飼料価格

2007年09月07日

[第11話 農] 子豚セリの心理戦

 養豚は、子豚を産ませて育てる繁殖と、子豚から肉豚を育てる肥育の2つの部門に分かれる。繁殖農家が育てた子豚を肥育農家に販売する場の一つが子豚セリ市。沖縄の中部では、月に2回、うるま市豊原の家畜セリ市場で開かれる。多くの養豚関係者が集まるセリは貴重な情報交換の場だ。

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 セリ当日。繁殖農家は子豚を運んできたら、セリ市場の豚房に20頭くらいずつ入れる。少しでも見栄えをよくしようと、セリが始まる直前まで水をかける人も。

 セリの開始は午後1時きっかり。写真右手のセリ人が値段を100円単位でどんどん上げていく。肥育農家の買い付け人は親指や人差し指を立て、自分が買う意思があることを示す。値が上がるにつれ、初めはたくさん上がっていた指が徐々に降ろされていく。

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 セリ上げるスピードが速いので、うっかり指を降ろしそびれると、予定外の高い買い物をするハメになる。指を立てる買い付け人はポーカーフェイスだが、内心はドキドキだ。

 「買い付けゼロというわけにはいかないし。ああ、もう1万4000円を超えてしまったあ...」

 実は、売り手も買い手も顔なじみなので、買い付けのやり方や性格まで含めて、お互いだいたい分かっている。「あの人が頑張り始めたら、勝ち目はない」「あの人がまだ買ってないから、後の方も高くなるな」。そんな読みを、口には一切出さないけれど、みんな内心でやっている。

 最後まで指を下ろさなかった人が落札者。お目当ての房を落とした人は、セリ終了後、ほっとした表情で豚房に自分のトラックをつけ、子豚を積み込んでいく。

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 心理的なかけひきが激しい火花を散らすエキサイティングな子豚セリ。だが、売り手、買い手とも、セリで子豚を売買する人は減りつつある。数年前までセリは月3回行われていたが、現在は月2回。かつては1回の上場頭数が400頭を超すことも珍しくなかったが、最近は200頭を切ることがある。

 いくつかの理由が考えられるが、深刻なのは餌代の高騰による小規模養豚農家の廃業だ。セリの主役は、売り手も買い手も小規模農家なのだが、その数が減ってきている。

 餌の原料は輸入のトウモロコシと大豆かすが中心なので、国際相場の影響をもろに受ける。一昨年くらいからトウモロコシも大豆も価格が急激に上昇し、この数年で餌代は1.5倍以上になった。餌代は生産費の6割強を占めるから、こんな状態では、体力のない小規模農家はとても経営を続けられない。大規模農場でも収益は悪化の一途をたどっている。今後も餌の原料価格が下がる気配はない。

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 万鐘島ぶたの場合は自給飼料が多いので、配合飼料100%の農家に比べれば価格高騰の影響は小さい。だが、原料の安定確保など、課題は多い。何しろ豚はあきれるほどよく食べる。あの激烈な食欲を毎日毎日満たしていくのは大変だ。

 ちょっとだけ食べてどんどん太ってくれたらいいのだが…。そうは問屋が卸さない。


bansyold at 00:00|PermalinkTrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote