癒し
2008年02月18日
[第41話 食] 林道という名の癒し系居酒屋
やんばるの森を走る大国(おおくに)林道。国頭村字与那から大宜味村字大保までを結ぶ全長35.5kmのこの林道を、そのまま店名にしてしまった名護市内の居酒屋がある。シャッター通りが多い名護の旧市街で頑張っている店の一つだ。
大国林道の店内は、入り口から店内テーブル、カウンターまですべて木造り。それだけで心地よく、癒される。第16話の那覇空港の記事でも書いたように、木は「涼しくて温かい」「高級感があって親しみやすい」という互いに矛盾する特徴が同居している。考えてみれば何とも不思議な素材だ。
店内の分厚い木材はやんばるのリュウキュウマツなど。仲田一也店長らスタッフが手作りで作り上げたという。その仲田店長自身も、ほのぼのした雰囲気を漂わせる癒し系。混み合っている日は忙しそうに店内を飛び回っているが、手があけば、おしゃべりの相手をしてくれる。
入り口から泡盛古酒の入ったカメがずらりと並ぶ。15年ものの古酒もあるが、これはかなり値がはる。そんなすごい古酒でなくても、おいしい酒がいろいろ用意されている。例えば、店の常用酒として出している地元名護の「國華」。1合600円だが、味わい深く、十分に楽しめる。
料理も全般に、エッジの立った鋭い味というよりは、どことなくほのぼのした味わいだ。各種チャンプルーやグルクンの唐揚げなど、沖縄料理の定番がそろっているが、ここでは個性的な料理をいくつか紹介しよう。まず、砂肝のニンニクいため。砂肝のこりこりした食感にニンニクがよくマッチしていて、ビールにも泡盛にも合う。
豚タンのニンニク焼き。牛タンでなく豚タンというところが、豚王国沖縄らしさをよく表している。こちらもニンニク味だが、砂肝と違って味がある豚タン自体がニンニクと互角に勝負する。
三枚肉をじっくり煮込んだラフテー。ここのラフテーは、醤油ではなく、みそ味。豚汁の例を持ち出すまでもないが、豚と味噌は相性がとてもいい。豚三枚肉のコクに味噌のしっかりした味がよく絡んで、おいしい。
パパイヤチャンプルー。沖縄では、熟していない青パパイヤを野菜としてよく食べる。インドでは授乳中の母親に青パパイヤを食べさせるそうだ。青パパイヤには乳がよく出る成分が含まれているらしい。青パパイヤは、調理する際、味がしみるのに少し時間がかかるので、だしを少し入れ、フタをしていため煮にするとよい。大国林道のパパイヤチャンプルーも、味をよく含んでしっとりとおいしく仕上がっている。
模合や同窓グループなどの地元客が多いが、ホテルの食事に飽きた観光客も利用している。大国林道は、沖縄県名護市大東1−14−12、0980-54-5959。日曜定休。
大国林道の店内は、入り口から店内テーブル、カウンターまですべて木造り。それだけで心地よく、癒される。第16話の那覇空港の記事でも書いたように、木は「涼しくて温かい」「高級感があって親しみやすい」という互いに矛盾する特徴が同居している。考えてみれば何とも不思議な素材だ。
店内の分厚い木材はやんばるのリュウキュウマツなど。仲田一也店長らスタッフが手作りで作り上げたという。その仲田店長自身も、ほのぼのした雰囲気を漂わせる癒し系。混み合っている日は忙しそうに店内を飛び回っているが、手があけば、おしゃべりの相手をしてくれる。
入り口から泡盛古酒の入ったカメがずらりと並ぶ。15年ものの古酒もあるが、これはかなり値がはる。そんなすごい古酒でなくても、おいしい酒がいろいろ用意されている。例えば、店の常用酒として出している地元名護の「國華」。1合600円だが、味わい深く、十分に楽しめる。
料理も全般に、エッジの立った鋭い味というよりは、どことなくほのぼのした味わいだ。各種チャンプルーやグルクンの唐揚げなど、沖縄料理の定番がそろっているが、ここでは個性的な料理をいくつか紹介しよう。まず、砂肝のニンニクいため。砂肝のこりこりした食感にニンニクがよくマッチしていて、ビールにも泡盛にも合う。
豚タンのニンニク焼き。牛タンでなく豚タンというところが、豚王国沖縄らしさをよく表している。こちらもニンニク味だが、砂肝と違って味がある豚タン自体がニンニクと互角に勝負する。
三枚肉をじっくり煮込んだラフテー。ここのラフテーは、醤油ではなく、みそ味。豚汁の例を持ち出すまでもないが、豚と味噌は相性がとてもいい。豚三枚肉のコクに味噌のしっかりした味がよく絡んで、おいしい。
パパイヤチャンプルー。沖縄では、熟していない青パパイヤを野菜としてよく食べる。インドでは授乳中の母親に青パパイヤを食べさせるそうだ。青パパイヤには乳がよく出る成分が含まれているらしい。青パパイヤは、調理する際、味がしみるのに少し時間がかかるので、だしを少し入れ、フタをしていため煮にするとよい。大国林道のパパイヤチャンプルーも、味をよく含んでしっとりとおいしく仕上がっている。
模合や同窓グループなどの地元客が多いが、ホテルの食事に飽きた観光客も利用している。大国林道は、沖縄県名護市大東1−14−12、0980-54-5959。日曜定休。
2007年11月18日
[第25話 沖縄] 中村家に流れる癒しの風
北中城村(きたなかぐすくそん)の中村家は、上層農家の家構えがそのまま残る重要文化財。訪れる観光客も多い。文化財としての中村家の解説はほかに譲るとして、ここでは「風」の話を。
中村家を訪れると、畳の間に上がり込んで、そこを流れる風に身を任せながら、放心状態気味の表情でたたずんでいる人をよく見かける。暑い日でも、この家の中は何とも言えぬ心地よい風が流れている。
中村家は、山の南斜面に位置しているため、北からの強風がまともにぶつかることはない。南からの強風は、家の外側に密に植えられたフクギや(下の写真の上)、南向きの正面入り口をふさぐように置かれている目隠し「ひんぷん」でかなり緩和される(下の写真の下)。
こうして家に当たる前にマイルドになった風を家の中に取り込むについては、今度は逆に、できるだけ多くの風が家の奥まで流れ込むように建物が作られている。
まず、壁らしい壁がないので、雨戸を開け、障子を開け放てば、外と内はほぼ一体の空間になる。その開放感は、柱と屋根しかない庭園のあずま屋に近い。この内外一体感については、第7話の万国津梁館の記事でも紹介した。
一部には格子戸があるが、5cm幅の板が5cm間隔で入った戸が2枚重なっているので、日当りの強い時には、これを5cmずらせば、光はほとんど遮ることができる。だが、2枚の戸の間には1cmほどの隙き間があるので、光は遮断しても、風はその隙き間を通って建物内部にしっかり流れ込んでいく。
沖縄は海に囲まれた島なので、ほぼどこでも、海のミネラルをたっぷり含んだ風が吹いている。塩分を含む空中浮遊ミネラルは本土の10倍、強風時には100倍、という大手電器メーカーの調査結果があるほどだ。
ミネラルは命の源。たっぷりのやわらかな風に乗ってそのミネラルが室内に流れ込み、体を包む時、体が「癒し」を感じて、そのあまりの心地よさに放心状態になるのではないだろうか。コンクリートとサッシで外気を完全に遮断し、中は冷房で冷やすのでは、「癒しの風」は感じられない。
中村家は北中城村大城106、098-935-3500。年中無休で、午前9時から午後5時半まで。観覧料は大人500円、中高生300円、小学生200円。
中村家を訪れると、畳の間に上がり込んで、そこを流れる風に身を任せながら、放心状態気味の表情でたたずんでいる人をよく見かける。暑い日でも、この家の中は何とも言えぬ心地よい風が流れている。
中村家は、山の南斜面に位置しているため、北からの強風がまともにぶつかることはない。南からの強風は、家の外側に密に植えられたフクギや(下の写真の上)、南向きの正面入り口をふさぐように置かれている目隠し「ひんぷん」でかなり緩和される(下の写真の下)。
こうして家に当たる前にマイルドになった風を家の中に取り込むについては、今度は逆に、できるだけ多くの風が家の奥まで流れ込むように建物が作られている。
まず、壁らしい壁がないので、雨戸を開け、障子を開け放てば、外と内はほぼ一体の空間になる。その開放感は、柱と屋根しかない庭園のあずま屋に近い。この内外一体感については、第7話の万国津梁館の記事でも紹介した。
一部には格子戸があるが、5cm幅の板が5cm間隔で入った戸が2枚重なっているので、日当りの強い時には、これを5cmずらせば、光はほとんど遮ることができる。だが、2枚の戸の間には1cmほどの隙き間があるので、光は遮断しても、風はその隙き間を通って建物内部にしっかり流れ込んでいく。
沖縄は海に囲まれた島なので、ほぼどこでも、海のミネラルをたっぷり含んだ風が吹いている。塩分を含む空中浮遊ミネラルは本土の10倍、強風時には100倍、という大手電器メーカーの調査結果があるほどだ。
ミネラルは命の源。たっぷりのやわらかな風に乗ってそのミネラルが室内に流れ込み、体を包む時、体が「癒し」を感じて、そのあまりの心地よさに放心状態になるのではないだろうか。コンクリートとサッシで外気を完全に遮断し、中は冷房で冷やすのでは、「癒しの風」は感じられない。
中村家は北中城村大城106、098-935-3500。年中無休で、午前9時から午後5時半まで。観覧料は大人500円、中高生300円、小学生200円。