琉球ガラス
2013年12月28日
おおらかで透明な琉球ガラス
いよいよ年の瀬。寒波到来で沖縄でもふるえています。ことし最後の記事は、おおらかで透明な琉球ガラスで。
琉球ガラスは、沖縄戦ですべてが失われ、何もなかった時代に、コーラの空きびんなどを利用して作られ始めた生活雑器です。その独特の風合いが人気を呼び、沖縄の特産品になりました。
県内にはたくさんの工房があって、一部は技術をアジアの国に移転して現地生産もされているようですが、きょう、ご紹介するのは、いわば元祖。昭和27年創業の奥原硝子製造所の作品です。
写真でおわかりのように、琉球ガラスはぼったりと厚みがあるおおらかさが特徴です。切り子のようなシャープな感じとは対極をいく風合い。
ガラスはどこまでも透明。光の加減によって、この透明な感じが本当にきれいに見えるんです。ぼったりとした厚みがかえって透明さを強調しているのかもしれません。
県内のガラス工房の中でも、奥原硝子の作品は、この琉球ガラスオリジナルの風合いが生き続けているのが特徴です。
先日、作品を仕入れに奥原硝子をお訪ねして、自分が欲しいものを選ぶと、代表の宮城和六さんが「きょうは持って帰れないんですよ。一つひとつ検品してから、値段をつけますので」とすまなそうに言われました。
ソース瓶の取手のつけ根に手を当てて「ここが」と一言。よく見ると、ややエッジが立ったようになっていて、そこに力を入れて触ると案外鋭いエッジになっていることが分かりました。
普通の人はまず気づかないでしょうし、よほど運が悪くなければ手が切れるようなことはなさそうですが、宮城さんは妥協しません。
周囲を見回してみると、選んだバイヤーの名刺が貼られた段ボール箱がいくつもあります。入念な検品を待っている箱と、検品を終えて出荷OKが出た箱たちでした。
奥原硝子の作品、ももと庵に置かせてもらうことにしました。来店されて「出会い」があれば、どうぞお買い求め下さい。
ことしも万鐘ももと庵にご愛顧たまわり、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎え下さい。
年内は明日12/29(日)まで、年明けは1/4(土)から営業します。従業員一同、心からご来店をお待ちしています。
琉球ガラスは、沖縄戦ですべてが失われ、何もなかった時代に、コーラの空きびんなどを利用して作られ始めた生活雑器です。その独特の風合いが人気を呼び、沖縄の特産品になりました。
県内にはたくさんの工房があって、一部は技術をアジアの国に移転して現地生産もされているようですが、きょう、ご紹介するのは、いわば元祖。昭和27年創業の奥原硝子製造所の作品です。
写真でおわかりのように、琉球ガラスはぼったりと厚みがあるおおらかさが特徴です。切り子のようなシャープな感じとは対極をいく風合い。
ガラスはどこまでも透明。光の加減によって、この透明な感じが本当にきれいに見えるんです。ぼったりとした厚みがかえって透明さを強調しているのかもしれません。
県内のガラス工房の中でも、奥原硝子の作品は、この琉球ガラスオリジナルの風合いが生き続けているのが特徴です。
先日、作品を仕入れに奥原硝子をお訪ねして、自分が欲しいものを選ぶと、代表の宮城和六さんが「きょうは持って帰れないんですよ。一つひとつ検品してから、値段をつけますので」とすまなそうに言われました。
ソース瓶の取手のつけ根に手を当てて「ここが」と一言。よく見ると、ややエッジが立ったようになっていて、そこに力を入れて触ると案外鋭いエッジになっていることが分かりました。
普通の人はまず気づかないでしょうし、よほど運が悪くなければ手が切れるようなことはなさそうですが、宮城さんは妥協しません。
周囲を見回してみると、選んだバイヤーの名刺が貼られた段ボール箱がいくつもあります。入念な検品を待っている箱と、検品を終えて出荷OKが出た箱たちでした。
奥原硝子の作品、ももと庵に置かせてもらうことにしました。来店されて「出会い」があれば、どうぞお買い求め下さい。
ことしも万鐘ももと庵にご愛顧たまわり、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎え下さい。
年内は明日12/29(日)まで、年明けは1/4(土)から営業します。従業員一同、心からご来店をお待ちしています。
2008年10月03日
[第79話 沖縄] 氷のような透明感 琉球ガラス
沖縄のみやげ品店には必ずといっていいほど置かれている琉球ガラス。厚みと柔らかなタッチが特徴だ。今回は、琉球ガラスの掘り出し物を見つける穴場をご紹介。
那覇の奥原硝子製造所は歴史の古いガラス工房。ここのギャラリーが面白い。ギャラリーといっても、大量の作品が無造作に山積みされている状態で、重ねて置かれているコップの表面にはホコリも。通路にも出荷用の段ボール箱がたくさん積まれている。それもそのはず、ここは、飲食店での利用など、卸しで買い付ける人が主に訪れる場所で、一般客はあまり来ない。
だが、こうした中から、少し時間をかけて、面白い調子のものを掘り出すのは楽しい。もちろん個人が訪れてじっくり選んだり、買ったりすることはいくらでもできる。
琉球ガラスは、もともと米軍占領下でコーラの空き瓶などを利用して作られたコップなどに端を発するとされる。だが、技巧の発達とともに、リサイクルガラスではなく、硅砂などのガラス原料から作られる作品も増えてきた。そんな中で奥原硝子は一貫してリサイクルガラスを中心に製造している。
「ガラス原料よりも、リサイクルガラスで作ったものの方が透明感があるんです」と話すのは、奥原硝子営業担当の宮城和六さん。宮城さんによると、その透明感は「氷のような透明感」だという。
改めて普通のガラスコップと比べてみた。確かに、リサイクルガラスで作られたコップの方が透明感がある。普通のコップは、やや白い感じがする。加えて、琉球ガラスは厚みがあるので、それが「氷のような」透明感に感じられるのかもしれない。
厚めになるのは、リサイクルガラスは膨張率が低く、膨らませる際にあまり伸びないから。ある程度の厚さまでで膨らませるのを止めないと、風船が割れるのと同じように、壊れてしまう。
ただし、赤色のものは、赤い部分の膨張率が高いので、それに合わせて全体を膨張率の高いガラス原料で作るのだそうだ。赤い部分の原材料費が他の色に比べて高いため、作品全体も高めになる。
切子のような硬質で鋭利な芸術性はないが、まるで焼き物のようなゆがみを含んだ形の面白さ、大らかさを感じさせる厚めの風合い、そして、宮城さんの言う氷のような透明感が琉球ガラスの魅力だ。もちろん、一つひとつが手作り。だからこそ、数多くの作品の中から、自分がピンとくる掘り出し物を選ぶのが楽しみになる。
奥原硝子製造所ギャラリーは那覇市与儀1丁目26-11-1F、098-832-4346。国道330号ひめゆり通りの与儀公園を寄宮方面に曲がり、沖縄セントラル病院の前を過ぎて次の細い路地を右折する。すずらん食堂の隣り。ギャラリーの営業時間は特に決まっていないが、午後2時から6時までは開いていることが多い。もしギャラリーに人がいなければ、隣りのすずらん食堂で聞けば教えてくれる。
那覇の奥原硝子製造所は歴史の古いガラス工房。ここのギャラリーが面白い。ギャラリーといっても、大量の作品が無造作に山積みされている状態で、重ねて置かれているコップの表面にはホコリも。通路にも出荷用の段ボール箱がたくさん積まれている。それもそのはず、ここは、飲食店での利用など、卸しで買い付ける人が主に訪れる場所で、一般客はあまり来ない。
だが、こうした中から、少し時間をかけて、面白い調子のものを掘り出すのは楽しい。もちろん個人が訪れてじっくり選んだり、買ったりすることはいくらでもできる。
琉球ガラスは、もともと米軍占領下でコーラの空き瓶などを利用して作られたコップなどに端を発するとされる。だが、技巧の発達とともに、リサイクルガラスではなく、硅砂などのガラス原料から作られる作品も増えてきた。そんな中で奥原硝子は一貫してリサイクルガラスを中心に製造している。
「ガラス原料よりも、リサイクルガラスで作ったものの方が透明感があるんです」と話すのは、奥原硝子営業担当の宮城和六さん。宮城さんによると、その透明感は「氷のような透明感」だという。
改めて普通のガラスコップと比べてみた。確かに、リサイクルガラスで作られたコップの方が透明感がある。普通のコップは、やや白い感じがする。加えて、琉球ガラスは厚みがあるので、それが「氷のような」透明感に感じられるのかもしれない。
厚めになるのは、リサイクルガラスは膨張率が低く、膨らませる際にあまり伸びないから。ある程度の厚さまでで膨らませるのを止めないと、風船が割れるのと同じように、壊れてしまう。
ただし、赤色のものは、赤い部分の膨張率が高いので、それに合わせて全体を膨張率の高いガラス原料で作るのだそうだ。赤い部分の原材料費が他の色に比べて高いため、作品全体も高めになる。
切子のような硬質で鋭利な芸術性はないが、まるで焼き物のようなゆがみを含んだ形の面白さ、大らかさを感じさせる厚めの風合い、そして、宮城さんの言う氷のような透明感が琉球ガラスの魅力だ。もちろん、一つひとつが手作り。だからこそ、数多くの作品の中から、自分がピンとくる掘り出し物を選ぶのが楽しみになる。
奥原硝子製造所ギャラリーは那覇市与儀1丁目26-11-1F、098-832-4346。国道330号ひめゆり通りの与儀公園を寄宮方面に曲がり、沖縄セントラル病院の前を過ぎて次の細い路地を右折する。すずらん食堂の隣り。ギャラリーの営業時間は特に決まっていないが、午後2時から6時までは開いていることが多い。もしギャラリーに人がいなければ、隣りのすずらん食堂で聞けば教えてくれる。