伝統的な間取り
2009年04月01日
[第109話 沖縄] 落ち着きと緑を楽しむ奥の里
沖縄本島北部東側の最北に位置する国頭村の奥。北部も含めて、ひなびた場所が本当に少なくなってしまった沖縄で、今もしっとりとした落ち着きと静けさを感じることができる貴重な集落だ。外部の者が気軽に泊れる「奥やんばるの里」を紹介しよう。
奥は、国道58号線をひたすら北上して沖縄本島北端の辺戸岬を過ぎ、道が東進した後に南下を始めて最初に入る集落。北端をさらに過ぎた先、というその位置が、「奥」の名をリアルなものにしている。その南の楚洲、安田、安波などの集落が東海岸の道路を南から攻め上る位置にあることを考えると、事実上、奥が「一番奥」のイメージになるのかもしれない。
奥集落は約80世帯。人々は昔ながらの集落の共同性を大切にしながら、農業を中心に静かに暮らす。特産品はお茶。一番茶の半分以上は静岡に販売され、静岡茶の一部になっているという。
奥やんばるの里は、奥集落が管理運営にあたっている。伝統的な民家の間取りを再現した赤瓦の一軒家が6棟。建材は現在のものなので、古民家の再現とは違うが、間取りは「一番座」「二番座」といった伝統的な沖縄式だ。
キャンプ場のバンガローならば、寝具も炊事道具も自分で持ち込まねばならないが、ここは寝具はもちろん、鍋からおたままでの各種炊事道具、皿や茶碗などの食器類がすべて用意されている。炊飯器や電子レンジ、冷蔵庫もある。持っていくのは食材と調味料類だけですむ。家族やグループで好きな食材を持ち込み、それを調理しながらワイワイやるのには最適。伝統的な間取りの横に、バーベキューができるテラスもついている。
奥やんばるの里の6棟は、ニシミ岳とウニシ岳のふもとに、奥川に面して立ち並ぶ。奥川の水で遊ぶこともできるし、森の中を通る750mの「奥の細道」を歩くのも楽しい。ただ、これらはいわゆるアウトドアのイメージとは違う。
むしろ、奥に来て最も印象づけられるのは、その落ち着きと静けさだ。奥川の両側にそびえ立つ緑濃い山肌をゆっくりとながめ、集落内をぶらぶらしながら行き会う人々と短い会話を交わし、共同店に足を踏み入れて朝の小さな活気を感じる時に、ここへ来てよかったなとしみじみ思う、そんなところだ。写真は共同店の朝の風景。
沖縄の旅は、晴れていないと海の色がきれいに見えないし、面白くない。確かにそうなのだが、雨まじりの日に奥に来ると、こうした感覚は少し変わるかもしれない。濃い緑が朝もやにかすむ風景は十分に美しいし、水気を含んだ森の緑は香りをさらに増して魅力的だ。
離島は別だが、沖縄本島内でこれだけの緑と静かなたたずまいが楽しめる場所は、そうはない。那覇からだと、名護まで高速道路を使っても2時間以上かかる距離だが、わざわざ出かける価値は間違いなくある。
奥やんばるの里が完成したのは平成13年。初めの数年は宿泊客が少なかったが、じわりじわりと増えてきた。事務の島袋あけみさんの話では、学校が休みの時期などは予約がすぐに埋まるようになったという。奥やんばるの里は、もはや穴場とは呼べなくなりつつあるのかもしれない。
奥やんばるの里は国頭村字奥1280-1、0980-50-4141。料金は部屋単位で、広さによって違う。一番広い定員8人のニシミは1泊2万5000円、定員5人のウニシは1万5000円、定員3人のシーバは1万円。予約は2カ月前から受け付ける。奥やんばるの里のHPはこちら。
奥は、国道58号線をひたすら北上して沖縄本島北端の辺戸岬を過ぎ、道が東進した後に南下を始めて最初に入る集落。北端をさらに過ぎた先、というその位置が、「奥」の名をリアルなものにしている。その南の楚洲、安田、安波などの集落が東海岸の道路を南から攻め上る位置にあることを考えると、事実上、奥が「一番奥」のイメージになるのかもしれない。
奥集落は約80世帯。人々は昔ながらの集落の共同性を大切にしながら、農業を中心に静かに暮らす。特産品はお茶。一番茶の半分以上は静岡に販売され、静岡茶の一部になっているという。
奥やんばるの里は、奥集落が管理運営にあたっている。伝統的な民家の間取りを再現した赤瓦の一軒家が6棟。建材は現在のものなので、古民家の再現とは違うが、間取りは「一番座」「二番座」といった伝統的な沖縄式だ。
キャンプ場のバンガローならば、寝具も炊事道具も自分で持ち込まねばならないが、ここは寝具はもちろん、鍋からおたままでの各種炊事道具、皿や茶碗などの食器類がすべて用意されている。炊飯器や電子レンジ、冷蔵庫もある。持っていくのは食材と調味料類だけですむ。家族やグループで好きな食材を持ち込み、それを調理しながらワイワイやるのには最適。伝統的な間取りの横に、バーベキューができるテラスもついている。
奥やんばるの里の6棟は、ニシミ岳とウニシ岳のふもとに、奥川に面して立ち並ぶ。奥川の水で遊ぶこともできるし、森の中を通る750mの「奥の細道」を歩くのも楽しい。ただ、これらはいわゆるアウトドアのイメージとは違う。
むしろ、奥に来て最も印象づけられるのは、その落ち着きと静けさだ。奥川の両側にそびえ立つ緑濃い山肌をゆっくりとながめ、集落内をぶらぶらしながら行き会う人々と短い会話を交わし、共同店に足を踏み入れて朝の小さな活気を感じる時に、ここへ来てよかったなとしみじみ思う、そんなところだ。写真は共同店の朝の風景。
沖縄の旅は、晴れていないと海の色がきれいに見えないし、面白くない。確かにそうなのだが、雨まじりの日に奥に来ると、こうした感覚は少し変わるかもしれない。濃い緑が朝もやにかすむ風景は十分に美しいし、水気を含んだ森の緑は香りをさらに増して魅力的だ。
離島は別だが、沖縄本島内でこれだけの緑と静かなたたずまいが楽しめる場所は、そうはない。那覇からだと、名護まで高速道路を使っても2時間以上かかる距離だが、わざわざ出かける価値は間違いなくある。
奥やんばるの里が完成したのは平成13年。初めの数年は宿泊客が少なかったが、じわりじわりと増えてきた。事務の島袋あけみさんの話では、学校が休みの時期などは予約がすぐに埋まるようになったという。奥やんばるの里は、もはや穴場とは呼べなくなりつつあるのかもしれない。
奥やんばるの里は国頭村字奥1280-1、0980-50-4141。料金は部屋単位で、広さによって違う。一番広い定員8人のニシミは1泊2万5000円、定員5人のウニシは1万5000円、定員3人のシーバは1万円。予約は2カ月前から受け付ける。奥やんばるの里のHPはこちら。