中村家

2007年11月18日

[第25話 沖縄] 中村家に流れる癒しの風

 北中城村(きたなかぐすくそん)の中村家は、上層農家の家構えがそのまま残る重要文化財。訪れる観光客も多い。文化財としての中村家の解説はほかに譲るとして、ここでは「風」の話を。

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 中村家を訪れると、畳の間に上がり込んで、そこを流れる風に身を任せながら、放心状態気味の表情でたたずんでいる人をよく見かける。暑い日でも、この家の中は何とも言えぬ心地よい風が流れている。

 中村家は、山の南斜面に位置しているため、北からの強風がまともにぶつかることはない。南からの強風は、家の外側に密に植えられたフクギや(下の写真の上)、南向きの正面入り口をふさぐように置かれている目隠し「ひんぷん」でかなり緩和される(下の写真の下)。

Nakamura2

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 こうして家に当たる前にマイルドになった風を家の中に取り込むについては、今度は逆に、できるだけ多くの風が家の奥まで流れ込むように建物が作られている。

 まず、壁らしい壁がないので、雨戸を開け、障子を開け放てば、外と内はほぼ一体の空間になる。その開放感は、柱と屋根しかない庭園のあずま屋に近い。この内外一体感については、第7話の万国津梁館の記事でも紹介した。

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 一部には格子戸があるが、5cm幅の板が5cm間隔で入った戸が2枚重なっているので、日当りの強い時には、これを5cmずらせば、光はほとんど遮ることができる。だが、2枚の戸の間には1cmほどの隙き間があるので、光は遮断しても、風はその隙き間を通って建物内部にしっかり流れ込んでいく。

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 沖縄は海に囲まれた島なので、ほぼどこでも、海のミネラルをたっぷり含んだ風が吹いている。塩分を含む空中浮遊ミネラルは本土の10倍、強風時には100倍、という大手電器メーカーの調査結果があるほどだ。

 ミネラルは命の源。たっぷりのやわらかな風に乗ってそのミネラルが室内に流れ込み、体を包む時、体が「癒し」を感じて、そのあまりの心地よさに放心状態になるのではないだろうか。コンクリートとサッシで外気を完全に遮断し、中は冷房で冷やすのでは、「癒しの風」は感じられない。

 中村家は北中城村大城106、098-935-3500。年中無休で、午前9時から午後5時半まで。観覧料は大人500円、中高生300円、小学生200円。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック