの麺もこれ。やんばる方面では、この手の麺を出す店が多いが、なかどまいの麺はよくあるやんばるの太麺よりは細く、スルスルと口に入っていく。
三枚肉やソーキの煮方もオーソドックス。沖縄そばの具として最適の柔らかさといえそう。甘さのない汁とのコンビネーションが最高になるような甘さに、味付けをピタリと決めている。食べ始めは、シンプル塩味のアチコーコー汁と甘辛味の肉がきれいなコントラストをみせるが、食べ進むうちに肉の味が汁に移り、汁が少しずつ甘さを含むようになっていく。その変化が楽しい。ソーキはしっとり煮上がっており、三枚肉の脂落としは完璧だ。
汁、めん、肉。どれをとってもていねいな仕事の結果で、それぞれ並々ならぬ力があるが、まったく出しゃばらない。全体が絶妙のバランスを保ちながら、何食わぬ顔でググッと迫ってくる。まさにオーソドックスの極み―。
沖縄そばビギナーに「沖縄そばって、こんな感じです」と勧めたいのはもちろんだが、あちこちを食べ歩いている沖縄そばジョーグーのみなさんにもぜひ試していただきたい。
教科書に載せたい沖縄そば、という形容はどうかな、と。
なかどまいは恩納村字仲泊754-3、098-965-7222。仲泊小学校の隣り。日曜定休。営業は11:00から16:00。
なかどまいは、同じ場所で経営者が何回か変わってきたが、現在の店は當山忍さんが1年半前に始めたばかり。當山さんはもともと大のそば好き。あちこちの店を食べ歩きながら「自分で最もおいしいと思うそば、昔、食べておいしかったそばを作ろうと模索しました」と話す。
まず汁は、豚骨とかつおだしをブレンドした汁。よくあるかつお主体の汁ではなく、豚骨がベースだ。深いコクがあるが、すっきりしていて、臭みや雑味はない。
汁の味つけは塩が主体でシンプルそのものだが、なにしろダシのコクが深いから、そばにからんで充分にうまみを発揮する。豚骨ベースのなせるわざ。言うまでもにないが、なかどまいの場合、豚骨は、弱火で、たぎらせることなく長時間じっくりと煮る。
麺は、細麺と中太麺の中間くらいの太さ。少し縮れているので汁がよくからむ。小麦特有の、空気を少し含んだような優しい弾力のある麺。もちもち感を高める場合はでんぷんの配合を増やすが、ここの麺は小麦主体。
これは、ちょうどギョウザの皮が2種類あるのと似ている。1つはスーパーに置かれている薄手のもちもち感が強いタイプの皮。もう一つは、中華料理店で出てくる自家製ギョウザ皮。こちらは厚くて、わずかに空気を含んだような、ややパン生地っぽい食感がある。
沖縄そばで言えば、昔風の沖縄そばには後者のタイプの麺が多い。なかどまいの麺もこれ。やんばる方面では、この手の麺を出す店が多いが、なかどまいの麺はよくあるやんばるの太麺よりは細く、スルスルと口に入っていく。
三枚肉やソーキの煮方もオーソドックス。沖縄そばの具として最適の柔らかさといえそう。甘さのない汁とのコンビネーションが最高になるような甘さに、味付けをピタリと決めている。食べ始めは、シンプル塩味のアチコーコー汁と甘辛味の肉がきれいなコントラストをみせるが、食べ進むうちに肉の味が汁に移り、汁が少しずつ甘さを含むようになっていく。その変化が楽しい。ソーキはしっとり煮上がっており、三枚肉の脂落としは完璧だ。
汁、めん、肉。どれをとってもていねいな仕事の結果で、それぞれ並々ならぬ力があるが、まったく出しゃばらない。全体が絶妙のバランスを保ちながら、何食わぬ顔でググッと迫ってくる。まさにオーソドックスの極み―。
沖縄そばビギナーに「沖縄そばって、こんな感じです」と勧めたいのはもちろんだが、あちこちを食べ歩いている沖縄そばジョーグーのみなさんにもぜひ試していただきたい。
教科書に載せたい沖縄そば、という形容はどうかな、と。
なかどまいは恩納村字仲泊754-3、098-965-7222。仲泊小学校の隣り。日曜定休。営業は11:00から16:00。
2007年08月01日
[第3話 食] 繊細で優しい美里そば
万鐘が自信をもってお勧めする隠れた名店のトップバッターは、沖縄市の美里そば。雑誌の沖縄そば特集などにはほとんど載っていないが、その味のよさでファンがじわじわ増えているようだ。
シンプルで飾り気のない店構え。手入れの行き届いた清潔な店内は、店主の照屋エリ子さんの心遣いが感じられる。
メニューは、三枚肉の煮付けをのせた沖縄そば、ソーキの煮付けが入るソーキそばの定番2種に加え、軟骨ソーキをねっとりするまで煮込んだ軟骨ソーキ入りの軟骨そばがある。さらには店名を冠した美里そば。これが一番人気とのことなので、早速注文。
大ぶりのどんぶりに、三枚肉の煮付け、軟骨ソーキの煮付け、ゆし豆腐とねぎが載ったそばが登場した。ヨモギの葉が別添えでついている。汁が熱いうちにヨモギを入れて、しんなりさせながら、その香りを楽しむ。コーレーグスをかけると泡盛のいい香りが加わった。
まずゆし豆腐を一口。ゆし豆腐がそばの汁とこんなに相性がいいとは―。そばは細めで、のどごし最高だが、しっかりとコシがある。汁とよく絡んでうまい。中盤に入ると、めんが汁を吸って少し柔らかくなるが、これが汁とさらによく絡む。
三枚肉の煮付け。そばにのせる三枚肉は、柔らかく煮てある方がそばや汁と一体になってうまいのだが、煮すぎると味も香りもなくなってしまう。美里そばの三枚肉は、ギリギリの柔らかさまで煮込んである。軟骨ソーキは、ゼリーのようにねっとりしていて、おいしい。
この汁は不思議な味だ。豚骨をじっくり煮込んでいるとのことだが、臭みは全くない。ほんのりと甘味を感じる、何とも優しい味だ。繊細な細めんとの相性がいい。コクは確かにあるのに、しつこさが全くないので、最後まで飲んでしまった。
泡盛残波のCMでおなじみの民謡歌手げんちゃんこと前川守賢さん、ネーネーズをサポートしてきたミュージシャン嘉手苅聡さんも常連らしい。県道75号線、琉球銀行コザ十字路支店の駐車場のすぐそば。沖縄市美里744-1。電話098-937-4196。
シンプルで飾り気のない店構え。手入れの行き届いた清潔な店内は、店主の照屋エリ子さんの心遣いが感じられる。
メニューは、三枚肉の煮付けをのせた沖縄そば、ソーキの煮付けが入るソーキそばの定番2種に加え、軟骨ソーキをねっとりするまで煮込んだ軟骨ソーキ入りの軟骨そばがある。さらには店名を冠した美里そば。これが一番人気とのことなので、早速注文。
大ぶりのどんぶりに、三枚肉の煮付け、軟骨ソーキの煮付け、ゆし豆腐とねぎが載ったそばが登場した。ヨモギの葉が別添えでついている。汁が熱いうちにヨモギを入れて、しんなりさせながら、その香りを楽しむ。コーレーグスをかけると泡盛のいい香りが加わった。
まずゆし豆腐を一口。ゆし豆腐がそばの汁とこんなに相性がいいとは―。そばは細めで、のどごし最高だが、しっかりとコシがある。汁とよく絡んでうまい。中盤に入ると、めんが汁を吸って少し柔らかくなるが、これが汁とさらによく絡む。
三枚肉の煮付け。そばにのせる三枚肉は、柔らかく煮てある方がそばや汁と一体になってうまいのだが、煮すぎると味も香りもなくなってしまう。美里そばの三枚肉は、ギリギリの柔らかさまで煮込んである。軟骨ソーキは、ゼリーのようにねっとりしていて、おいしい。
この汁は不思議な味だ。豚骨をじっくり煮込んでいるとのことだが、臭みは全くない。ほんのりと甘味を感じる、何とも優しい味だ。繊細な細めんとの相性がいい。コクは確かにあるのに、しつこさが全くないので、最後まで飲んでしまった。
泡盛残波のCMでおなじみの民謡歌手げんちゃんこと前川守賢さん、ネーネーズをサポートしてきたミュージシャン嘉手苅聡さんも常連らしい。県道75号線、琉球銀行コザ十字路支店の駐車場のすぐそば。沖縄市美里744-1。電話098-937-4196。