伝統柄

2008年07月11日

[第65話 沖縄] 進化するかりゆしウェア

 数年前、当時の小池百合子環境相がクールビズを推進した際、小泉元首相や閣僚が着ておなじみになった「かりゆしウェア」。沖縄の県庁や銀行、各企業では、夏の仕事着として完全に定着している。人口130万の沖縄で、ことしの出荷枚数は40万着に迫る勢いだ。

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 かりゆしウェアとは、そもそもどんな服なのか。みんさー織りのような伝統柄のものから、ハワイのアロハシャツに近いものまで、デザインはさまざま。沖縄県衣類縫製品工業組合の定義は次の2つだ。

 1. 沖縄県産品であること 
 2. 沖縄らしさを表現したものであること

 つまり、沖縄をモチーフにしたデザインで、かつ沖縄県内で縫製されたシャツ、ということになる。形は半袖の開襟が多いが、最近はボタンダウンなどの応用編も出てきた。

 沖縄でかりゆしウェアが仕事着として定着したのは、着用運動によって職場ぐるみで着ることになったという事情が一番大きい。2000年沖縄サミットでG8首脳がかりゆしウェアを着たことも着用運動に大きなはずみをつけた。

 着用運動には「伝統柄のものが最もかりゆしウェアらしいと考えられている」ことが大きな役割を果たしてきたといえるかもしれない。ファッションは、それが伝統的なものだと認識されれば、それだけでオフィシャルにもフォーマルにもなる可能性を秘めているからだ。県幹部や県内企業幹部が着ているかりゆしウェアの多くはこのタイプ。

 写真は、イージーオーダーであつらえる高級かりゆしウェアの売り場。絣系にせよ、紅型系にせよ、伝統柄ばかりだ。前述のようにかりゆしウェアの定義は伝統柄に限っているわけでは全くないが、今も伝統柄こそがかりゆしウェアの本筋とみなされているからこそ、職場で中高年の幹部が堂々と着られるのだろう。

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 だが、その一方で、伝統柄のシャツはまるで甚平のような趣きなのでかえって抵抗を感じるという人もいる。これは若い人に多い。彼らは、どちらかと言えば、花柄など、むしろアロハに近いデザインのかりゆしウェアを好む。売り場面積から考えれば、今やこちらの方が数多く生産・出荷されている。

 伝統柄VSアロハ風。だが、本土からの転勤組などは、この両方に違和感を感じる人が少なくない。沖縄の伝統柄も今ひとつ胸に落ちないし、アロハのような図柄のシャツを仕事着にするのは抵抗がある、というわけだ。

 かりゆしウェアメーカーの1つ、豊見城市の有限会社ジュネは「OKINAWA COCONUTS JUICE」のブランド名で、こんな人々の気持ちに応えるデザインを模索している。「そうした不安を安心に変えられないものかなと考えました」と語る吉田康秀社長も新潟県の出身。

 例えばこの柄。ハイビスカスの柄なのだが、図柄のラインがシャープなのと、地の空間を多くとっているせいか、独特の落ち着きが感じられる(写真は女性用だが、全く同じ柄の男性用もある)。

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 次は、貝がらやサンゴなど、図柄の内容はカジュアルカジュアルしているが、遠くから見ると、小さな柄の繰り返しが、にぎやかさと同時に、ある種の落ち着きを醸し出す。生地も、発色にきつさのないプリント裏地を使っている。

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 かりゆしウェアである以上「沖縄らしさ」から出発するのは当然だが、それをどこまで普遍的なものに高められるかが勝負、というのが吉田社長の考え方。

 間違いなく沖縄でありながら普遍的―。こうした進化系デザインのかりゆしウェアがたくさん出てくれば、沖縄県外でも愛好者が増えていくことだろう。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック