沖縄サミット

2007年08月20日

[第7話 沖縄] 万国津梁館、上質感の秘密

 沖縄を代表する現代建築を挙げるならば、まずは名護市の万国津梁館を推す。2000年の沖縄サミット首脳会合の会場になったから、というわけではない。万鐘と同名のよしみだから、でももちろんない。ここに入ると、他では得られない上質感と独特の心地よさに包まれるからだ。

 万国津梁館を設計したのは、地元の(株)国建の福田俊次常務をプロジェクトマネージャーとするチーム。福田さんにその秘密を聞いた。

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 「安波の集落の家並みなどに代表されるように、小さな建物が集まっているのが沖縄的な風景だと思うんです。威圧感のある巨大な構造物では、人間が空間をコントロールできません。そこで万国津梁館も大きな建物にせずに、分棟方式にしました」

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 もう一つ、福田さんが沖縄的だと考える建築のあり方が「内と外との融合」だ。沖縄の伝統家屋は壁らしい壁がない。障子や雨戸を閉めることはもちろんあるが、それを開け放てば、外の空気がそのまま家の中とつながる。万国津梁館も、そうした空間設計にして、内外一体の開放感をもたせた。

 建物内部の上質感を支えているのは、無垢の部厚い木材をたっぷり使っていること。木の肌合いが、心地よさのベースになっていることは間違いない。「内装のモチーフはアジアです。沖縄は環アジアの一角にあるので、アジアンリゾートのイメージで作りました」。カフェテラスがその好例だろう(下の写真)。

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 無垢材はインドネシアで加工することで、厳しい予算の制約を乗り越えた。内外一体にすれば、内部にも外の風が入ってくるので、内装に使う木材は一定の強度が必要になる。この無垢材はニアトウという木で、油分が多く、風にさらされても朽ちにくい。眼下に海が見渡せるオーシャンホールの内部にも無垢材が使われている。無垢材の濃い茶色とアイボリーホワイトとの取り合わせが万国津梁館の内装の基調だ(下の写真)。

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 ただし、万国津梁館はコテコテのアジアンリゾートではない。モチーフはアジアンだが、そこに日本的、沖縄的な抑制が働いている。だからこそわれわれには快適なのかもしれない。サミット主会場に使われたサミットホールにも、どこかそんな味わいがある(下の写真)。

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 万国津梁館は、サミット後も国際会議や各種イベント、結婚式などに使われているが、そうした催しがない時は一般に公開されている。借景の海も絶景。ぜひ一度訪れたいスポットだ。名護市字喜瀬1792。電話0980-53-3155。

bansyold at 23:06|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック