2012年10月19日

「おどり炊き」で水と油が融合

 前回、激闘を演じた水と油が、きょうは「一つになる」という話です。「和解」というわけではありませんが、カレーは、水と油が一つにならないといけません。

 そのためには、煮込む際に、強火でグラグラ煮込みます。

 カレーは、水と油が完全に分かれていたのでは水っぽくて、イマイチです。油と水分が一体になり、一部が乳化したような状態になると、カレーらしい感じになり、ごはんやナンにもよくからみます。それには、弱火でコトコトではダメで、強火でグラグラ炊く必要があります。

2 curry


 それほど長時間ではありません。ももと庵のカレーの肉はひき肉を使っていますので、肉の繊維を柔らかくほぐすような煮方をする必要はないからです。

 火力と言えば、昔は、薪(まき)で料理していました。アジアの国では今でも薪で調理している地域がたくさんあります。薪で調理すると、ピークにはかなりの強火になります。

 日本でも、厚手の羽釜を使い、薪でごはんを炊いたらおいしくなると言われますね。強い火力でグラグラやると、高温の釜の中で米が踊って粘りがよく出るのではないかと思います。

 ちょっとググッてみたら、羽釜、結構、売られていました。きれいな写真を拝借したこのお店、「MSKショッピング」、羽釜だけでなく、世界の珍しい料理道具を扱っていますので、のぞいてみて下さい。

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 そう言えば、電気炊飯器にも「おどり炊き」をキャッチフレーズにしているサンヨー製品がありました。釜の中で米粒が踊るくらい激しく炊くことが、おいしいごはんを炊く条件なのかもしれません。

 「おどり炊き」と同じ原理で、油と水を一体化させるようにしてグラグラと煮込むといいのがカレーです。強火が水と油をひとつにして、いい感じのトロトロの状態にしてくれます。

 おうちで「強火で煮込み」に挑戦する場合は、焦がさないように気をつけて下さい。焦げつきを防ぐには、テフロン加工になっているフライパンの深いやつ、通称「いため鍋」と呼ばれている鍋がありますね、あれがお勧めです。

 表面加工だけでなく、底がカーブを描いているので、中で対流が起きやすいのです。ぶり大根なども、強火で煮込むやり方がありますが、ああいうのもこのいため鍋なら焦げにくいので、うまくできるのではないでしょうか。

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2010年01月31日

[第154話 農、食] 伝統製法の加熱塩蔵ひじき 

 ひじきと言えば乾物。カラカラに干して保存されたものがほとんどだが、沖縄では加熱塩蔵して保存する生活技術が昔からあった。恩納村の上原安房さんは、今もその方法で天然ひじきを加工・販売している。

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 上原さんのひじきが詰まったビニール袋の口を開くと、えもいわれぬ磯の強い香りがプーンと立ち上る。このひじき、まるで佃煮のように黒光りしている。ところどころに塩の結晶が。

 加熱塩蔵するのは、暑い沖縄の常温下で1年以上腐敗させないようにするため。上原さんは、採取したひじきを4台の大鍋で煮る。「5時間炊くんですよ」と上原さん。

 大鍋の下からごろごろと松の薪が顔を出している。薪なら1000度以上の温度にすることもできるが、ガスで同じことをやったら経費がかさんで引き合わないという。松は、近年のマツクイムシの被害であちこちに倒れているから、薪の調達に困ることはない。

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 なぜ5時間も? 一つは海水の水分をしっかり飛ばすため。いま一つは、5時間加熱することで、ひじきを柔らかくするためだ。上原さんのひじきは、15分ほど水で塩抜きした後は、再加熱しなくても、そのまま和えものにしたり、サラダに入れて食べられる。

 上原さんのひじきが黒光りしてまるで佃煮のようだ、と初めに思ったのも、あながちハズレではないのかもしれない。佃煮のように味付けしているわけではないが、塩とともに5時間煮込んであるのだから、見た感じが佃煮のようになっているのはむしろ当然なのだ。

 それにしても、保存するためだけではなく、ちょっと塩抜きしさえすればすぐに食べられるようになっているところが、この伝統技術のミソ。

 小泉武夫教授は、かつおぶしについて、質のよいダシが短時間でとれるよう、あらかじめ手間ひまかけて加工されたものであることに着目している。たんに保存性を高めるだけでなく、使う時にサッと使えるように加工してあるという意味では、この加熱塩蔵ひじきも全く同じ発想といえるだろう。

 沖縄の海岸で天然ひじきが採れるのは1月から4月くらいまで。上原さんは恩納村からうるま市などの海岸まで遠征して、天然のひじきを採取している。干潮時に岩場に残っているひじきを集めていく。「3月3日までは、昼の干潮だと完全に潮が引かないので、夜中の干潮時を狙うんです」。家族総出で夜中に出かけていき、最干潮時の前後2時間で一気に採取するという。
 
 塩蔵の状態では黒光りしている上原さんのひじきも、約15分、水につけて塩抜きすると、元の姿に近い色や形に戻る。その後は、煮付けでも、サラダでもOK。沖縄では、野菜ちゃんぷるーなどのいためものにもよく入れる。

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 塩抜きの時間を少し短くすると、うっすら塩気と磯の香りの残った状態が得られる。これに酢を少したらして、そのまま食べるとなかなかうまい。磯の香りが楽しめる。もの足りなければ、酢醤油やフレンチドレッシングをちょいと足してもいい。乾物のひじきには乾物特有のクセが少しあるが、加熱塩蔵のひじきにはそれがなく、薄い味付けでも食べられる。

 ひじきはカルシウム、鉄分、食物繊維の宝庫。カルシウムは牛乳の13倍、鉄分はホウレンソウの15倍、食物繊維はゴボウの5倍などと言われる。クセのない味なので、それこそサラダや和えものにしてどんどん食べたいヘルシー食品だ。

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 上原さんの天然ひじきは、恩納村のおんなの駅「なかゆくい」や、JAファーマーズマーケット「ちゃんぷるー市場」などで売っている。300g入り300円。「なかゆくい」は恩納村字仲泊1656-9、098-964-1188。「ちゃんぷるー市場」は沖縄市登川2699、098-894-2215。

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