那覇

2009年02月12日

[第101話 食] 無垢の粉もん カタハランブー

 第81話で紹介した「沖縄の天ぷら=粉もん」説を裏書きする話題を今回はお届けしよう。カタハランブーのお話。

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 那覇や南部を中心に、正月や結納など、さまざまなお祝いの席で食べられるお菓子の一つがカタハランブー。名前を分解すると、カタハラ+ンブーで「片方」が「重い」。写真で見ての通り、片方だけが膨らんでいて重たい。

 小麦粉を水またはダシ汁で溶き、塩味をつけただけのものなので、甘味はない。生地以外は何も入らない無垢の粉もん。薄い部分はパリパリしていて揚げせんべいのよう、厚い部分は、固めのパンのような味わいだ。もぐもぐ噛んでいると口の中でうまみがじわっと立ち上がってくる。油で揚げられた小麦粉生地は、それだけで素朴なおいしさがある。

 このカタハランブー、どうやって作るのか。那覇・牧志の公設市場近くに店を構えて40年以上になる呉屋天ぷら屋で作るところを見た。この店は、幅1mほどの狭い路地に小さな店を構えているが、この世界では有名店。NHKドラマ「ちゅらさん」の結納シーンで使われたカタハランブーもここが納品した。

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 柔らかい生地を、フライヤーの手前の斜面部分の鍋肌から静かに流していく。生地は水分が多くて柔らかいので、そのままタラーっと流れ落ちていき、先頭部分が油の中に入る。そこが油の高温で揚げられ、重い方になる。鍋肌に残った薄い生地には、すくった油を上からかけて火を通す。形が定まったら、鍋肌からはずし、仕上げに全体を油に入れてよく揚げる。

 生地が流れて油の中に入ったとたん、油の圧力と熱で流下のスピードが鈍り、そこでたまった生地が固まる。その結果、「カタハラ」が「ンブー」になる。生地の濃さや油の温度、流す鍋肌の角度によって、出来具合いがずいぶん違ってきそうだ。

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 「これは誰彼でもできるものではないよ」と早口で話すのは、店主の呉屋カヅ子さん。きれいに作るには技術がいる。生地を寝かす時間なども粘りに影響しそうだ。「今は上等のフライヤーがあるから楽になったけど、昔はシンメー鍋でやってたから」と呉屋さん。シンメー鍋は、大量のものを煮炊きするのに使う大鍋。その鍋肌で生地を流したということだろう。シンメー鍋は、第32話「巨大ヤマイモはこうして食べる」の5枚目の写真がそれ。

 呉屋天ぷら屋は、カタハランブー以外にもサーターアンダギーや、同様にお祝いに使う濃いピンク色のマチカジを作る。おやつの定番、魚天ぷらやイモ天ぷらも。とても小さな店だが、実績は堂々たるもので、県内のホテルからも結婚式用に注文が来る。サーターアンダーギーは本土出荷も多いという。

 中年の女性2人連れが呉屋てんぷら屋でイモ天ぷらを買い求め、そのまま店先で食べ始めた。「お昼を食べなかったから。おいしい」と笑顔。寒気の中で、2つに割った揚げたてのイモ天ぷらから湯気がすーっと立ち上る。「カタハランブーは家でもよく作りますよ。お祝いの席に出して、食べる時にはいくつかに切り分けて食べるんです」と解説しながら、「はい」とイモ天を分けてくれた。

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 既にお気づきの読者もいるだろうが、第81話で紹介した奥武島のテルちゃん鮮魚店が作る「海ぶどうと干しえびの天ぷら」の原型は、カタハランブーではないか。あの天ぷらから、海ぶどうと干しえびを取り除けば、まさにカタハランブー。ただし、あちらのは厚い部分がもっと多く、ンブーなのが必ずしもカタハラではないが。

 呉屋天ぷら屋は、那覇市松尾2-11-8、098-868-8782、ほとんど無休。カタハランブーは1つ130円。1つを1人で食べたら、1食分になるボリュームだ。サーターアンダギーは、普通サイズが50円、直径10cm近い特大は150円。

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 場所は、牧志の公設市場の南側にある「松尾二丁目中央市場」の路地の中だが、数ヶ月後に移転する。現在借りている建物の取り壊しに伴う移転で、今の場所の近くだそうだが、呉屋さん自身もまだ正確な移転先がよく分からないらしい。今の場所もかなり分かりにくいが、移転後は、近くで聞きながら探すしかなさそうだ。

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2008年12月14日

[第91話 食、沖縄] とっても沖縄的な洋食店

 赤瓦の民家でワインと洋食を出す店が那覇にあると聞いて、出かけた。泉崎の県庁から少し北に行った住宅街の一角。雑然とした緑の中に赤瓦が見えた。

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 店名は「食堂ぬーじボンボン」。ウチナーグチで、ぬーじは虹、ボンボンはてんとう虫のこと。店主の奥間朝樹さんは、やんばる東村の出身で、名古屋のレストランで修業した経歴を持つ。

 もともとは全くの民家だった。今は店向けに改装されているが、玄関や床の間はほぼそのままの風情だし、座敷の机の横の本棚には「ルパン三世」などが置かれていて、まるで自宅の居間でごはんを食べているような気分になる。

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 つい最近まで、沖縄の食堂には、こんな感じの店が多かった。赤瓦のことではない。店内にどこか生活の臭いがするのだ。例えば第14話で紹介した那覇・東町の山海には少し前は子供用の学習机があったりした。ぬーじボンボンは人が住んでいるわけではないが、この本棚の周囲には生活の空気がかすかに漂う。

 ぬーじボンボンの建物の外には、雑草や雑木の豊かな緑が繁茂する。あまり造り込まれていないところが、沖縄の普通の民家っぽさに拍車をかけている。

 「この近所の出身のお客様で、子供の頃、この家が友達の家だったのでよく遊びにきたよ、と言われた方がいました」と奥間さんが話す。

 建物や空気だけではない。メニューも沖縄的。むろん、ここは沖縄料理の店ではなく、洋食店なのだが、イタリアンとかフレンチといった定義にはあまりこだわらない。ピザやパスタ類が充実していることがら考えれば、イタリアンのようではあるが、例えば「揚げなすとみょうがと水菜のサラダ自家製しょうがドレッシング」がイタリアンかどうかは微妙。要は、奥間さんのセンスと手に入る素材で自由に作っているのだ。

 飲み物もさまざま。中心に位置するワインは、種類はワインバーのようには多くないが、フレンチばかりでなく、アルゼンチンワインあたりにも目配りしていて面白い。ハードリカーは、泡盛からバーボンまで何でもあるし、カクテルもたくさんあって楽しい。

 この自由さ、そして肩の力が抜けた感じ―。何とも沖縄らしい。

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 この日はランチタイムだったので、850円のランチをいただいた。前菜がプレートに盛り合わせで登場した。水菜などにかかっているのが前述の「自家製しょうがドレッシング」。しょうがの香りがきいていて素晴しくおいしい。ほかに野菜のフリットと鶏レバーのペースト。

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 コーンポタージュスープの後のメインは、看板メニューの一つでもある「大人の男のための本格ハンバーグステーキ」。ソースは、ワインの香りとフォンドボーのうまみが際立ち、ごはんによく合う。ハンバーグにソースをしっかりつけて口に入れ、同時にごはんをほおばる。うまい。後はひたすら、ハンバーグとごはんを交互に口に運ぶ。「食堂」の醍醐味を満喫しながら、やがてお腹いっぱいに。

 ぬーじボンボンは那覇市楚辺276、098-832-8415。県庁方面から進んだら、泉崎りうぼうを左手に見て、向かいのファミリーマートを右に入ってすぐ左側。火曜休み。昼は11:30-14:30、夜は18:00-23:30。

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2008年11月26日

[第88話 食] じーまーみ豆腐の決定版

 沖縄の食べ物で隠れた人気を誇るのが、じーまーみ豆腐。県民にも観光客にも好きな人が多いらしく、どこのスーパーにも定番で売っているし、観光客がたくさん入る沖縄料理店のメニューにも載っていることが多い。那覇の市場で、とびきりおいしいじーまーみ豆腐を見つけた。

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 じーまーみ豆腐の「じーまーみ」は地豆(じまめ)、つまりラッカセイのこと。ラッカセイは地中に実がつくので、そう呼ばれる。英語ではピーナッツだが、グラウンドナッツとも呼ばれる。グラウンドは地面のことだから、グラウンドナッツは和訳すればまさに「地豆=じーまーみ」。

 ラッカセイを水につけてふやかした後に、水とともにミキサーにかけて漉し、豆乳のような白い液に甘藷でんぷんを加えて加熱し、よく練ったものを冷やして固めたのが、じーまーみ豆腐。

 万鐘本店では、読者からのリクエストもあり、かねてからじーまーみ豆腐を紹介したいと考えて、あちこちで探索を続けていた。だが、これはうまい、とはっきり思えるものになかなか出会えなかった。一言で言えば、スーパーのじーまーみ豆腐も、専門店のそれも、コクと香りに欠けるものが多かった。

 出会いは突然やってきた。那覇は新天地市場の本通り。たまたま前を通りかかった店にじーまーみ豆腐がたくさん積んであった。1つ140円、とある。試しに食べてみて驚いた。じーまーみの香りがはっきりと鼻に抜ける。あー、これこれ、この香り―。もぐもぐして飲み込んだ後、舌にはじーまーみの甘さがしっかり残った。うまい。

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 店の名は「商六」。店を切り盛りするのは花城リエ子さんとつうこさん姉妹。商いをしていたお母さんには6人の子供がいたので、こういう店名にした。

 さっそく、じーまーみ豆腐のうんちくを尋ねたが、気さくな姉妹の明るい笑顔から出てくる言葉は「わかりません」。うーむ、ガードが固いのかなあ、と思っていたら、ひとつだけコツを教えてくれた。「うちのじーまーみ豆腐は、豆をたくさん使っています」

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 なるほど。他店のものより味も香りも濃いのは、ラッカセイをケチらずにたっぷり使うからなのだ。ミキサーにかける際に水の量を少なめにして「濃い豆乳」を作るのだろうか。ともあれ、この味と香りは、小技ではなく、堂々たる大技から生まれているのだった。第78話で紹介した「アヒル肉をたっぷり使うからうまいアヒル汁」とよく似ている。

 じーまーみ豆腐を食べる時には、甘い味のたれをかけることが多い。商六のじーまーみ豆腐にも甘いたれがついてくる。が、まずは何もかけずに一口、食べてみてほしい。ラッカセイのしっかりした香りと甘味が堪能できる。その後はたれをかけて食べるもよし、ごま豆腐を食べる時のようにわさび醤油で食べるもよし。甘いたれもわさび醤油も強いので、ラッカセイの味や香りはベースに回ることになるが、それはそれでまたうまい。

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 ラッカセイは、豚肉並みのビタミンB1、B6を含む。脂質ではオレイン酸とリノール酸が多い。栄養豊富。じーまーみ豆腐は、献立の副菜にもなるし、おやつにもなる。

 商六は那覇市牧志3-4-1、新天地市場本通り、098-862-8816。サンライズ通り側からなら、新天地市場本通りの入り口から少し入った右手に見える。営業は09:30-19:00、「ほぼ」無休だが、用事が入ると休むこともあります、とのこと。電話で確認してから行こう。

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2008年06月29日

[第63話 食] 沖縄素材を珠玉の和小鉢に

 沖縄には、沖縄料理以外に、フレンチ、イタリアンはもちろん、中華、インド、タイ、フィリピン、南米各国と、さまざまな料理を出す店がひしめいている。そんな中で和食の店も負けてはいない。今回は沖縄素材を珠玉の小鉢に仕立てる那覇市の割烹あらやをご紹介。

 あらやの料理長は屋良敦(やら・あつし)さん。当万鐘本店第37話で魚のマース煮の作り方の手ほどきをしていただいた和の職人だ。屋良さんの手にかかると、沖縄のさまざまな素材が美しい和の一品になる。いちょうの大きなまな板で屋良さんが手際よく小鉢を作っていく姿をカウンターごしに眺めるのも楽しい。

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 まず、ハンダマの梅酢あえ。沖縄の家庭菜園でよく見かけるハンダマ。表が緑、裏が紫の葉で、紫の色素はアントシアニンが豊富だ。和名はスイゼンジナまたはキンジソウ。これをだしで軽く煮びたしにしたものに梅酢を加え、ミョウガとかつおぶしをのせた。

 ハンダマのシャキシャキした歯ごたえを楽しみながら、梅酢で引き出された赤紫色の美しさを目でも味わう一品。味と香りのアクセント役を務めるミョウガは沖縄県産。ミョウガが沖縄県内で生産され始めたのは比較的最近だが、既にすっかり定着した。


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 鶏肝とセロリのからし味噌あえ。セロリも沖縄県内の各地で作られている。文字通り濃厚な味わいの鶏肝と、強い香りのセロリ。特に沖縄の強い日差しの下で育ったセロリは一段と鮮烈な香りがする。

 この強い2つをつないでまとめきれるのは、圧倒的な強さを持つ味噌くらいのものかもしれない。そこにからしが加わることで、肝や味噌のもたつきがちな味がキュッと引き締められる。

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 一転してさわやか系のジャガイモのそうめん。かつらむきにしたジャガイモを細切りにして軽くゆがき、だしで食す。トッピングのミニトマトは色どりだけでなく、酸味とうまみがだしの味に奥行きを与える。この夜のジャガイモは沖縄県産だった。宜野座村をはじめ、ジャガイモを生産している地域は沖縄県内にもかなりある。

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 最後に常連客に人気のカニしんじょ。カニの身を白身の魚のすり身に混ぜてしんじょを作り、湯葉でつつんだ。カニはガサミなどワタリガニの仲間が多く、こうした県産カニが手に入る時はそれで作る。アクセントはもみじおろし。

 「素材をながめていると、アイデアがいろいろ浮かんできます」と屋良さん。あえたり、ゆがいたり、しんじょのように手をかけて準備したり、と手順はさまざまだが、どれも素材の味と香りを生かすという和のセンスにあふれている。

 小鉢ばかりでなく、刺身、焼き物、煮物、天ぷらといった和食の定番の仕上がり具合も見事。お任せで小鉢を3、4つ楽しんでから、おなかの具合と相談しながら、魚を焼いてもらうもよし、野菜の炊き合わせを味わうもよし。

 料理が盛られる皿や鉢、酒器が面白い。沖縄県内で焼かれている陶器を中心に、作家もので固めている。沖縄伝統の壺屋焼ではなく、ニューウェーブの県内作家の作品が多い。もちろん、和の空間にしっくりはまるものばかり。焼き物好きにとっては、器だけでも十分楽しめるだろう。

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 あらやは那覇市松山1-6-17、電話098-860-9004。営業は18:00―24:00。日曜休み。飲んで食べて1人5000ー6000円くらい。

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2008年05月30日

[第58話 食] 上原慶子さんのムジどっさり汁

 ターンム(田芋)は 沖縄の伝統行事には欠かせない食材で、旧盆や清明といった行事が近くなると、今でもスーパーの棚にちゃんと並ぶ。ターンムそのものは別の機会に取り上げるとして、今回はターンムの茎「ムジ」のお話。

 まずはこの写真をご覧あれ。これほどムジがどっさり入ったムジ汁も珍しい。ムジ好きにはこたえられない一品。ムジ料理を専門にしている「万富(まんぷ)」の看板料理だ。

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 沖縄ではかつて、ムジはもっと身近な食材だった。ターンムと豚肉、カマボコなどを練り合わせたドゥルワカシーには必ずムジが入るし、みそ仕立てのムジ汁も祝い事などで定番の一つだったという。だが、なぜか最近はあまり流通していない。

 「なぜか」と書いたのは、地下にできるターンムはスーパーでいくらでも手に入るのに、地上部の茎だけが食べられなくなったのは不思議だから。ターンムはゆでられた状態で売られているので、そこからディンガクを作るなり、油でカリッと揚げるなりするのは簡単。一方、ムジは皮をむいて、アクも抜いて、と下処理に手間がかかる。これがイモは生き残り、ムジだけが消えかかっている理由の一つかもしれない。 

 万富を経営する上原慶子さんも、メニューの主役であるムジの確保に苦労している。ターンムを栽培する場所は田んぼ。田んぼのある宜野湾市や金武町など、限られた場所でしか作られていないため、十分な量を安定して確保することがなかなか難しい。このため、ムジ汁よりも多くのムジを使う「ムジいため」はメニューからはずさざるをえなかったという。

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 そんなに入手しにくいのに、こんなにたくさんのムジをムジ汁に入れて大丈夫かな、と心配になってしまう。「みなさん、ムジが食べたくてウチに来るんですから、ムジ汁のムジだけはたっぷり入れているんです」と慶子さん。大らかでケチケチしない沖縄アンマーの面目躍如。材料供給をさらに安定させるため、水田でなく、畑でもターンムが栽培できるという話を聞いた慶子さんは、ふるさとの今帰仁で親戚に頼んで栽培実験を始めた、と語る。

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 ムジ汁のだしは豚骨と鶏ガラ、かつおぶしで。慶子さんの話では、ムジからはうま味はあまり出ないので、だしはしっかりとっておかないとムジ汁がおいしくならない。これに、皮をむき、アクぬきをしたムジと豆腐を加え、味噌を溶く。味噌についても、試行錯誤しながら、合わせ味噌の気に入った配合を決めていった。
 
 「体によいものを作りたいんです」という慶子さんは、ムジ以外にも細かな気配りをみせる。例えば、600円のムジ汁定食には、大ぶりの椀に入ったムジ汁にごはんと小さな野菜いためがついているが、この野菜いためを作る際には、サラダ油ではなく、高価なココナツ油を使っている。ココナツ油は酸化しにくく、胃にももたれない。「肌にすり込んでも、すーっと染み込んでいくんですよ」と慶子さん。

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 万富は、ローカル市場の香りあふれる那覇市安里の栄町市場の中にある。周囲の駐車場に車を停めて、どの入り口からでもいいから栄町市場の中に入り、「ムジ汁の店はどこですか」と聞けば、だれでも場所を教えてくれる。

 万富は那覇市安里379、電話887-4658。営業時間は11:00-19:00。日曜休み。

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2008年04月06日

[第49話 沖縄、南] ANA那覇ハブ(下) 沖縄に何が起きるか

 前回、説明したように、那覇空港が貨物ハブになれば、ANA全日空が東京や関西を含むアジア各地で集荷したすべての荷物は那覇に集まってきて、那覇空港で積み替えられ、那覇からアジア各地に出て行くことになる。

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 全日空がアジア各地とハブとの時間距離を「4時間」としたのは、前回説明した通りだが、それには理由がある。アジア各地から那覇行きの貨物便が出るのは、その日の集荷が終わった夜9時頃。4時間圏なら午前1時頃には那覇に着く。そこで2時間で積み替え作業をすれば、午前3時に那覇を出発でき、4時間飛んで午前7時には目的地に到着する。つまり4時間圏内ならば、前日に集荷したものが、人々が寝ている間に那覇経由で運ばれて、翌朝には目的地に着くから「差し出し日の翌日配達」が可能になる。それより遠いと、こうしたスピード輸送は難しい。

 この仕組みで最も有利な立場を享受できるのが沖縄になることは言うまでもない。沖縄以外のアジア各地発着の荷は、「沖縄まで」と「沖縄から」の2区間を動かす必要があるが、沖縄だけは発も着も1区間で済むからだ。料金体系は未定だが、1区間分なら安くなる可能性は十分あるし、少なくとも運ぶのにかかる時間は、沖縄だけが半分になる。アジア各地に商品を販売する場合はもちろんのこと、原材料などの買い付けをアジア各地からする場合も、沖縄にいれば、どの地域との間でもいち早く荷をやり取りすることが可能だ。

 例えば、沖縄のメーカーが現在は東京市場にしか出していなくても、このハブができたら香港市場や上海市場も、少なくとも物流の観点からは同じ位置づけのターゲットになりうる。あるいは、同じメリットを享受しようと、現在、羽田から荷を出している関東の業者が、那覇に製造拠点を移したり、新設することも十分考えられる。

 こんなケースもあるかもしれない。現在は日本国内3カ所の工場で同じ品を製造し、それぞれ近くの空港からアジアの3地域に輸出しているとする。単線方式の輸送システムしかなければそれでいいかもしれないが、那覇貨物ハブが使えるようになったら、製造拠点を沖縄1カ所に統合してコストを削減すれば競争力が高まる。写真は、各種優遇制度が用意されている沖縄特別自由貿易地域(うるま市州崎)。

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「ワンストップショッピング、ということですね」。全日空でこの事業を担当する貨物本部の清水良浩さんは、那覇1カ所からアジアの数多くの地域に荷を出せるメリットをそう表現する。ワンストップショッピングとは、多種類の欲しいものが1カ所で買えること。相手が広州だろうが、ソウルだろうが、大阪だろうが、沖縄1カ所でアジアのどこととも取り引きできるというわけだ。

 となれば、アジア各地への航空貨物輸出を前提とする企業は、沖縄に拠点を置くことを真剣に検討する必要があるのではないか。

 日本国内各地とのネットワークについては、全日空の場合、貨物専用便以外に、那覇発着の旅客便を併用できるのが強み。4月現在で東京、大阪が毎日片道9便ずつあるのをはじめとして、13の本土各都市との間に旅客の直行便を飛ばしている。写真は那覇空港でポケモンジェットに積み込まれる荷物。

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 航空貨物輸送向けの商品だから、重厚長大よりも、小さくて付加価値の高いものが向く。例えば、機械類ならその全体ではなく、中核部品だけといったように。それだけで勝負するとなれば、おのずとより高度な技術やずば抜けた品質が求められることになるが、逆にそういう世界なら、一点突破のベンチャーが沖縄に進出できる可能性もありそうだ。

 いま、航空貨物で実際にどんな品物が運ばれているのだろうか。交通関連が専門の米国コンサルティング会社マージグローバルの資料によると、2005年にアジア発アジア行きで運ばれた380万トンの航空貨物の内訳は、コンピューター関連18%、資本財17%、中間材料16%、冷蔵食品10%、一般消費材6%、衣料品4%などとなっている。

 清水さんは「うちは航空貨物輸送のインフラをご提供するわけです。そこに何を載せるかは荷主さん次第。可能性はまさに無限にあると思います」と話す。

 そう、今はもっぱら全日空の動きに注目が集まっているが、那覇貨物ハブが始まってからは、むしろ荷主としてこのインフラを利用することを視野に入れた各企業の企画力や営業力こそが問われる。それは、まずは地元沖縄の企業だろうし、沖縄進出の可能性を検討する日本本土やアジアの企業でもあるだろう。

 ANA那覇空港貨物ハブの開始予定は2009年度下半期。今回の記事を読まれた方の中にも、この1年半、忙しくなる人が出てくるのではないだろうか。

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2008年01月13日

[第35話 沖縄] 沖縄宿の裏技 ウィークリーマンション

 敬老の日や体育の日を月曜日にしたために連休が増え、遠出しやすくなった。そのせいか、連休前後に「那覇のホテルがとれないで困っている」という話を旅行者からよく聞く。そんな時に那覇で快適に泊る裏技をご紹介。

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 多少をお金がかかっても休日気分を、という人には向かないかもしれないが、ビジネスがらみで来る人、プライバシーが守れて安心して泊れれば十分という人なら、ウィークリーマンションをお勧めする。那覇周辺はウィークリーマンションが増えてきたが、その草分け的存在が、県庁近くの泉崎にあるハーバービューマンションだ。

 受付の砂川康成さんによると、ここは週貸しで始めたが、1泊、2泊の短期滞在ニーズにも応えられるようにと、ホテルとしての営業許可も取得した。もちろんホテルではないので、ホテル仕様のフルサービスは受けられない。例えば、ホテルのような立派なロビーやフロントはないし、朝食を食べるところもない。

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 だが、室内には炊飯器やオーブントースター、電子レンジ、ガスコンロなどがあって、鍋類も用意されているから、自炊するのは問題ない。本格的に作らなくても、近くにコンビニやスーパーがあるから、ちょっと温めれば食べられるものを買ってきて、簡単にすませることができる。

 この調理機能をフル活用する手もある。料理好きの家族、グループなら、那覇・牧志の公設市場などで新鮮な魚や肉、島野菜を買ってきて、部屋でワイワイ調理しながら食べれば、好みのアレンジの沖縄料理がお値打ちに楽しめる(調味料類は自分で用意すること)。こういう場所を利用して、沖縄での生鮮食品の買い物と料理を主目的にした旅を企画するのも一興だろう。下の写真は、牧志公設市場1階で売られている色とりどりの魚たち。ちなみに、一番手前が最高級魚のアカジンミーバイ。高いが、刺身で食べたら脱帽のうまさだ。

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 入居時には新しいシーツが敷かれている。滞在中はベッドメーキングが標準サービスになっていないが、あらかじめ希望しておけば1回1000円でやってくれる。4、5日滞在するなら途中で1回やってもらえばいい。

 シングルで17平米、ツインで28平米あるから、よくあるビジネスホテルより広め。シングルで1泊5450円、ツイン2人で1泊7480円。リゾートっぽい雰囲気にこだわらず、こざっぱりした室内で泊れれば十分、という人にはピッタリだ。国際通りや那覇バスターミナルにも近くて便利。ただし、レンタカーを利用する場合、駐車できる台数は限られている。

 1週間以上滞在するなら、天久新都心にもウィークリーマンションがいくつかあるので、そこも同じように利用できる。ハーバービューマンションは那覇市泉崎2-101-3、098-855-8111。ホームページ http://www.okinawa-weekly.com/ からも予約可能。

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