生かじり

2009年02月18日

[第102話 食、農] 鮮烈な香りを楽しむ島ラッキョウ

 沖縄の居酒屋でも家庭でも、あるいは本土の沖縄料理店でも大人気の島ラッキョウ。その島ラッキョウが、やがて旬の季節を迎える。

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 島ラッキョウは夏の終わりに植え付けする。株が分かれてゆっくりゆっくり粒がふくらんでいく。順調にいけば、1粒植えると10粒くらいは収穫できる。ネギの仲間はどれもそうだが、生育に時間がかかることはあまり知られていない。島ラッキョウの場合も7、8カ月を要する。葉の面積が小さいからだろう。

 3月頃が収穫の最盛期。出始めの時季はかなり高い島ラッキョウだが、旬になると30本前後の1束が250―300円まで下がる。

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 島ラッキョウは、沖縄の食の代表選手の一つになりつつあるようだ。東京の沖縄料理店では、つき出しや一品料理として春から初夏までのレギュラーメニューになっていることが多い。沖縄でも、観光客の多い国際通りや那覇空港にはほぼ定番で置かれている。生の束もあれば、真空パックされた塩漬けも見かける。むろん、県民は飲食店でも食べるし、スーパーで生の島ラッキョウを買っては自分で塩漬けにしてよく食べる。

 島ラッキョウの最大の魅力はあの鮮烈な香り。ネギ、ニラ、ニンニク系の香りであることは間違いないのだが、そのいずれとも微妙に違う。味はネギやニンニクほどきつくない。泡盛に実によく合う。島ラッキョウをつまみながら泡盛を飲み始めたら、本当にいくらでも入ってしまう。

 浅漬けで食べるのが最もポピュラー。塩をして1日置けばおいしくなり、3、4日はそのおいしさが持続する。居酒屋で出てくる島ラッキョウの大半はこれ。かつおぶしがかかっていることが多い。

 この、塩だけのシンプルな浅漬け。試みに島ネギでやってみたが、ヘナヘナと柔らかくなりすぎてしまい、食感が今ひとつだった。島ラッキョウなら、塩で柔らかくなっても、シャリシャリした感じが十分に残る。

 沖縄では、たくさん穫れた時には天ぷらも楽しむ。天ぷらにすると、加熱されて香りは弱まるが、その代わりに甘味が引き出される。実際、ラッキョウ天ぷら好きはかなりいる。

 塩漬けよりも、さらに鮮烈な香りをストレートに感じるには、生かじりするのが一番。ネギやニンニクほどきつくはないから、生でも食べられる。生の島ラッキョウには味噌をつけるとよい。味噌の強い味が島ラッキョウの香りを包み込み、食べやすくしてくれる。ネギ味噌を引き合いに出すまでもなく、ネギ・ラッキョウ系の味と味噌は極めて相性がいい。塩漬けよりも生の方が強いシャリシャリ感を楽しむことができる。

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 島ラッキョウを薬味として食べるのもお勧め。例えば、薄く切った島ラッキョウをよく熟したトマトに乗せて、ドレッシングをかけて食す。トマトのうまみとラッキョウの鮮烈な香りがよく合う。

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 塩こしょうして焼いた豚肉に、薄切り島ラッキョウをたっぷりと乗せ、かんきつ果汁を絞って食べるのもうまい。あるいは、ゆでたジャガイモにドレッシングをふって、薄切り島ラッキョウを散らす。好みでマヨネーズを少しかけてもいい。ジャガイモの淡白な香りはベースになり、ラッキョウの刺激的な香りがハイライトとしてくっきり浮かび上がる。

 薬味で使う場合、島ラッキョウは生なので、あの鮮烈な香りがそのまま迫ってくるのが魅力。とりわけ、豚やジャガイモは熱いので、そこに乗った島ラッキョウの香りがふくらみを増し、鼻から食欲を大いに刺激すること請け合い。

bansyold at 00:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック