料理

2008年02月06日

[第39話 食] キラキラ光る中国家庭料理の店

 「勢いのある飲食店」とはこういう店なんだな、と思わせる那覇の中華料理店「燕郷房 中国家常菜」。読み方は、やんきょうふぁん。料理も、店の雰囲気も、キラキラと光っている。

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 掲げる旗印は、広東料理でも四川料理でもなく、中国家庭料理。だからおこげ料理から、おなじみの麻婆豆腐、回鍋肉まで、ざまざまな味が楽しめる。

 まずは、いためものを3種、紹介しよう。ホタテと季節野菜の塩いため、鶏・ネギ・カシューナッツの塩いため、牛肉セロリのブラックビーンズいため。いずれも、複数の素材と調味料が上手に組み合わされていて、思わず箸がのびてしまう。

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 ブラックビーンズは豆鼓(ドウチ)のこと。深く発酵した豆味噌のようなもので、うまみの固まり。日本の大徳寺納豆に似た調味料。皿に残った豆鼓のソースをごはんに乗せて食べると、実にうまい。

 さてさて、次のおこげが絶品だ。海鮮野菜あんもおいしいが、おこげ自体の作り方が非常に巧み。ヘンに歯に障ることなく、最初から最後までサクサクと軽い。あんと一緒に口の中で心地よくほどけていく。

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 チャーハンは、じゃこ青ネギチャーハンにした。青ネギが信じられないくらいたっぷり入っていて、香りの基調を作っている。

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 麺は、アサリ青ネギやきそば。ニンニクの香りをじっくり引き出したところにアサリの強いうまみが加わる。そのスープの味をしみ込ませたタイプのやきそばだ。これも青ネギがたっぷり。

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 ホールスタッフの動きがいい。ときどき客席に声をかけて客とやりとりするのだが、そのタイミングが心地よい。やりとりの内容も浅すぎず、深すぎず。忙しそうにしているが、出す料理についてのちょっとした質問には、足を止めて、ていねいに答えてくれる。総じて、適当にかまってもらって嬉しく、勝手にのびのびさせてもらって楽しい店、という感じだろうか。

 男同士の飲み会はもちろん、女性グループでもいいし、家族連れにも向いている。内装は、造りすぎという感じもしないではないが、この手が好きな人には楽しいだろう。

 モノレール美栄橋駅近くで繁盛していたが、手狭だったので拡張移転したばかり。拡張すると味が落ちる店もあるようだが、この店についてはその心配はなさそうだ。現在の店は、同じモノレールの旭橋駅が近い。

 那覇市泉崎1-11-3、098-862-0011。年中無休。ランチの営業はない。1品1000円前後。1人3000円分も食べれば、普通の人はおなか一杯になる(酒代を含まない)。

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2008年01月07日

[第34話 食] 静かに守る首里の味

 琉球料理の正統派、古都・首里の味をひっそりと守っている店を紹介する。ともに首里に生まれ育った富名腰久雄さん、米子さん夫妻が経営する富久屋。「私たち2人の舌で覚えている首里の味をお出ししています」と久雄さんが語る。

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 まずは、むじぬ汁から(「の」が、琉球語では「ぬ」になる)。「むじ」とは、ターウム(田芋)の茎。本土では、サトイモの茎のズイキが食べられるが、これに近い。むじぬ汁は、むじがみそ汁に入っており、豚の三枚肉があしらってある。祝いごとがあると、首里ではむじぬ汁が作られたという。むじはシャクシャクした独特の歯ごたえがある。

 同じみそ仕立ての汁でも、むじぬ汁とは全く違うのが、いなむどぅち。こちらは甘い白みそ仕立てで、豚肉やこんにゃく、かまぼこなどが入っている。汁はいくぶんとろみがあり、コクは十分だが、不思議にしつこさはない。

 豚肉に黒ごまをまぶして蒸した、みぬだる。全く脂っぽくない。さっぱりした味付けだが、うまみはしっかり感じられる。

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 どぅるわかしーぬあぎー。ターウムをつぶして、豚肉、かまぼこなどを加えて練ったのがどぅるわかしーで、それをまるめてあぎー(揚げもの)にしたのがこれ。第6話のままやの料理でも登場した。脇道にそれるが、「あぎー」は、さーたーあんだあぎーの「あぎー」だ(「さーたー」は砂糖=甘い、「あんだ」は油)。

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 小鉢では、かんぴょういりちー。かんぴょうを昆布やこんにゃくなどといっしょにいため煮にしたもの。かんぴょうにヌヌっと入っていく歯ごたえが楽しい。昆布をいため煮にしたくーぶいりちーはよくあるが、かんぴょうのものは珍しい。

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 ピーナツで作る地豆豆腐(じーまーみどーふ)はポピュラーな沖縄料理だが、ここの地豆豆腐はべたつかず、切れがよい。

 祝膳のイメージで出している、というむじぬ汁定食についてきたごはんは赤飯だった。ただし、もち米ではなく、うるち米を使うのが首里流とのこと。

 料理全体の印象は、ヘルシーで繊細な和食のイメージ(もちろん料理の中身は和食とは違うが)に、豚のうまみが加わったという感じだ。豚だしのうまみは随所に使われているが、あくまで上品で、脂っぽさや臭みは一切ない。ていねいに作られたバランスのよいごはんをいただいた満足感が残った。

 定食だけでなく、富久屋は泡盛も用意しているから、一杯やりながら、首里の味を楽しむことができる。

 富久屋は、首里の龍潭通りから、旧県立博物館の横の細い道を入って間もなくの右側、道から少し奥に引っ込んだところにある。場所は大人の隠れ家風だが、中は木づくりで明るく、家族連れで楽しめる。看板は一応あるが、見えにくいので、分からなければ電話を。常連客が多いようだが、初めての客も、富名腰さんが温かくもてなしてくれる。

 那覇市首里当蔵町1-14、098-884-4201。営業時間は昼が11:00-15:00、夜は18:00-23:00。定食は、むじぬ汁定食が1200円、それ以外は1000円。単品は500円前後。ちゃんぷるー類や沖縄そばもある。

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