香り

2013年07月05日

粘り腰が自慢の豆乳ふるふる

 ももと庵の各種膳には、メインディッシュのほかに、いくつかの小鉢、小皿がついてきます。「豆乳ふるふる」も、その一つ。珍しさとおいしさで、隠れた人気者になっています。

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 豆乳ふるふるは、その名の通り、豆乳にでんぷんを加えて冷やし固めたもの。箸の上で、口の中で、ふるふると独特の粘り腰を見せてくれます。

 沖縄でよく作られているジーマーミ豆腐は、ジーマーミ=地豆=ピーナツで作ります。ビーナツを水に漬けてからミキサーにかけ、豆乳のような状態にします。それにタピオカなどのでんぷんを加え、加熱し、冷やせばできあがり。

 豆乳ふるふるは、ピーナツ豆乳の代わりに、大豆からできる普通の豆乳を使います。大豆には、ピーナツにない独特の甘味とコクがあります。

 豆乳だとゴクンと飲んでしまうわけですが、ふるふるにすれば、口の中でもぐもぐしながら豆乳本来のコクをゆっくり味わい、鼻にぬける豊かな香りを楽しむことができます。

 沖縄は、かつて大豆をたくさん栽培していました。在来品種もあったんですよ。

 沖縄の代表的料理であるチャンプルーも必ず豆腐入り。今も毎日、市場やスーパーで、大きな豆腐がアチコーコー(熱い)のまま売られています。

 そんな島を代表する豆と言える大豆に敬意を表し、新しい食べ方を模索する中で豆乳ふるふるが生まれました。ももと庵オリジナルです。


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2009年02月18日

[第102話 食、農] 鮮烈な香りを楽しむ島ラッキョウ

 沖縄の居酒屋でも家庭でも、あるいは本土の沖縄料理店でも大人気の島ラッキョウ。その島ラッキョウが、やがて旬の季節を迎える。

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 島ラッキョウは夏の終わりに植え付けする。株が分かれてゆっくりゆっくり粒がふくらんでいく。順調にいけば、1粒植えると10粒くらいは収穫できる。ネギの仲間はどれもそうだが、生育に時間がかかることはあまり知られていない。島ラッキョウの場合も7、8カ月を要する。葉の面積が小さいからだろう。

 3月頃が収穫の最盛期。出始めの時季はかなり高い島ラッキョウだが、旬になると30本前後の1束が250―300円まで下がる。

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 島ラッキョウは、沖縄の食の代表選手の一つになりつつあるようだ。東京の沖縄料理店では、つき出しや一品料理として春から初夏までのレギュラーメニューになっていることが多い。沖縄でも、観光客の多い国際通りや那覇空港にはほぼ定番で置かれている。生の束もあれば、真空パックされた塩漬けも見かける。むろん、県民は飲食店でも食べるし、スーパーで生の島ラッキョウを買っては自分で塩漬けにしてよく食べる。

 島ラッキョウの最大の魅力はあの鮮烈な香り。ネギ、ニラ、ニンニク系の香りであることは間違いないのだが、そのいずれとも微妙に違う。味はネギやニンニクほどきつくない。泡盛に実によく合う。島ラッキョウをつまみながら泡盛を飲み始めたら、本当にいくらでも入ってしまう。

 浅漬けで食べるのが最もポピュラー。塩をして1日置けばおいしくなり、3、4日はそのおいしさが持続する。居酒屋で出てくる島ラッキョウの大半はこれ。かつおぶしがかかっていることが多い。

 この、塩だけのシンプルな浅漬け。試みに島ネギでやってみたが、ヘナヘナと柔らかくなりすぎてしまい、食感が今ひとつだった。島ラッキョウなら、塩で柔らかくなっても、シャリシャリした感じが十分に残る。

 沖縄では、たくさん穫れた時には天ぷらも楽しむ。天ぷらにすると、加熱されて香りは弱まるが、その代わりに甘味が引き出される。実際、ラッキョウ天ぷら好きはかなりいる。

 塩漬けよりも、さらに鮮烈な香りをストレートに感じるには、生かじりするのが一番。ネギやニンニクほどきつくはないから、生でも食べられる。生の島ラッキョウには味噌をつけるとよい。味噌の強い味が島ラッキョウの香りを包み込み、食べやすくしてくれる。ネギ味噌を引き合いに出すまでもなく、ネギ・ラッキョウ系の味と味噌は極めて相性がいい。塩漬けよりも生の方が強いシャリシャリ感を楽しむことができる。

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 島ラッキョウを薬味として食べるのもお勧め。例えば、薄く切った島ラッキョウをよく熟したトマトに乗せて、ドレッシングをかけて食す。トマトのうまみとラッキョウの鮮烈な香りがよく合う。

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 塩こしょうして焼いた豚肉に、薄切り島ラッキョウをたっぷりと乗せ、かんきつ果汁を絞って食べるのもうまい。あるいは、ゆでたジャガイモにドレッシングをふって、薄切り島ラッキョウを散らす。好みでマヨネーズを少しかけてもいい。ジャガイモの淡白な香りはベースになり、ラッキョウの刺激的な香りがハイライトとしてくっきり浮かび上がる。

 薬味で使う場合、島ラッキョウは生なので、あの鮮烈な香りがそのまま迫ってくるのが魅力。とりわけ、豚やジャガイモは熱いので、そこに乗った島ラッキョウの香りがふくらみを増し、鼻から食欲を大いに刺激すること請け合い。

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2008年11月20日

[第87話 食] 香り立つグルクンかまぼこ

 沖縄でかまぼこといえば、お盆などの行事につきものの紅白かまぼこか、卵入りのカステラかまぼこということになるかもしれない。だが、今回はそのいずれでもなく、グルクンで作られた香り高いかまぼこを紹介しよう。

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 四方を海に囲まれた沖縄は海の幸に恵まれているが、昔は冷蔵、冷凍の技術がなかったため、魚がたくさん獲れても保存できなかった。でも、かまぼこにすれば生のままより日持ちする。自家製のかまぼこの多くは、蒸してから油で揚げられていた。蒸しただけよりもさらに日持ちするからだ。

 なめらかで歯ごたえのよいすり身にするため、伝統的には、臼と杵で魚の身をついて、すり身を作っていた。材料は身近に獲れる魚。グルクンはその代表格だったといっていい。

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 グルクンは沖縄県の県魚になるほど身近な魚だったが、今は昔ほどは穫れず、価格もそれほど安くない。でもグルクンは今でも人気。居酒屋でグルクンの唐揚げを置いていない店はない。

 しかし、グルクンかまぼことなると話は別だ。今はほとんど手に入らない。グルクンは骨が多いので、これをきれいに取り除いてすり身にするのに手間がかかる。しかも、グルクン自体が昔ほどたくさん穫れない。かつて漁村の家庭で盛んに作られていたグルクンかまぼこは、もはや「幻のかまぼこ」になりつつある。

 那覇・開南の大平通り商店街に、そのグルクンかまぼこが出ていた。作っているのは、久米島出身の照屋ミツさん。かつて、照屋さんは、久米島でたくさん獲れたグルクンをかまぼこにしていた時代を知っている。今は那覇で、グルクンかまぼこを手作りしているという。やはり小骨をとるのに手間がかかるので、1日30本ほどしか作れない。

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 このグルクンかまぼこ、普通のかまぼこにはない、すばらしい香りが立つ。照屋さんの店のケースのふたが開くだけで、食欲をそそる豊潤な香りがあたりに漂う。それはもちろんグルクンの香りで、青魚の香りとも、白身魚の香りとも違う独特の芳香だ。照屋さんのグルクンかまぼこは「皮入り」と「皮なし」があり、「皮入り」の方が香りが強い。

 歯ごたえはシコシコもっちり。シコシコはグルクンのすり身から出るが、独特のもっちり感は、少し加えるつなぎのタピオカから。タピオカはキャッサバとも呼ばれ、地下にできるイモが世界中で食べられている。沖縄でもかつてはよく栽培されていた身近なでんぷん。これがグルクンのすり身と合わさると、なんともいえないもっちり感が出る。

 高い香りを楽しみ、シコシコもっちりの食感を楽しみ、そして深い味を楽しむ―。切って食べるよりもちぎって食べる方が、おいしく感じられるらしい。昔からそう言われてきた、という。軽くあぶって表面をパリパリにしてもおいしい。大根おろし、シークワサーともよく合う。

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 沖縄の昔のくらしを思い浮かべながら、手間ひまかけて作られた香り高いグルクンかまぼこで泡盛を一杯やれば、日頃の疲れも吹き飛ぶ、というもの。

 照屋さんのグルクンかまぼこの店は、大平通りを開南側から入り、20mほど行った右側にある。午後2時くらいに開店し、売り切れじまい。1本550円。4、5人で食べてちょうどいいくらいの、たっぷりとした大きさだ。手間ひまかけて、しかもこの大きさで550円は安い。

 グルクンかまぼこは、買ったその日のうちが一番おいしい。冷蔵庫に入れておけば数日は問題ないが、香りと食感がどうしても落ちていくので、その日のうちに食べることをお薦めする。

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2008年04月12日

[第50話 農] 島ニンニクの収穫、真っ盛り

 島ニンニクの収穫が最盛期を迎えている。昨年8月頃に植えた株が実るのがちょうど今ごろ。写真の上は、うるま市の字上江洲で安里シゲ子さんが栽培した島ニンニク。下の写真は、高速名護インターから降りて間もなくのところにある許田の「道の駅」で売られていた今帰仁産の島ニンニクだ。

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 島ニンニクは、よくあるニンニクよりも小さい。皮に赤紫の色がほんのりとついている。味も香りも鮮烈。生のスライスを食べるとその鮮烈さがよく分かるが、なるべく薄く切って試す方が無難。比較的若いうちに収穫されたものは、葉もまだ青々としている。その葉をニラのようにして食べると、いい香りがしておいしい。

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 ニンニクに限らないが、野菜類は、どれも品種改良が進んでいる。品種改良の目的はいろいろあるが、やはり主なねらいは、食べる部分を大きく、おいしくすること。だが、こと香りについては、改良種は弱くなる場合が多いような気がする。大きくなった分だけ、水で薄まったような結果になる、と言ったら言いすぎだろうか。沖縄の島ニンニクを含むアジアやアフリカの在来種のニンニクは、どれも小さくて香りが強い。

 香りが強いのは魅力だが、その一方、かなり小さいので、皮をむいて中を取り出すのは面倒くさい。だから、というわけではないだろうが、島ニンニクは丸ごと漬け物にすることがよくある。

 写真は伊江島の石新政子さんが漬けた黒糖漬け。商品名は「にんにくん」。これも許田の道の駅で売られている。

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 政子さんは、毎年、島ニンニクを3トン漬ける。塩で下漬けしてから、黒糖や酢を混ぜた液に3ヶ月ほど漬け込むと食べられるようになる。皮ごと漬けるが、漬けているうちに皮も水分を含んで柔らかくなるので、食べる時はそのまま食べられる。

 とはいえ、やはりニンニクなので、そうむやみとボリボリ食べるわけではない。風邪をひきかけたかな、というような時に食べるのが普通。ニンニク本体だけでなく、漬け汁を薬代わりに飲む人もいる。

 ただ、漬け込まれたニンニクは、生の時ほど強い臭いはなくなるし、味もマイルドになる。そのせいか、風邪をひいたわけでもないのに、「うまい、うまい」と、冷蔵庫を開けてはポリポリ食べてしまう向きが、どこの家にもいたりする。

 ニンニクはいためものに使われるだけではない。豚レバーと豚赤身肉に野菜を入れたシンジムン(煎じ汁)と呼ばれるおつゆに、ニンニクを入れることも多い。やはり風邪気味の時などに飲むおつゆで、ニンニクを入れれば強壮効果が高まること間違いなし。そういう場合は刻んで入れたりせず、一片ずつコロコロと入れて、そのまま食べてしまう。

 シンジムンを味噌仕立てにすると、これまた非常においしい。「豚+にんにく+味噌」は黄金の組み合わせ。風邪気味でないと食べられないと言うのなら喜んで風邪をひきましょう、と言い出す輩もいる激ウマ汁だ。

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