豚三枚肉

2007年08月23日

[第8話 食] 旧盆料理の主役、豚三枚肉煮付け

 沖縄の豚三枚肉料理と言えばラフテーがすっかり有名になっているが、実は沖縄県民はラフテーをそれほどひんぱんに食べているわけではない。むしろ県民がよく口にするのは「豚三枚肉の煮付け」。ラフテーも豚三枚肉を甘辛味で煮付けたものだが、「豚三枚肉の煮付け」はラフテーとは別物だ(下の写真は「豚三枚肉の煮付け」)。

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 ラフテーは皮付き三枚肉をトロトロになるまで煮込んだ宮廷料理。「箸で切れるくらい」の柔らかさになるまで数時間煮る。当然、歩留まりは悪くなるから、ぜいたくな料理と言える。

 これに対して「豚三枚肉の煮付け」は、旧盆、旧正月、法事などの時にほぼ必ず作られる庶民の伝統的な行事食。ラフテーより調理時間が短く、赤身はまだしっかりしており、歯ごたえがある。ごはんによく合う。重箱に詰める行事食なので、冷めてから食べても結構おいしい。

 沖縄を代表する料理研究家、松本嘉代子さんに、三枚肉煮付けを作るコツを聞いた。まず皮付き三枚肉を固まりのまま50分ほど下ゆでする。これでアクや余分な脂が抜け、皮も柔らかくなる。これを約8mmの幅に切る。

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 煮汁は醤油、砂糖、泡盛で作る。みりんは肉を堅くするので入れない。この煮汁の中で、下ゆでした肉を弱火で12、3分静かに煮ふくめる。仕上げに火を強めると、照りがつく。

 お盆や正月、法事の伝統行事の重箱に入るのは、三枚肉の煮付けのほか、昆布の煮付け、かまぼこ、天ぷら、揚げ豆腐、ごぼうの煮付け、こんにゃくの煮付けなど。旧盆に仏壇のある家を回ると、1人前の料理が小皿に盛りつけられて出されることが多い。

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 重箱の中身、つまり小皿の上は、どの行事でもほぼ同じ顔ぶれだ。行事の多い沖縄ではこれを年に3、4回は食べることになる。

 「行事食というのは本来そういうものなんです。でも、おいしければ子供たちも喜んで食べますよ。子供が伝統料理を食べないなどといわれますが、あれは大人が食べさせていないだけなんです」と松本さん。

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 確かに、同じものでも、おいしいものは毎回おいしい。行事のたびに行事料理に黙々とパクついている子供たちは必ずいる。

 中でも、適度な柔らかさと歯ごたえを備えた味くーたーの豚三枚肉煮付けは、やはり行事食の主役。ごちそう、である。

 ことしの旧盆は8月25日がウンケー(お迎え)で8月27日がウークイ(お送り)。家族が仏前に集まって重箱をお供えし、祖先の霊と向き合う沖縄最大の行事だ。各家とも入念に準備する。スーパーの折り込みチラシにもいよいよ力が入ってきた。

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 企業も役所も、この3日間ばかりは動きが超スローになる。観光は問題ないが、ビジネスのアポは入れない方がよさそうだ。あの世からのお客さんの相手で、県民はかなり忙しい。

bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote