護佐丸
2014年02月04日
与並本の引用、終わりにします
今回は、ごめんなさい、をお伝えする記事です。
与並岳生さんの歴史小説『琉球王女・百十踏揚(ももとふみあがり)』をテキストにした勝連城歴史ロマンが、すっかり止まってしまっています。続きが書けないものかと考えていたのですがー。残念ながら「これ以上は無理」という結論になりました。

前回、「渦巻く思惑」と題して、尚泰久(しょう・たいきゅう)王妃、つまり百十踏揚の母ですが、この王妃没後の護佐丸(ごさまる)、阿摩和利(あまわり)、金丸(かなまる)、尚泰久王らの変化を綴りました。
与並さんの著書では、この後、いよいよ、阿摩和利を大将とする首里軍の護佐丸討伐が描かれます。
この本の真骨頂は、いくさの活写というよりも、最終的にそうした行動をとらざるをえなくなるまでの各登場人物の心理を、驚くほど精緻に描いているところにあります。それは息詰まるような思惑や、思い込み、思い違いの交錯です。
第4回までで紹介した後について、もし書くとなると、この息詰る心理の交錯にどうしてももろに触れざるをえなくなってしまいます。
しかもー
実は、与並さんは、この小説で、登場人物の人間関係に、重大なある「設定」を埋め込んでいます。
第4回以降の部分では、この設定が物語の各所に現れ、登場人物の心理や行動を大きく左右するようになってきます。つまり、これ以上、内容を紹介すると、手品の種明かしをするようなことに、どうしてもなってしまうんです。
というわけで、このブログ読者のみなさんには大変申し訳ないのですが、この本をテキストにした勝連城歴史ロマンの紹介は、前回までで終わりにすることにしました。
ゾクゾクするようなこの後の物語を楽しんでいただくには、与並さんの本をぜひお読み下さい。文字通り、手に汗握る展開が待っていますよ。
本は、沖縄県内各書店やももと庵のほか、e-honなどでも買えます。
あまりに面白くて、読み出したら止められなくなり、他のことが手につきません。仕事が忙しい時期や試験前に読み始めるのはやめておいた方がいいかも、です。
勝連城の歴史ロマンについては、改めて別の形で紹介していきますので、どうぞお楽しみに。
与並岳生さんの歴史小説『琉球王女・百十踏揚(ももとふみあがり)』をテキストにした勝連城歴史ロマンが、すっかり止まってしまっています。続きが書けないものかと考えていたのですがー。残念ながら「これ以上は無理」という結論になりました。

前回、「渦巻く思惑」と題して、尚泰久(しょう・たいきゅう)王妃、つまり百十踏揚の母ですが、この王妃没後の護佐丸(ごさまる)、阿摩和利(あまわり)、金丸(かなまる)、尚泰久王らの変化を綴りました。
与並さんの著書では、この後、いよいよ、阿摩和利を大将とする首里軍の護佐丸討伐が描かれます。
この本の真骨頂は、いくさの活写というよりも、最終的にそうした行動をとらざるをえなくなるまでの各登場人物の心理を、驚くほど精緻に描いているところにあります。それは息詰まるような思惑や、思い込み、思い違いの交錯です。
第4回までで紹介した後について、もし書くとなると、この息詰る心理の交錯にどうしてももろに触れざるをえなくなってしまいます。
しかもー
実は、与並さんは、この小説で、登場人物の人間関係に、重大なある「設定」を埋め込んでいます。
第4回以降の部分では、この設定が物語の各所に現れ、登場人物の心理や行動を大きく左右するようになってきます。つまり、これ以上、内容を紹介すると、手品の種明かしをするようなことに、どうしてもなってしまうんです。
というわけで、このブログ読者のみなさんには大変申し訳ないのですが、この本をテキストにした勝連城歴史ロマンの紹介は、前回までで終わりにすることにしました。
ゾクゾクするようなこの後の物語を楽しんでいただくには、与並さんの本をぜひお読み下さい。文字通り、手に汗握る展開が待っていますよ。
本は、沖縄県内各書店やももと庵のほか、e-honなどでも買えます。
あまりに面白くて、読み出したら止められなくなり、他のことが手につきません。仕事が忙しい時期や試験前に読み始めるのはやめておいた方がいいかも、です。
勝連城の歴史ロマンについては、改めて別の形で紹介していきますので、どうぞお楽しみに。
2013年12月15日
渦巻く思惑
しばらく間が空いてしまいましたが、勝連城歴史ロマンの第4回をお届けします。これまで同様、テキストは与並岳生「琉球王女・百十踏揚」。引用を許可して下さった与並さんに御礼申し上げます。

勝連を抑えて平和を保ちたいという父、尚泰久(しょう・たいきゅう)王の意向により、勝連城主の阿摩和利(あまわり)に嫁いだ王女・百十踏揚(ももと・ふみあがり)。
首里に弓引くやもしれぬと悪いうわさばかりだった阿摩和利に、戦々恐々の思いで輿入れした百十踏揚でした。が、思いがけぬ阿摩和利の優しさ、誠実さに包まれて、しばし、平穏で幸せな日々を送ることができました。
しかしー。歴史の歯車は密かに回っていたのです。
1457年。尚泰久王妃、つまり百十踏揚の母が病死します。その百日の喪が明ける頃になると、微妙な変化が現れました。
側室が継妃となり、亡くなった王妃の父、つまり尚泰久王の岳父だった中城(なかぐすく)の護佐丸(ごさまる)と王との間にすきま風が流れ始めます。体調不良を理由に、護佐丸の王朝行事への欠席が続くようになりました。
尚泰久王には懐刀と呼べる有能な部下がいました。その名は金丸(かなまる)。金丸は伊是名島出身の流れ者で、実力のみでのし上がってきた能吏でした。
しかし、金丸は護佐丸から煙たがられていました。王の岳父で天下一の武将と讃えられた護佐丸が本気になれば、王の懐刀として国政を取り仕切る金丸といえども排除される可能性があることを、金丸は非常に恐れていました。
王妃が亡り、首里に現れなくなった護佐丸について、金丸は密偵から情報を得ます。中城城で軍事訓練を強化したり、他の按司たちと連絡をとり合っているというのです。
護佐丸が謀反を企んでいるー。もし護佐丸が勝連の阿摩和利に声をかけて連合が成立したら、首里といえども危ない。そうなれば自分は真っ先に血祭りに上げられるだろう。

急がねばならぬー。金丸は、阿摩和利を密かに首里に呼び、護佐丸謀反の読みを伝えます。
まさか、と絶句する阿摩和利に、たたみかけるように、金丸は根拠を挙げます。王朝行事への欠席続き、軍事訓練の強化、娘の王妃が亡き後、側室が継妃となったこと、尚泰久王に対する批判の言辞が伝わってくること、などなど。
金丸は尚泰久王にも同様の見方を伝えます。当初は、護佐丸による排除を恐れている金丸の讒言ではないか、と疑っていた尚泰久王でしたが、理路整然とした金丸の説明に次第に説得されていきます。
阿摩和利を使って護佐丸を討つー。金丸の思惑が、こうして次第に現実味を帯びてきました。

勝連を抑えて平和を保ちたいという父、尚泰久(しょう・たいきゅう)王の意向により、勝連城主の阿摩和利(あまわり)に嫁いだ王女・百十踏揚(ももと・ふみあがり)。
首里に弓引くやもしれぬと悪いうわさばかりだった阿摩和利に、戦々恐々の思いで輿入れした百十踏揚でした。が、思いがけぬ阿摩和利の優しさ、誠実さに包まれて、しばし、平穏で幸せな日々を送ることができました。
しかしー。歴史の歯車は密かに回っていたのです。
1457年。尚泰久王妃、つまり百十踏揚の母が病死します。その百日の喪が明ける頃になると、微妙な変化が現れました。
側室が継妃となり、亡くなった王妃の父、つまり尚泰久王の岳父だった中城(なかぐすく)の護佐丸(ごさまる)と王との間にすきま風が流れ始めます。体調不良を理由に、護佐丸の王朝行事への欠席が続くようになりました。
尚泰久王には懐刀と呼べる有能な部下がいました。その名は金丸(かなまる)。金丸は伊是名島出身の流れ者で、実力のみでのし上がってきた能吏でした。
しかし、金丸は護佐丸から煙たがられていました。王の岳父で天下一の武将と讃えられた護佐丸が本気になれば、王の懐刀として国政を取り仕切る金丸といえども排除される可能性があることを、金丸は非常に恐れていました。
王妃が亡り、首里に現れなくなった護佐丸について、金丸は密偵から情報を得ます。中城城で軍事訓練を強化したり、他の按司たちと連絡をとり合っているというのです。
護佐丸が謀反を企んでいるー。もし護佐丸が勝連の阿摩和利に声をかけて連合が成立したら、首里といえども危ない。そうなれば自分は真っ先に血祭りに上げられるだろう。

急がねばならぬー。金丸は、阿摩和利を密かに首里に呼び、護佐丸謀反の読みを伝えます。
まさか、と絶句する阿摩和利に、たたみかけるように、金丸は根拠を挙げます。王朝行事への欠席続き、軍事訓練の強化、娘の王妃が亡き後、側室が継妃となったこと、尚泰久王に対する批判の言辞が伝わってくること、などなど。
金丸は尚泰久王にも同様の見方を伝えます。当初は、護佐丸による排除を恐れている金丸の讒言ではないか、と疑っていた尚泰久王でしたが、理路整然とした金丸の説明に次第に説得されていきます。
阿摩和利を使って護佐丸を討つー。金丸の思惑が、こうして次第に現実味を帯びてきました。